3話 本当のイミでの出会い
遅くなってすいませんっ
主な人物の性格です。
鈴木あさ……ごくごく普通のJK。顔もまあまあ、眼鏡フェチなのでいつも眼鏡を掛けているが目は悪くない。身長157cm。
感情の上下が激しいが、他人に対してはかなり冷たい。幼い頃父親にDVを受けていたのでどこか後ろ暗い所もある。人間ウオッチングが趣味。
皆堂英輔……絵に描いたようなフェイスと明るく気さくな性格の持ち主なので誰からも好かれる。オマケにスポーツ万能成績優秀なので正に好青年。
女子一般が苦手。彼曰く強引で勝手だからと言うが…。なので女子には基本的に冷たい。身長172cm。
涙はきっと明日のかてに
悩んで、笑って、見つかるだろう
言葉に出来なくても、
ありのままに、声枯れるまで
言葉に出さなくても、
零した涙が洗い流すだろう
『GReeeeN 涙空より』
気分が落ち込んだ時はこの歌を口ずさむことにしている。
そうでないとそれに飲み込まれるから。
「ちょっとあさ〜!何うたってんの〜?」
「え?涙空、結構いい曲だよぉ〜」
へらっと笑って返したのだが、内心すごく落ち込んでいて話しかけないで欲しかったなぁーと、思っていた。
「あーグリーンの?グリーンって結構いい楽曲だすよねー、愛唄とかさ〜。ウチも好きだよ」
「だよねぇー、あたしバックスとかも好きだよ。Inconsolableとかしんみり系が好み〜」
友達とそんな他愛のない話で自分のブルーな気分を誤魔化しながら、学校への道を自転車で風を切って
進んでいった。
「今日はテストだ〜、ちゃんと勉強してきたか〜?」
教師のその言葉でまだまだ馴染んでいないクラスは騒然とした。
「え〜ウソー、そんなの聞いて無いよ〜」
とか、
「ヤベー、俺勉強してきて無いよー」
とか言う囁きがクラス中で言われていた。
「もちろん言うわけがない、なんたって抜き打ちだからな!今更後悔しても遅いのだよー君たち!!」
とか抜かしてカーッカッカッカッカと笑っている教師もいい職業だな〜、とか思ったりして…。
「テスト配るぞ〜、机離しとけよー」
教師の号令(?)が下ると同時に、ガタガタと机を鳴らして移動する私たちって一体……。
まぁいいや、テストにしゅーちゅーしよ。
「テストどうだった〜?ウチは散々ー、つーか抜き打ちテストなんて卑怯〜」
「ウチはまぁまぁだった、あんなテストぐらいで大騒ぎしてるんならよく受かったねって思ったよー、あいつら」
あいつらとは皆堂英輔様目当てで来た(ミーハー)女子共の事である。
「まーね、って言うかあさが優秀なだけだってばぁ〜」
「そっかな〜?ウチよりゆーしゅーな人はわんさかいるでしょーよ。例えば皆堂なんかそうじゃない?頭良くないとモテないでしょ」
「そーそー、あいつ(皆堂のこと)メチャクチャ頭良くてさー北高受けたけどギリギリで落ちたらしいよ。そんでもって滑り止めのこの高校に入ったらしい…って言うウワサ」
「なんて可哀想な…こんなうるさい高校なんか入りたくなかっただろうに……ご愁傷様です」
「ハハ…ま、そりゃそうでしょうねぇ〜」
キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン
「ありゃ、じゃまた次の休み時間にね」
「うん」
放課後、各委員会があったので友達には先に帰ってもらって風紀委員会に行く途中、彼…皆堂英輔を見た。
たくさんの女子付きで。
「周りにあんな沢山の人が居たらさぞかし歩きにくそーだなぁ、人気なくてよかったかも…」
ぼそっと独り言……O型は独り言が多いらしい(よく分かんないけどネ)。
教室についても皆堂英輔の周りにはオマケ(ファンのキャーキャー女子多数)が纏わりついていた。
あれじゃあメモ取りにくそうだなぁ。
「え〜では第一回前期風紀委員会を始めます。私は委員長の石井正です、前期いっぱいよろしくお願いします…」
う〜ん、なんだか真面目そーな名前…。
意外にも拍手が沸き起こった。つられて私も……。
オマケ達も律儀に拍手をしていた。
皆堂の前でいいカッコしてるだけだと思うけど。
「え〜ではまず仕事内容から話していきたいと思います………」
石井の話す内容を私なりの解釈で、後で見たとき分かりやすいようにメモっていく。
ふと周りを見回すと、起きて真面目にメモしているのは私だけだった。
まぁー石井の話し方じゃー眠くなるのも無理はないかなぁ〜とは思うけど、アンタ達あとで自分の仕事何だか分かんの!?とか思っちゃったり…。
あらあら皆さん大口開けてまぁ…気持ちよさそーに。
あっ、皆堂も寝てる!今のうちに写メ撮っておこーっと。
パチリ
撮っちゃいました、ハハっ。
もちろん音消しでやったのに、気配に気付いたのか皆堂クン起きちゃいました。
アラアラ折角の(皆が言うには)カッコいいお顔に寝グセが付いておりますわょ。
などなどおちょくって心の中でナレーションを付けてみました。
そんな私の視線に気付いたのか、ムッツリした顔で皆堂がこっちを向いた。
ワッやばぃ!気付かれた?あ〜後で何も言われませんように……。
マジ焦っている私の顔をちょっと眺めまわした後、彼の視線は離れていった。
あ〜顔赤くなってなかったかな!?大丈夫か?わたし!
そんなこんなで、
「え〜ではこれで第一回前期風紀委員会を終わります……」
と、石井正がいうまで生きた心地がしなかった…。
あ゛〜、心臓に悪い……寿命縮まるよ〜(泣。
そして片付けをして皆はまだ駄弁っていたけど、さっさと教室を出て下駄箱に向かった。
「お前、さっきオレの顔写メで撮っただろ」
後ろからいきなり声がした。
いきなりの事だったから情け無い声を出して飛び上がってしまった。
「ひゃっ、なななな何のことですかイキナリィ!」
「…撮ったな、その顔じゃ『撮りました』って言ってる様なものだろ」
彼の濃紺の目は鋭い眼光を放っていた。
「……ご、ごめんなさい。べ、別に悪気があって撮ったワケじゃなくてその…」
「悪気があったからこんなことしてんだろーが、消せよ写真」
「ハイ……」
ピッ、ピッ……ピッ
「ハイ消しましたよ……」
「貸せよ」
「は?」
「だーからケータイ貸せっつってんだろーが」
「は、はぁ…」
私のスカイブルーのキーホルダーも少ないジミーなケータイが、友達の間ではウワサのカッコいい男の手に握られていると思うと笑えてきた。
「……ぷっ」
「何がおかしい?」
「あはははっ、だって私なんかのケータイがウワサのカッコいい男子の手に握られているんだもんっ、おっかし〜、あははははははっ」
笑っている私を冷ややかな目で見つめる彼の目に気付いて少し黙った。
「お前もオレを好きだと思う1人か…?」
「は?何言ってんの、私はあなたみたいにチャラチャラしてる人なんて好きじゃないし、ハッキリ言うとキライ。でもさぁ、友達付き合いってのもあんじゃん?だから合わせてあげてんの、ケータイ気が済んだら返してよ」
彼の視線よりもっと冷たい言葉で返してやった。
ちょっといいすぎたかな?だったらごめんね〜。
無言の彼が差し出す私のケータイを受け取って、靴を履きながら言った。
「ちょっと言い過ぎだと思ったから、傷ついてたらゴメンネ。とりあえず、もうあんたの写メは撮らないから勘弁してね」
と言った。
「じゃあね、皆堂英輔」
「ちょっと待てよ!!お前、名前は!?」
5歩ほど進んだところで後ろから皆堂が呼びかけてきた。
言うべきか言わざるべきかちょっと悩んだけど、答える事にした。
「鈴木あさ、あさは平仮名だよん」
いつものお気楽な口調でゆった。