一日の終わり
――諦めんな!
「あぁ、ごめんごめん。やっと少しは声出せるようになったよ」
「お前は貧弱すぎるんだよ」
「――そうかな」
――あ! 今この人絶対『貧弱』に反応しましたよっ! ねぇ!
「なんでお前はどんなキャラでもなりきるとそこまでリアルなんだよ……ちょっとこえーよ」
――瀧野さんは、どのようなキャラクターでも高いクオリティーで再現する事ができるんです。すばらしいステータスですよね。
「いや、お前らだって出来るだろ? 自分の名前のキャラ位は」
「いや、まぁできるけども」
「惣右介はやっぱ別だよね」
「せやな」
――この部活のメンバーは、それぞれ名前があるキャラクターと同じ読み、もしくは同じ名前であり、皆さんはそのキャラクターのモノマネだったら高いクオリティーで再現する事ができるのです。これはこれで普通に凄いと思うんですけどね!
「お前もナレーターとか天の声系はできるだろ」
――あっ! 神児君! やっと反応してくれましたね!? わーいわーい!
ナレーターの反応に呆れた表情をする神児。それを見て、他の面々は溜め息をつく。
「……なんかもういいや」
「普通に部活やる?」
「そうだな。それがいい」
――あ、部活するんですね。今日は何をするんです?
この部は、ある議題にそって話し合う。その議題は、世間話やら政治の話やらアニメの話やらと、実に様々だ。だが、結構な確立でほかの事をしているのが現状だ。
「いや、今日は最初の話なんだし議題出そうぜ」
「それもそうやな。で、議題どないする?」
咲夜がホワイトボードでペンを持って待機すると、惣右介が手を上げる。
「ほい、惣右介」
「……皆はお風呂に入ったら最初にどこから洗いますか!」
惣右介の発言に三人は一歩後ろに下がった。
「ちょ、リアルに引くのやめて! 謝る! 謝るから!」
「あぁ、ごめん。別にいいわそう言うの。うん、ホント、ね」
「そこまでなの!?」
「いや、別に」
「なんだよ! 俺で遊ぶんじゃねーよ!」
「すまそ」
――で、お風呂の話ですよね? 私はとりあえずおっぱいから洗います! 上の方から洗う主義なので!
「あぁ、お前そういや女だっけ?」
――そうですよ! 忘れてたんですか神児君!?
「俺は風呂入ったらまず背中だな。背中よく汗かくから早く洗いたいんだよな」
――スルー!?
「俺はまずこか、ぐぼぁっ!? う、うわぁあぁぁぁああぁあ!!」
惣右介が何かを言おうとしたところで顔に咲夜の投げたペンが直撃する。当たった勢いのまま惣右介はそのまま後ろに倒れた。
――ところで咲夜さんはどこから洗うんです? まさか惣右介さんと同じとか言いませんよね……?
「んな訳あるかい!! うちも背中からや!」
――そうですか。いまいち面白くない回答ですね。けっ
「なんでや!」
「なんで男やったんだよお前……」
咲夜出したのは男の声。あまり低い声ではなかったが、違和感が大きかった。
――関西弁だからって無理にやらなくてもいいですよ?
「う、うるさいわ!」
「まぁまぁ、サクちゃん。落ち着いて落ち着いて」
明日香が咲夜を宥める。
「っふー……っふー……」
――動物ですかこの人は?
「いや、動物じゃなかったら怖いから」
――あ、そういう意味じゃないんですけどね。
「え、知ってるよ?」
きょとんとした顔で話す神児。昔から、『この子は昔から何考えてるかよくわからない』と言われ続けている。
――主人公なんですけどね。一応
「でさぁ――」
ナレーターとなど最初から会話して居なかったかのように明日香達と話を始める神児。
――思わず私は涙ぐみ、それを見た神児君が優しく抱擁を……チラッ、チラッ
しかし神児はナレーターに見向きもしせず、ナレーターは本当に涙ぐんでしまった。
「――言葉にできる寂しさは誰かが慰めてくれる。でも、言葉にしない悲しみは自分で乗り越えていくしかないんだよ」
――し、神児君……!
神児の言葉に元気付けられるナレーター。しかし後ろでは三人が笑いを堪えていた。
「で、遣い方中途半端だけどそれは誰の台詞?」
――へ?
「翠星石たんのを語尾とかちょっと変えた」
――な、なんだってー!?
「男の台詞や思たら女やないか……」
「…………」
惣右介は神児に向けて小さく親指を立てた。
「え……ゲイ?」
「違うわ! 誰がゲイじゃ! 俺は女の子が好きじゃボケえぇぇぇぇえええ!!!」
――うわぁ……嫌悪感で悲しみなんて吹き飛びましたよ持ち悪い。
他の三人も、惣右介を蔑みの目で見る。本日二度目の蔑みはもう惣右介に大きなダメージを与える事はない。
「フ……フフフ……フ、フゥゥハッハッハッハ!!」
――遂に瀧野君のメンタルは限界に達したようですね。もう何をやってもこの人へダメージを与える事はできないでしょう。今日は。
「……じゃ、帰るか」
「せやな。もう時間も時間やしな」
「あ、もうそんな時間なのー? ねぇシンジー帰りにコンビニ寄っていいー?」
「アイスは一個までだよアスカ」
「ほーい」
――あぁ、最後の最後にやるんですねそれ。突然やらないでくださいよ。結構わかりにくいんですから。
「ぼ、僕の勝手でしょう? あ、貴女は黙っててくださいよ……」
あえて少し頬を染めて話す神児。どこまでもクオリティには徹底するつもりのようだ。
――や、やめて! そんな顔で私を見ないで! あぁ! も、萌える!
「なんでやねん!」
――いだっ! なんですかツッコミ!? 自分がやってないからってこんなところでぶち込まないで下さいよぉ!
「さ、帰ろう」
「そだね」
「うち腹へったぁー……神児なんかもってへんのー?」
神児は振り返った咲夜の目の前に生のキュウリを出した。
「なんでキュウリやねん! うちは河童か!」
「人だろ? 何言ってるんだ?」
「そうだけど!?」
「いやいや――」
三人が話しながら部室の扉に手をかけた所で一つ忘れていた事に気がつく。惣右介の事だ。三人は恐る恐る振り返ってみると……
「はぁ……はぁ……ふぅ……」
――そこには仁王立ちでドヤ顔をしている変態が立っていました。気持ち悪いですね。帰りましょう。
「「「じゃ、おつかれー」」」
三人+一もとい四人は部室を後にする。瀧野惣右介などもとから居なかったかの様に。
「な、なんか言ってくれよぉぉおおぉぉぉぉおぉぉおぉぉおぉぉおぉおぉおおおおお!!」
――それから私達は、遠吠えのような声なんて聞いておらず、それぞれの帰路へとつきました。楯宮兄妹はコンビニでなにかあったみたいですね。どうやら結局日野さんは神児君からもらったキュウリを食べながら帰ったそうです。ツンデレさんですねっ。そして最後は私。私は学校の寮がありまして、そこに住んでいるのでそこに向かいました。いやぁ、めっちゃ近いんですよ。いいですよここ。快適ですよ? どうですか皆さん?
「ったく……さっさと終らせろ語部」
――学園長……まぁいいでしょう。では、また明日。皆様、良い人生をお過ごしくださいな――
―― end ――
前回の後書き通り、今回で最終回です。
あまりなろうでは更新できませんが、楽しんでいただけたら幸いです。
最後まで読んでいただき、有難うございました。




