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とりあえず部員の紹介とか。

 ――私立明日ヶ(あしたがおか)学園、ここは学園長が【明日から頑張る】をモットーにして作られた極々普通の私立高校。

「お、なんか始まったぞ」

「しかもここは大分アブノーマルだよ」

 ――この高校は、

「あ、まだ続けるんだ」

「まぁ、最初の掴みが肝心って言うからね。仕方ないんじゃないかな?」

 ――ごほん。

「「あ、どうぞどうぞ」」

 ――では、この高校は、現学園長であり創設者である、【小林(こばやし) 浪漫(ろまん)】が【明日から頑張る】を実行できる生徒を育てる為に建てたものである。この高校では、部活動と学校行事に特に力を入れており、部活数も多く、学校行事は多いに盛り上がる。かと言って学業を疎かにしている訳ではなく、何故か自然と頭の悪い人間はこの高校に入る事は無い。入学の際の面接は学園長自らが行い、志願者達を(ふる)いにかけているとの噂だ。他にも――

「んなげぇよっ!」

「掴みとしては最悪だよね。きっと」

 ――そうですか?

「ああ」

「多分ね」

 ――そんな力強く頷かなくてもいいじゃないですか。流石に私でも傷つきますよ?

「ならパッと説明を終えてくれ」

「三行でお願いします」

「い、いや流石にそれは……」

 ――ノーマル装うアブノーマル。

 ――部活、学校行事が盛んで部活が多い。

 ――学園長が一番アブノーマル。

 ――どうです?

「あんた今絶対ドヤ顔したろ!」

「しかも三行にするにも短くしすぎじゃない?」

 ――でも的確じゃないですか?

「……ほう? この私が一番アブノーマルとな」

「「あ」」

 ――あら?

「よし、お前はちょっと来い」

 ――あっ、ちょっ待ってください! も、申し訳ありません! つ、次からはちゃんとやりますから! で、ですから! う、うわぁぁぁぁあぁあぁぁぁあああああ!!

「ナレーターの人連れて行かれちゃった」

「ていうかあの人どこに居たんだよ……」

 浪漫に連れて行かれるナレーターを見送るこの二人。男子生徒の方は【楯宮(たてみや) 神児(しんじ)】。女子生徒の方は【楯宮(たてみや) 明日香(あすか)】神児の妹だ。

「あぁ、あの人居ないと普通に進んでいくんだな」

「そうみたいだね」

「……まぁ、行くか」

「そだね」

 二人はナレーターが連れて行かれた方向と逆方向に歩き出す。

 ――た、助けてぇぇぇええぇぇええぇえぇえぇぇええ!!

「お、遠くから悲痛な叫びが」

「なんか飛龍の咆哮っぽかった」

「えぇー……?」

 背後から聞える叫び声など気にも留めず、二人は教室などがある棟とは逆方向にある部活棟へと向かった。

「そういや、うちの学校ってホント部活多いよな」

「あ、説明の補足を話の流れでやっちゃおうって言うあれ?」

「そうそれ」

 この学園の部活の数を正確に把握している人間は学園長以外には居ない。なにせ数が多すぎるのだ。

「陸上部って幾つだっけ?」

「んー? 競技毎(ごと)にあるし三つ位じゃない?」

「競技毎ならもっとあるだろ」

 正確には短距離、長距離、走り高跳び、走り幅跳び、砲丸投げ、槍投げの六種類。この様に、この学園には同じ名前の部活が複数有る。陸上部の場合、陸上(短)や陸上(長)と言った分け方をする。

「へぇ、六つもあんのか」

「別に一緒でもいいのにね」

「ま、俺達的には好きな面子だけで集まれるから好都合だったりするんだけどさ」

 学園長の意図はその通りなのだ。嫌々他の連中と組む必要はない。だったら好きな連中で組んで楽しめ。と学園長は部活を作る者それぞれに言っているそうだ。

「……あ、惣右介(そうすけ)だ」

「まーたアイツ絡まれてんのかよ」

 二人の視線の先には多少柄の悪い生徒に囲まれている男子生徒。その生徒は神児と同じ制服を着ているが、その他の男子生徒は、違う。どうやら他校の生徒の様だ。

「面白いから見てようよ」

「そうだな。惣右介ワールドは中々見物だぜ」

 二人は声が聞え、状況を観察しやすい位置に隠れ、様子を伺っていた。

「オイコラテメェ! お前は俺の後輩をいたぶってくれたみたいだなぁオイ!」

「……そうか」

 他校の生徒が男子生徒に強く言うが、男子生徒は下を向いたままの上、反応も薄い。それに他校の生徒達の怒りを増幅させた。

「テメェ殺すぞ!」

「調子乗ってんじゃねぇぞコラァ!」

「半殺しじゃ済まさねぇぞ? あぁん?」

 男子生徒の胸倉を掴む。しかし男子生徒が脅える様子は微塵も感じられない。今まで、したを向いていた男子生徒が胸倉を掴んでいる生徒の顔を見上げる。

「……あまり強い言葉を遣うなよ――弱く見えるぞ」

「――ッッッ!?」

 男子生徒の顔を見た瞬間、他校の生徒達に悪寒が走った。特に強かったのが胸倉を掴んでいた、リーダーらしき生徒だ。顔を見た瞬間、手を離し、尻餅をついてしまった。

「お、おい! い、行くぞっ!」

「「は、はいっ!」」

 怖気づいたのか、他校の生徒達はぞろぞろと学園を後にした。

「……憧れは理解から最も遠い感情だよ」

「いや、使い方違うからそれ」

「あん? お前ら居たのかよ」

「うん。ずっと見てた」

 この生徒は【瀧野(たきの) 惣右介(そうすけ)】。眼鏡にオールバックと中々のキャラ作りだ。惣右介も、二人と同じ部活のメンバーであり、一応副部長だ。

「まぁ、ホント一応だよな」

「うせぇよ」

「作り込むなら口調もやっててよ。せっかく顔似てるんだから」

「めんどくせぇからやだよ」

 惣右介が絡まれていたのは部活棟の直前。そこから一分も掛からずに部活棟には着く。しかし、部活棟の大きさは学園の校舎と同じか、それ以上はある。ここからも中々の距離があるのだ。

「ま、結局部室までは直線だからあんまり関係ないよな」

「あ、そーいえば昨日渡したDVD見たー?」

「おう、脈略もへったくれもないな。一応見たぞ。まぁ面白かったぞ中々。つーかお前横に居たろ」

「でしょー? 特にシーザーがさぁー」

「いやいや、ツェペリは初代だろ」

「いや、ツェペリはジャイロ一択っしょ」

「「誰それ」」

「にわかかっ!」

「「またまたー」」

 などと三人が話をしていると、どうやら部室の前に着いたようだ。扉に描いてある名前は、【アニメ研究部】通称A研と、呼ばれる部活である。

「「「おっすおっす! げんきー?」」」

「ん……? ん? どうしたんか?」

 ――おぉっと、どうやら突然訳の分からない挨拶を三人そろってしてきて混乱してくる奴だぁー!

「…………」

 突然の介入に黙り込む四人。

 ――ん、ごほん。失礼しました。どうぞお勧めください。

「……で、今のはなんやったん?」

「きっと学園長に捕まって鬱憤が溜まったんだろ。今は賢者タイムだよきっと」

「どないやねんそれ……」

 この関西弁が特徴の女子生徒は、【日野(ひの) 咲夜(さくや)】この部活の部長である。

 ――日野さんだけが二年で他の皆さんは一年生。その割に日野さんには威厳がありません。何故でしょうか。その関西弁は飾りなのでしょうか。

「お? 今あんた要らん事ゆうたな。覚悟はええな? そーれ!」

 咲夜の容赦の無い拳がナレーターを襲う。そして再びナレーターは物語からフェードアウト。

「さらっと消えてったなあの人……」

「そんな事より話をしよう部活の王。僕の刀を見てくれないかこの『鏡花水月』を」

「それはあれか? 下ネタか?」

「……んっふ……う゛っ!?」


 無言で惣右介に回し蹴りをする明日香。咲夜と神児は蔑む様な目で惣右介を睨んでいた。

「何突然下ネタぶっこんどんねん! 殺すぞ!?」

「はっ、あまり強い言葉を遣うな゛っ……!」

 台詞を言い終える前に咲夜の拳が惣右介の腹部を襲う。惣右介は腹部を押さえながら這い蹲り、ピクピクとしていた。

「むぎぎ……」

「何か言いたそうだね」

「あ、すえ、で……」

「あん? 何言うとんねん」

 惣右介は何かを言おうとしているが、腹部への衝撃が相当強かったのか、上手く言葉をだせないでいた。しかし、明日香と咲夜は気がついていない。

「…………」

「神児はなんで黙ってるの?」

「え? 面白そうだから?」

「何で疑問系やねん……」

 神児はなにやらわかっている様だが、あえて何も言わないスタンスで行く様だ。

「だ、ぁずぇ、でくぇ」

 なんとも不気味な声をあげ続ける惣右介だが、口は確かに『助けてくれ』と言っている。それを神児以外気がついていないので、【ただ腹押さえて不気味な声を上げる変態】と言う認識になっている。

「中々その認識も酷いよな」

「……うちら変態とはいってへんしな」

「まぁ……変態だけどね」

「…………」

 遂に惣右介も黙ってしまった。惣右介が意思を伝えるのを諦めたので、明日香達は意思を理解しようとするのを諦めた。

えー、久しぶりの投稿となります。

この作品は、友人二人と同じお題で書いたものです。二話で終る短編になってまして、次で終わりです。

少しでも皆様に楽しんでいただけたらありがたいです。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

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