前夜
IBARAGAKI WO HADAKAMI DE KUGURU
現在の時間は午前2時、目覚ましの設定は午前6時。
ワタシは時計を枕元に置いて、布団の中にうずくまった。
(死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、)
そう心の中で唱えて、ベッドの下の中古で買ったマンガ本を雑に投げる。
床に散らばった未整頓の衣服に衝撃は吸収され、しょうもない摩擦音だけが聞こえた。
死ねとはなんと味のない言葉だろう。
ワタシたち未成年がもっとも口にする命令だというのに、実行されることのなんて少ない……。
言葉の責任すら誰も負ってはくれない。
それは別に相手に要求する訳でもなく、ただ条件反射的に使われる意思表示だからなのかもしれない。
この言葉が何か意味を持つのは、こんなやり方で自分に呪いをかけることでしか自己主張ができない不器用で、腐った…
ワタシのような人間だけだ。
この言葉はワタシにとって魔法だ。
心の中で繰り返し唱えるだけで心臓がスッキリとして軽くなる。
毎夜、毎夜、病気のように襲ってくる後悔にこの言葉だけがワタシに救いをくれるのだ。
重ねれば、重ねるほど自分が透けて透明になっていく、まるで自分の存在が消えていくように。
惰眠を貪ったような人生なんか本当に終わらせてしまっても構わないのだけれど、そんなことできるわけがない。
なぜならワタシはただのちっぽけな死にたがりなのだから。
ワタシは弱い、弱い、弱い……。
ワタシはいつものよう、気づかない間に自然に眠りについていた。
いつかワタシを殺してくれる人が現れるんじゃないかという希望的観測と、
明日が見えなくなってしまうことを願って。