6、過去勇者とかあれこれ
作中に話だけ出てきた勇者三名の簡単なスペックをば。
最後にネタバレあるから注意で。
注意するほどでもないかもですががが。
【CLASS】アサシン
【真名】國生護
【性別】男性
【身長・体重】176cm・63kg
【属性】秩序・悪
【ステータス】筋力C 耐久C 敏捷B 魔力E 幸運E ユニークスキルB
【クラス別スキル】
気配遮断:A+
気配を絶つ。完全に気配を絶てば発見することは不可能に近い。
ただし自らが攻撃態勢に移ると気配遮断のランクは大きく落ちる。
【取得スキル】
千里脚:A
人間界から魔界まで一人で走り抜けた偉業の具現化。目的地を定めて走りだすと、そこまで最短で到着できる。
あらゆる地形――水の上だろうがマグマの上だろうが何にでも対応し、Aランクになると何のダメージも受ける事無く走り続けられる。
暗殺指向:B
真正面から戦うよりも暗殺などによる楽な手段を取る傾向が多くなる事。つまり王道ではなく外道な行動を取る事が多い。
暗殺の際には補正が入り、成功率が上昇する。
スタミナ:A
どんなに激しく動いても尽きる事の無い超体力。全力疾走でフルマラソンしてそのままトライアスロンに突入しても息一つ乱す事がない程のスタミナがある。ただし速くなったりとかの補正は無い。あくまでも体力があがるだけ。
人間界から魔界まで走破した秘訣。
投擲:C
武器を投げる能力。ある程度の速さと精度を持つが、弾丸などの速さには遠く及ばない。
【ユニークスキル】
『忍び寄る白鎧の暗殺者』
ランク:B 種別:特殊技能系 レンジ:1 最大補足:1人
國生が得たユニークスキルで、大雑把に言えば速く動け、気配を極限まで希薄化させる事ができ、また暗殺具を数秒だけだが造り出せる能力。そしてなぜか白い服を着ると能力が上昇する。
つまり暗殺特化型で、真正面からだとちょっと弱い。セツナとガチンコバトルをしようと思えば、大体二秒程度で瞬殺されるレベル。
スキルで消耗品を造り、隠れて投擲するなどの方法を取る事が多い。
『暗黒封印・無光領域』
ランク:C 種別:空間干渉系 レンジ:1~20 最大補足:60人
半径十メートル内を完全な闇とするフィールドを形成する。フィールド内に入ると、如何なる手段を使っても光を確保する事はできなくなる。つまり視覚から得る情報を闇によって遮断する。当然外から中を見る事もできない。
この闇を破るには真の闇さえ意味を成さない瞳力を持つか、発生者である國生を打倒するしかない。
ただ発生元である國生には範囲内の全てが見えている上、フィールド内にいる限り國生は相手に気配を感知されなくなるので、発動されるとかなり面倒な事に。
【Weapon】
『洗礼剣:クリシュナ・ババーナ』
國生を召喚した国である、宗教国家<アリスマリス>にて鍛えられた短剣。
刀身にはびっしりと神を敬う神語が刻まれており、その為多少の神聖力を持った刀身は魔族に対して微弱ながら毒として働く。毒の効果は一定時間動けなくする程度。
『洗礼着:ハクア神の聖刻符』
國生が着るフード付きの白い外套。これも神語が裏地に縫われており、魔族に対して認識阻害の効果を持つ。
防御力はあまり無いが、移動速度上昇などの効果もある。内側の鎧や短剣を隠す効果もある。
【補足】
カナメと同時期に召喚された、魔王を殺して帰還してみせた勇者。
國生を召喚した国は宗教国家<アリスマリス>。
魔王討伐の過程としては、出立→走り続けて魔界に→魔界到着→一心不乱に魔王城に→魔王城到着→侵入→まだ勇者が来ないと油断し寝ていた魔王暗殺→心臓を獲得→逃走→追われるが闇に紛れて逃げる→無事帰還→留まる様に言われるが無視→帰還という流れでした。
國生は狡猾な気性の持ち主だった。自分の為なら他人なんて笑って切り捨てられるレベルで。
外面はよく多くの人に慕われ、陸上部に所属していたのでスタミナなどのスキルを得るが、実は裏で陸上大会の時などライバルに様々な細工を施して脱落するように仕向けていた事もあり、暗殺特化型のユニースキルに目覚めた。
つまり嫌なやつです。外面が良いから尚始末に悪いタイプ。
で、カナメを置いて帰還したのは嫌な奴であることも理由の一つとして思えるが、それは違う。國生はカナメが居るという情報を知らなかったので、つまりカナメの存在を知らなかったからである。
もう少し長く留まっていれば耳に入る事もあったかもしれないが、一刻も早く帰りたかった國生は速攻で暗殺して還ったので知る事は最後まで無かった。
ま、知った所で構わずに還っていただろうが。
【CLASS】ランサー
【真名】岩澤七緒
【性別】男性
【身長・体重】170cm・63kg
【属性】秩序・善
【ステータス】筋力B/A 耐久C/B 敏捷B/A 魔力B 幸運D/C ユニークスキルB+
【クラス別スキル】
対魔力:C
第二節以下の詠唱による魔術を無効化する。
大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない。
【所得スキル】
慟哭:C
悲痛な叫びを上げて泣く事で、周囲に存在する敵味方関係なく戦意を一定量削ぎ落す。
正義の印:B
弱きを助け、強きを挫く英雄としての本質を示すスキル。
属性・悪と対決する際、筋力と敏捷のパラメーターを上昇させる。
見逃し:B
敗走する敵を追撃する術を持つが、あえてそれを行わない。
人としては美徳だが、それにより思わぬしっぺ返しを食らう事もある。
水棲:A
水の抵抗を受けずに活動できるばかりか、水を手足のように使役できる。
水中・水上にいる間、魔力を除く全てのステータスがワンランクアップする。
【ユニークスキル】
『逆巻き謳う爆流の一槍』
ランク:B+ 種別:特殊具象化系 レンジ:1~30 最大補足:60人
本編で語られた、約三百八十年前にやって来た勇者である岩澤が目覚めたスキル。
その効果は半透明の三つ又の槍の顕現。槍の能力は大気中並びに一定範囲内にある物質から水分を強制的に搾取し、意のままに使役すると言うモノ。
氷らせる事もミイラにする事もできる、しかも敵が使った魔術の水でも無理やり操れるという、結構強力なスキル。
能力の応用として体液などの循環速度を上げる事で身体能力を上昇できるが、それでもコチラの世界で問題なく戦える程度の上昇率しか見込めない。上げ過ぎると、岩澤の身体が持たないため。
よって正面からの勝負では強力だが、能力を使わせてもらえない不意打ちなどには弱い。
『怨念渦巻く激流の果て』
ランク:C 種別:地形効果系 レンジ:2~40 最大補足:80人
槍を振りまわして掻き集めたり、自然の川や海など大量の水がある所でのみ発動可能。
巨大な渦潮を発生させ、範囲内にいる全てのものを無差別に水中に引きずり込む。
渦潮の吸引力に耐えることができても、大幅に自由を奪われ、筋力、敏捷が2ランクダウンする。
この渦に捕らわれたものは、毎ターン渦潮によるダメージを受ける。
【Weapon】
『宝具・克服すべき我が脆弱』
カナメが岩澤に餞別として持たせた腕輪型宝具。
効果は装着者の身体を半ば液体の弾力性のある肉体にすることで、全身の弾性により物理的な要因によりるダメージは全て受け流して完全無効化。ただしノックバックや副作用には効果無し。
【補足】
約三百八十年前にやって来た勇者。当時十七歳。
その性格は善良だが、泣き虫な上に軽く鬱になる事も多々あり、扱いに困る性格をしていた。しかし正義感が強く、カナメや國生よりも勇者っぽい行いをしていた。
魔獣に襲われている人を見たら泣きながら魔獣を殺し、頼られれば泣きながらそれに報いようと全力を尽くした。
心では早く帰りたいと思っていたが、困っている人を見つけたら放ってはおけない性格。
そして困っている人を助けながら魔界に向かっている途中、アヴァロンに居るカナメに招待されて出会う。そしてアヴァロンで暫く滞在した後、宝具を貰って再び魔王討伐の旅に出る。
そして幾多の苦難も旅の途中で出会った友と共に乗り越え、遂に魔王と対決。
その戦いは熾烈を極め――どちらもカナメの宝具を持ち、強力なユニークスキルを有していたので――、友が一人また一人と倒れていく中、しかしついには決着がつく。
それも相撃ちという形で。
魔王の魔剣が岩澤の心臓を貫き、岩澤の三つ又の槍は魔王の頭部を貫いて果てる。どちらも即死だった。
そしてその後やってきたカナメにより魔王の遺体は回収され、その心臓によって、岩澤の遺体は元居た次元に送られる。
せめて埋められるならアチラの世界で、という気遣いである。
岩澤は、死んで向こうに還ったのだった。
ただ、それを知る術の無い岩澤を召喚した国は困惑する事になるのだが、それは置いといて。
作品の中で、もっとも勇者らしい行いをしていた男である。
【CLASS】ライダー
【真名】芳賀俊史
【性別】男性
【身長・体重】183cm・78kg
【属性】混沌・狂
【ステータス】筋力E 耐久E 敏捷E 魔力A 幸運D ユニークスキルA
【クラス別スキル】
対魔力:B
魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。
大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。
騎乗:A+
幻獣・神獣ランクを含む全ての獣、乗り物を自在に操れる。ただし竜種は除外。
【所得スキル】
早駆けの乗法:A
ユニークスキルによって得た、特殊な乗馬技術。
騎乗物の敏捷性、持久性を向上させ、さらに本人の騎乗時中の魔力消費を抑える効果がある。
仕切り直し:C
戦闘から離脱する能力。
また、不利になった戦闘を戦闘開始ターン(1ターン目)に戻し、技の条件を初期値に戻す。
【ユニークスキル】
『剣技織りなすは戦女神』
ランク:A 種別:擬神召喚系 レンジ:1~50 最大補足:80人
羽の様な装飾を持つ光り輝く鎧を身に纏い、右手には剣を、左手には盾を持ち、死んだ戦士の魂を導く美しい戦女神を生み出す能力。
戦場においてもっとも効果を発揮する能力であり、死した戦士の魂を一定時間操ることが出来る。
ただ、これは亡霊による精神汚染などではなく、芳賀の魔力で編んだ仮初の体を与えることで闘うようにする能力。しかもその条件として勇敢に戦った者、闘い足りない者しか仮初の体は得られないなどの制約を持つ。
ブリュンヒルデ単体でも能力は高く、主の危険が迫れば勝手に具現化して守ってくれる。舞うような剣技にて敵を滅ぼすその様は、ただ美しい。
ブリュンヒルデとは話すこともでき、芳賀はだんだんと彼女に惹かれていくが、その恋が実ることは最後まで無かった。
『疾風織りなす幻の名馬』
ランク:C+ 種別:擬獣召喚系 レンジ:1 最大補足:2人
ブリュンヒルデを乗せるか、芳賀だけ乗せるか、もしくはその両方を乗せて戦場を駆ける幻影の名馬。
ヴィングスコルニルには神性が宿っており、魔族に対しては一定時間近づけさせないなどの能力を得る持つ。
そして風を操ることもでき、単体でも広範囲に攻撃可能。また走る速度も疾風の如し。走りだすと捕まえるのは大変。
【Weapon】
『戟に似た何か』
馬上にて近づく敵を牽制した長物。
芳賀の力ではそこまでたいした攻撃ではないが、何と言ってもブリュンヒルデが強いので敵に攻撃を躊躇させて時間を稼ぐのに貢献し、それなりに役に立っていた。
【補足】
本編より百九十年前に召喚された勇者。
彼が呼ばれた当時は情勢に余裕があり、そのため魔王討伐よりも戦争を目的に呼ばれた側面が多く、またそれに適したユニークスキルに目覚めてしまったために血塗られた道を歩んだ。
戦場においてその能力は非常に高いものの、彼自体の身体能力は低いのでブリュンヒルデとヴィングスコルニルが闘っている様を見ているしかなかった。
そのため直接的に闘う事は無く、せいぜいヴィングスコルニルに乗って戟などを振り回す程度。
性格は用心深く、最初の方は恨みを買うことを恐れて果敢に人を殺す事は無かったが、ブリュンヒルデを使うたびに血煙の中を舞う彼女の美しい姿の虜となって緩やかに狂いだし、やがては敵味方関係なしに惨殺を行うようになる。
全ては殺しが楽しいのではなく、血煙りの中で舞うブリュンヒルデを見たいがために。
やがて魔王を殺して還る事を止め、ブリュンヒルデと共に居たいと思うようになるのに時間はかからなかった。むしろ当然の帰結とでも言うべきか。
ちなみに狂う前は戻りたいと思っていたので、こっそりと忍び込んだカナメは話を聞いており、元居た次元の情報は抽出済み。まあ、その時に「ああコイツダメだ」って事で、宝具は被害が拡大するのが確定するので渡されなかった。
つまり見捨てました。いや、だって同じ勇者だからってそこまで肩入れする義理ないし、と言う事で。帰りたくないと思っているような奴は知らんとです。
で、その最後は戦場で死亡という結末に。
死因は心臓に突き刺さった一本の銀の矢。
本来なら矢程度では芳賀を守るブリュンヒルデとヴィングスコルニルの守りは突破できないのだが、その矢を放ったのは機玩具人形四男にして遠距離狙撃型として造られたシルバーチップだったので、護りを軽々と突破してみせた。
使用された銀の矢は概念装備の一つ、男性を殺す<月の女神の弓矢>だったので掠るだけでも一撃必殺だった。蛇足だが女性を殺す<太陽神の弓矢>と呼ばれる黄金の矢も存在する。
つまりカナメによる暗殺です。芳賀は殺り過ぎだからって事ですね。
カナメが止めないと、もっと多くの勇者が召喚されていた可能性が高いです。むしろ絶対。それだけ勇者って基本的にチートですし。
鱗を得る大きな損害と、召喚して得る利益って、利益のほうが長じれば多いですし。
鱗を得られない確率についてはこの際無視ですねハイ。物量に物を言わせる消耗作業ですねハイ。
そんなわけで、芳賀は殺されてお仕舞いです。遺体は岩澤のように還る事もありませんでした。
だって魔王殺してないしね。わざわざカナメが魔王殺して還してやるとか、そんな損があって利益が無い事はしませんて。
で、さらに外伝補足。という名のネタバレ。
見たくなけりゃ見ない方が良いよ!
機玩具人形十女の女神模倣型は、芳賀を殺したことで消えそうになっていたブリュンヒルデをカナメが取り込んで、それを元に造られました。ついでにヴィングスコルニルも取り込みましたので能力の一部に。
な、なんだってー(棒読み
ってことで今回のネタバレはおしまい。
それではまたー。
なんて言っておいてまだ補足。
ブリュンヒルデは芳賀が殺されない限りは何度でも再生可能でした。まあ、一度も消されたりしませんでしたが。
ヴィングスコルニルも同様。
はい、ってなわけで今回はここまで。
次こそは国関係を掲載したいですと思いながら本編をカチカチと。