表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者04──防衛省異世界対策室の少年  作者: 朱実孫六
新宿の騎士たち

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/24

第11話 ②

 ふたりは、八階の踊り場に出た。勇者エヌは、そこで足を止めた。


「どうしたの? なにか聞こえたの?」


 勇者は、物音が反響している壁のあちこちへと目を走らせていたが、


「いや。勘違いだったようだ」


 そう言うと、また階段に足を置いた。


 真琴も続く。九階へと向かう。


「そもそもさ。勇者ってなに? 職業?」


 彼は雨の中を進みながら静かな表情をしていた。



「制度だ」


 真琴は横を行く彼にむけて顔を上げた。


「勇者が、制度って、どういう意味?」


「選ばれた子どもが訓練を受ける」


「ふうん。学校みたいなもの……?」


 彼は階段の先を見た。


「そうだな。先代勇者の死から一年後、転生した勇者探しは始まるのだ」



 賢者会議の占い師と神官によって、八つの国からそれぞれ一名ずつ、赤子が選ばれる。



「……でも、赤ちゃんに訓練はむりでしょ」


「親から離される。そして特別な乳を与えられて育つ。それ自体が訓練だ」


 真琴の視線が、足もとに落ちた。


「なんか。かわいそうだな」


 けれども、それが彼のいた世界。


「……じゃあエヌくんも、本当のご両親とは赤ちゃんのときに?」 


 勇者の表情は変わらない。黙々と階段をのぼっている。


「勇者エヌを継いだ後、旅の途中、生家は訪ねた」


 十階の踊り場に出た。


「そっか。よかった。ご両親とはそのとき会えたんだ」


 彼に向かって笑んだ。


 踊り場で、彼が足を止めた。耳を澄ましているように見えた。


「少し休もう」


 言われて気がついた。息がはずんでいる。


「あなたの成長した姿に、ご両親はよろこばれたでしょうね」


 ほんとうの親に会えた時の気分というものは、どんなだろう。すこし聞いてみたかった。


 勇者は目を細めて笑んだ。


「だと良いがな」


 真琴は、彼の顔を見た。


「って、会えたんじゃないの?」


 彼の顔が、笑んだまま上階へ向かう。


「すでに石の下だった」


 真琴は、彼を見つめたまま、息を呑んだ。

ブックマークや下の☆☆☆☆☆にて評価いただけると嬉しいですヾ(≧▽≦)ノ


次回は、明日7:00に公開予定です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ