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命を量る  作者: Starsya
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弟 1

 有機食品と健康食品を愛する方々は、お願いですからページを離れ、あなたの優しい世界へお戻りください。これは私が弟に土足で踏み込まれて、でも本人に投げ返すわけにもいかず、ここに投げつける石です。巻き添えで、あなたの心身の健康を害する恐れがあります。有機食品にも無農薬の安全なお野菜にも他意はありません。あなたはあなたの好きなものを食べていい。私が何を食べ、何を思うかは私が決めます。

 全く普段の付き合いのない弟が、娘の生まれたときに話しかけてきた。


 加工食品と農薬の害を説き、有機食品がいかに素晴らしいか語り、生まれた娘のために私が普段の食物に気を付けるべきだと彼はいう。ムッとしながら私は尋ねました。なにか根拠になる文献があるのかと。彼が出してきたのは、厚生省の文献でも学位論文でもなく、個人が趣味で書いたホームページのプリントアウトだった。


 その時は怒りのあまり、思考を言語化できなかったので、「どうしてこれが真実だと思うの」と突き返して終わったけれど、今なら言語にできると思う。


 「安全な食品」を食べて、病気にならず元気に生きて、それであなたは何を残せるのか。たとえ加工食品を食べて、病気になってでも何か一つ研究をしたり、誰かに影響を与えたり、思索を重ねたり、人を助けた人に比べて、意識の高い、上等な人間だと胸を張るのか。あなたがそれほどこだわる健康は、何かを成し遂げて初めて意味があるのではないか。ただ食べて、いきて、健康に死ぬだけならアブラムシにだってできる。多分あの時言葉にできなかった私の怒りはこういうことだったと思う。


 娘の健康を人質に取って自分の正義を押し付けた態度、私は今も許していない。

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