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図鑑No.XX1『魔王』

かつて『聖剣の勇者』によって倒れた存在が闇より還って来た。いかにして死より甦ったのか、その目的はなんなのか全ては闇の中にしか存在しない。ただ一つ言えるのは魔王が暴れる限り、『人類』に未来はないということだ。


《勇者様コメント》

奴の正体については直接戦った俺たちでさえ見解が分かれている。

俺『呪い・怨念説』

戦士『寄生生物説』

僧侶『霊体説』

魔法使い『魔法生物説』

以上4説ある。それぞれ見ていこう。

まず『呪い・怨念説』。これの根拠は奴の言動にある。奴の話す言葉は魔法使い曰く、どの国どの種族の言葉にも当てはまらないそうだ。過去に存在していた国や種族のものまで後から調べたそうだから、ほぼ間違いないだろう。勇者である俺は奴の言葉が分かるのだが、内容は全部、世界や人類その他あらゆる生命や物質に対する罵詈雑言や怨嗟、呪いの言葉だけだった。俺が理解できるということは俺の言葉も奴に聞こえているはずなのだが、こっちの言葉に対して一切反応を返さない。反応らしい反応があったのは僧侶の姿を見た時だけだ。それも反射的な悲鳴や怨嗟の声だけで、会話は成立しなかった。おそらく既に正気ではないのだろう。既存の言語に合致しないが、俺には分かったのも複数の言語がごちゃ混ぜになっているとすれば筋が通ると思う。これが『呪い・怨念説』の根拠だ。


次に戦士の『寄生生物説』だが、これは魔王の姿が伝承のそれとかけ離れていることに由来している。勇者と魔王の伝承に詳しい戦士らしい着眼点だと思う。ちなみに伝承の魔王と甦った魔王が同一存在であるのは間違いない。能力が伝承の通り魔物の『蘇生』あるいは『召喚』と呼ばれる現象に特化した物だった。あんな能力の保持者が複数いるとは考えずらい。


そして僧侶の『霊体説』。これはちょっと複雑で『ゾンビ』のように肉体から切り離された霊魂が生者の同意を得て肉体を操っているのではないかという説だ。『ゾンビ』と何が違うのか分からなかったが、霊魂が死体に取り憑くか生者に取り憑くかの違いらしい。仮に『ゾンビ』だとすれば奴の不死身ぶりにも説明はつくと思う。


最後に魔法使いの『魔法生物説』。こっちでも不死性に説明はつく。奴の体はどんなに傷をつけてもすぐに回復魔法で治されてしまう。回復魔法は死体には効かないから、頭を潰したり心臓を潰したりして即死させればそれ以上治らないはずなのだが、奴は頭を切り落としてもすぐに治して来た。この現象は『ゾンビ』より魔法で作られる『ゴーレム』に近い。それが『魔法生物説』の根拠だ。


どの説が正しいにしろ。みんなで共通している見解が2つある。それはこれで終わりではないという事と、魔王の姿はどうみても『人間』だった事だ。

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