図鑑No.001『スライム』
不定形の体。体を構成する粘性の液体はあらゆる物を溶かし栄養とする。大陸のあらゆる場所に生息する。この大陸の覇者といっても過言ではない。
《勇者様コメント》
あらゆる創作物で見かける青いモンスター。作品によって序盤の雑魚扱い、もしくは逆に超危険生物だったり強さが極端に分かれる奴。彼らは雑魚の方。
草原から海辺まで、新大陸の至るところで見かける。なんなら街の中で野良スライムが良く徘徊している。
正直言って魔物に分類しなくていいと思う。
危険性が全くないからだ。
粘液は確かに物を溶かすが、その速度が極めて遅く肌に触れても全く痛くない。精々、魔法使いが『肌が荒れる』とか言って触りたがらない程度である。硬度や粘性もほとんどなく、もし顔についても簡単に拭えるので窒息する心配はない。なんなら噛みちぎってもいい。
倒すのに道具は不要で、簡単に踏み潰せるのでよく子供が、踏んで遊んでいる。戦士と魔法使い曰く、小さいスライムを瓶に入れてペットにしたり、観察日記を付けるのはこの大陸なら誰もが通る道なのだとか。俺もやったがスライムがパン屑に齧り付いている様は見ていて飽きない。
一般家庭では大きめのスライムに野菜などを包ませることで食料を長期保存する。ペット兼冷蔵庫、それが一般人からの扱いである。
その為、討伐依頼などの対象になることがなく個体によってはとんでもない大きさになる。実際つい最近とある森の奥深くにひっそりと超巨大な個体が生息しているのを見たことがある。遠目に確認しただけだが最初は湖と見分けが付かなかった。
特徴的な性質を挙げると『倒す』のは簡単でも『殺す』のはかなり難しいという性質がある。
どれだけ体を引き裂いてもただ分裂するだけで生存してしまう。具体的には俺のブレイブアタックを直撃させても、バラバラになるだけでそれぞれの個体はピンピンしてるくらいの不死身っぷりだ。彼らを殺す方法はおそらくないんじゃないかな?
彼らは雌雄同体だが自己分裂はせず、外的要因によってのみ増える。なので『スライム』を踏んだり斬ったりすると彼らの繁殖を手伝っている事になる。
ちなみに『スライム』は総称でこいつの正式名称は『ブルースライム』。近縁種として『レッドスライム』がいるが、こいつとの生存競争に負けていて個体数が少ない。