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『第21,733回観察レポート』より抜粋

《魔法使い発言》

僧侶ちゃんはずっと泣いてて、話にならないから、彼が見せてくれたあの『本』について先に説明するわ。『本』と呼ぶべきかはわからないけど、あれは変質した魔力とでも呼ぶべきものよ。おそらく、何らかの手段で魔力そのものを歪めてそこに情報を書き込んでるんだと思うわ。


《勇者発言》

変質した魔力!?なんでそんなものにわざわざ文字を書くんだ!?


《戦士発言》

待て待て!魔法が使える連中だけで話を進めるな。

つまり何か魔法使いはその変質した?魔力でできた『本』が読めたのか?


《魔法使い発言》

いいえ、読めなかったわ。私が辛うじて感じ取れたのは彼が見せた魔力が変質してたことだけ。あれを読もうとしたら何十年もいえ、何百年も専用の研究をしないとダメでしょうね。魔力が変質するって事実だけで学会がひっくり返るわよ。これ。


《戦士発言》

そんなこと言われちまったら、あの野郎がどこの国の間者かますます気になるじゃねぇか。魔法使い殿、急いで野郎が書いてた文字を特定しくれ。そんな技術持ってる国の間者なんて、間違いなく大事になるぞ。なんなら今すぐあいつを王城に突き出すべきだ。拘束する理由なんて王都への不法侵入だけで十分だぜ。


《勇者様発言》

それは絶対ダメだ!編集さんは俺達を信じてくれたから見せてくれたんだ。でなきゃあんな……あんな葛藤はしないはずだ!


《戦士発言》

だがよ。これはもう俺達個人の話を超えてるぞ。今すぐ拘束しなくてもこれまでの経緯を説明するくらいはするべきだぜ。


《僧侶発言》

……今すぐ王城に報告することは反対です。

それに書いていた文字はおそらくフェイク……。調べる意味はないです。


《魔法使い発言》

僧侶ちゃん……大丈夫?無理しちゃダメよ。


《僧侶発言》

はい……もう大丈夫です。編集さんの覚悟と彼らの未来の為にもわたしが止まってはいけませんから。


《勇者発言》

編集さんの覚悟はわかるけど、彼らの未来って?


《僧侶発言》

そのまま意味です。編集さんと同じ種族の方達、その彼らの未来という事です。


《魔法使い発言》

同じ種族って……人間じゃないの?まさか亜人?


《僧侶発言》

いえ、違います。魔物図鑑の完成という編集さんの目的は、自分たちに関する情報収集の手段であり、同時に彼らの正体をカモフラージュする為の口実です。あぁ……今気づきました……魔物図鑑に『人類』を載せてたのもわたし達への皮肉を込めたメッセージなんですね……彼らもそうなんだという。

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