図鑑No.010『ゴーレム』
岩や砂で作られた体、血も通わず魂すら存在しない巨人。魔法使いあるいはアイテムによって生みだされるこれらは、明確な目的を持って存在している。つまりお宝が近いということだ。
《勇者様コメント》
創作物でよく見るモンスターその3。
別名『冒険者殺し』。
いくつかタイプがあるが体が岩でできているロックタイプが主流、以下はロックタイプ前提で話す。剣が全く役に立たないので剣士が単独で遭遇した場合、逃走以外の選択肢はない。幸い『ゴーレム』の目的上、逃走する相手を追いかけることはないし遠距離攻撃手段がないので逃走は容易だ。
しかし稀に自分の体の一部を千切って投げてくる個体がいるので、遠距離攻撃は来ないと高を括っていると痛い目をみる。
メイスやハンマーを装備した戦士なら平気だろうと考える人は多いがそれは半分正解で半分外れだ。後衛からバフを受けるあるいは身体強化魔法を用いるなどをして強化された前衛の打撃攻撃なら確かにこいつらの体を砕ける。だが砕いてもそこで終わりだ。『ゴーレム』は生物ではないのでいくら体を砕かれても痛くも痒くもない。精々ロックタイプがサンドタイプになるだけだ。こいつらの体を『削る』には砕いた体を魔法の効果範囲外に持っていく必要がある。戦闘中に岩を抱えて走る余裕など当然ないので前衛だけで倒すの事実上不可能。前衛は足止めに徹して、後衛が魔法攻撃する事になるが並の魔法使いでは前衛の攻撃と同じ結果しか出せない。最低でも3人以上の魔法使いで協力して攻撃する必要がある。
ここまで言えば分かると思うが、『ゴーレム』は一つのパーティで戦う様な相手では無い。ダンジョン等で不意に遭遇しても戦わず、地上で準備を整えてから挑む難敵だ。こいつらとの遭遇=死では無いにも関わらず『冒険者殺し』と呼ばれるのは冒険者側に問題がある。目の前にある未知のお宝という光に引き寄せられてしまう冒険者の避けられぬ性が『冒険者殺し』という異名を生んでいる。どうかこいつらに挑む前に今一度思い出して欲しい。一番のお宝は『自分の命』であるということを。