第四十九章
ようやく縫いぐるみを見つけられたお陰で、今回はまだ夜が浅い内にエンディミオン宮殿にたどり着けた。
ルナはすぐにゴーチエの元に向かおうとしたが、ウィルに遮られる。
「君はもう休みなさい。何日も寝ていないだろ?」
「でも、ゴーチエさんに……」
「僕から言っておく。だから心配しなくても良い」
「そうですか」
ルナは腰から拳銃を取り出すと、ウィルに差し出した。
「ではこれも返しておいて下さい。とても役に立ちました、とゴーチエさんに」
「ああ」とウィルは呆れたように拳銃を受け取る。
「ウィル様」
護衛のマチアスが彼を呼ぶから、ウィルは軽薄に片目をつぶって、ルナにひらひらと手を振る。
「ではお嬢さん。今度は、また光のなかで」
ルナはどうしてか怒りにも似た、熱を感じる。
彼は先程の真面目な姿の方が良いのに、と無為なことを考えてしまう。
「ふう」
ウィルの言うとおり、確かに疲労しているのだろう。
ルナはまだマリアが寝ている自分の寝室へ、と向かおうとした。
ひらり、と彼女の前に何か落ちる。
紙の封筒だった。
視線を上げるが、そこにあるのは闇に塗りつぶされた窓だけで、誰が投げて寄こしたか分からない。
だが十分だ。
それはメッセージだった。
デイミアンとサイモンだけが知っている。集合の合図だ。
紙の封筒……中に当然手紙はない。
ただ報告がある、との意思表示に過ぎない。
ルナは背後を伺い、ウィルたちが別の何かについて話していると確認して、歩き出した。
再び暗殺者に戻るのだ。




