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第七章

 ルナの鼓動が大きくなる。


 イルムヒルデ夫人の目には、何か分からない光がたゆたっていた。


「アイリス様には、昨月から仕えさせて頂いてます」


「そう……名前は?」


 どうしてかルナの喉が締め付けられる。呼吸するのが難しくなっていた。


「ルナ……と申します」



「ルナ……誰の紹介で侍女になったの?」


「アルヴァーン子爵に紹介状を頂きました」


「アルヴァーン……」


 イルムヒルデ夫人は何か考えている。


「まあ、いいでしょう。ルナ、今度はあなたの話しを聞かせて頂くわ」


 イルムヒルデ夫人はそう言い残し、今度こそルナの前から去っていった。


 立ちつくすルナは、その背中を見送った後、服の袖で額を拭う。


 じっとりとした汗は冷たく、一瞬にしてルナの身体を冷やしていた。


 当然、今のルナには笑顔を作る力もなかった。



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