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エンジェルラビット

作者: 夢叶愛 桜

エンジェルラビットは言った、僕には家族なんていないと。



僕はうさぎなのに羽があるし、家族の顔を知らない。


優しいうさぎのおばさんに育てられたけど、

おばさんは普通のうさぎで羽はない。


それでも優しく笑って

出かけるたびにいってらっしゃいと、

心がホッと落ち着くような声で見送ってくれる。


羽があるうさぎはおかしいと、他の動物たちにいじめられることが多かった子うさぎの頃は、ただただ傷ついて苦しかった。


おばさんは羽がある僕でも気にせず、

自分の子供のように可愛がってくれる。

言葉はいくつあっても足りないくらい

おばさんに感謝している。


でも、僕はトラウマの鎖に覆われてうまく飛べないんだ。


飛べる高さは、木の上あたり。つまり、空中浮遊にしか見えないのさ。



今日は散歩に出かけ、いつも出かける場所は、誰も手入れをしない土地の草むしり仕事を週3回シフト入れしてる。しかも,高収入。


僕はお気に入りの場所へといつもの安全な

高さで飛行する。


風が気持ちいい…


僕は風が大好きだ。

そよ風というのは体をすり抜けるみたいで、撫でられてるみたいでくすぐったい


風の匂いも好きだ。

少し草のにおいが混ざってる感じがたまらない。


僕は自分で秘密基地を作った。かられて処分される木をもらって、暴風にも耐えられる

頑丈な屋根付きの秘密基地を。


扉もあるんだよ!

窓の外を眺めながら、

寝そべって風の音を聞き、誰もこない

お気に入りの秘密基地で、半日を過ごす。


僕は一人が好きだけど、

おばさんを心配させたくない。

  


おばさんに祖父の話を聞いたことがあった。


「生きることの価値は決められるものではなく、はかるものでもなく、違いがあるのが普通で、重要なのはどれだけ幸せに生きれるかなのじゃ」と。



幸せを保つのは簡単なことでは無い。

もちろん命の重さもわかっている


それでも、つらさを捨てることも消すことも

できないのだ。


それを受け止めるか、乗り越えるかは

自身の胸で決着をつけなければならない。


人の悩みに共感するのは簡単だ。

声をかけるのも言葉を送るのも、

それに意味はあるのか…


僕はそれがどうでもよく感じる時期があった


子うさぎの頃に、「お前は動物じゃない。

羽なんて飾りだ。気味が悪い」

大人も気味悪がって、誰も近づかなかった。


ある時それが、いつしかどうでも良くなった。中傷されようと、追い出されそうになろうと、僕はもう…


生きることを諦めていたからだ。


そんな時にそばにいてくれたのは、

おばさんだった。


いつも優しく、怒られたことなど一度もない



今?…


今は、違う。


まだ、誰も信用できないし

不信感はあるけど、できることをする。

生きることがどれだけすごいことなのか…


支えてくれるおばさんに感謝の気持ちを、

恩返しできるように、がんばる…つもりだ。


     エンジェルラビット


それは、とある羽を持つうさぎのお話し。

優しいおばさんうさぎが身寄りの無い

子うさぎを引き取り、名前を授けた。

「ラビ」


僕の物語は多分…まだこの先も続くのだろう

傷つきながら生きていく、それはきっと

人間という生き物も同じなのだろう。

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