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第六十一話【あなた達が居なくても、私達は進む】

まずは閲覧ありがとうございます!


このお話は初心者による物語です、プロフィールに書いた通りのまるで台本の様な小説とは程遠い拙い文章、少ない表現力、明らかな描写不足、当然の様な誤字脱字など正直問題だらけです、それでも読んで頂けるのならば幸いです。


一部の「」『』の説明


「」は主に人間のセリフ


『』は人間以外や大体の主観の人以外の電話や通信越しなどによる人間の音声のセリフのイメージとなっております。


【この話での未知の生命体ドラーベ内の用語集】


【アハッド】


異星の者達から伝えられた技術によって、対ドラーベを想定して造られた人型兵器、大きさはおよそ8m程


【アフィア】


地球に存在する反異種族連合軍の通称


主に多くの地球人が集まった者達で結成されたそれは、ここ数十年で規模を広げ今ではフォースデルタに次いで地球を二分に分ける程力を持った組織、度々フォースデルタと衝突を起こすも、あくまで自分達は地球の為に行っていると正当化している、異星から来た彼らの技術を盗み、アハッドまで造り出していた(但し、違いは殆ど無い)




【カッド】


アハッドと同様に異星から伝えられた技術によって造られた戦艦、アハッドを格納な上にある程度の戦闘も可能、海上、空中、宇宙への航行も可能としている


【サフィア】


反異種族連合軍…アフィアの中の特殊部隊の通称


アフィアのロヴェルが統率している組織


特別国家イールフ


世界に広まっているアハッド、開発当時の研究者の一人が地球に作ったと言われている小さな国


他の国が最先端を目指して高層ビルや交通などを発展させていく中、この国は地球由来の豊かな自然が多い、そして中央には大きな噴水があるのが特徴的




【フォースデルタ】


地球連合軍の通称


異星との交流によりアハッドなどを得た地球で、対ドラーベを想定され発足された国を越えた人々が集う軍




【プレデシャン】


ミレイ達の乗るカッド…戦艦の名前


【緊急襲来警報】


ドラーベが襲来するようになってから作られた警報で、国によって決められた独自のシェルターに避難するように求められる世界共通の警報


【ドラーベ】


地球や異星などに突然現れた未知の生命体、意思疎通が出来ず、人間を襲うものの明確な目的などが分かっていない為、侵略者として扱われる事が多い


現在軍に三種類確認されているドラーベだが、共通しているのは頭部が伝説上のドラゴンの様な形をしている事のみで、身体はそれぞれ違いがある


【オールドドラーベ】


ドラゴンの様な頭部を起点に、上半身は竜人を思わせる身体、下半身は蛇の様にやや長い身体、全体的に靭やかで身体の灰色部分は硬い、赤黒い部分は比較的硬くないが、それでも銃弾や刃物を通さないほどの硬さはある、人で言う肩の辺りからは、形状を鎌や触手の様に変化させる特殊な腕の様な物がある、大きさはおよそ1m超え


上記の通り足は無く、浮いてはいるがスピードは余り速くない(小学高学年位なら逃げ切れる)




休暇の為に訪れたワグアリゾートの休火山にてレダルと戦ったヒュウ達は、何とか善戦出来るまで成長したものの…胸を貫かれて敗れてしまう、その際レダルは瀕死のアライブをヒュウの目の前で丸ごと喰らって見せた、そんな様子を見せられた瀕死のヒュウは…絶望してしまう、自身の死も間近に迫る中…せめてもの思いで、自身の命が尽きる前に一矢だけでも報いる事を考える


自身の想像の中、その場の他には見えないヒュウの思考の中に…偶像のエヴァルドラーベをイメージし、何が必要かを話していく


そして…ヒュウはある答えを導き出し…決意した


すると予想外の変化が起きた、ヒュウが咆哮すると…アライブがいないにも関わらず、一人でエヴァルドラーベへと変化した、その直後は変化の負荷のせいか動く気配が無かった…が、レダルがトドメを刺そうとすると、エヴァルドラーベに巻かれたスカーフが動き出し、そのまま全身を包んで真っ赤な身体へ変貌を遂げ…動き始めた


しかし…目覚めたのはおよそヒュウとは思えない…怒りと殺意のみで動く獣の様な状態だった…しかしそんな状態であったものの、激闘の末に何とかレダルを倒す事が出来た、だが…正気を失っていたヒュウは標的をレミへと向けた…その直後、戦いによって誘発された振動の中、捕らえたレミを上空に投げた後、ヒュウは噴火によるマグマに飲まれて消えてしまったのだった…





大事な仲間であるヒュウ達を失ったワグアリゾートでの戦いの後、レミ達はサフィア基地本部に戻っていた



ワグアリゾートで大事な仲間を失った一行は、火山の噴火の直後にロヴェルに呼び出され、ワグアリゾートで起きた状況について尋ねられる、エヴァルドラーベやレダルの事は話せなかったが、火山の噴火による騒動やエクレールのAIの破損(スペアボディの存在も公にしていない為、スペアボディが破損した事は話していない)そしてそこで仲間を失った事を報告した


しばらくプレデシャンの主力のレミ、エクレールが出撃出来ない為、一行は基地に留まり、レミの心身の回復を待ちながら、動ける者はサフィアのサポートに回っていた


外傷こそ少ないものの、レミの受けた精神的ショックは大きく、回復には時間を要した、しかし数週間後、その回復を大きく躍進させるきっかけとなる出来事が起きた


メックによるエクレールのスペアボディ、並びにAIの修復が完了したのだ、エクレールはワグアリゾートでの出来事を聞きショックを受けたが、未だに落ち込んでるレミを見て自分がなんとかしようと引きずるのを早々に止め、毎日レミを励ましていく事に


エクレールのしつこさは相当だったようで、最初はエクレールにすら無反応だったレミだが、次第に来ないでと、枕を投げ付けたりするようになる、それが数日続くと投げるのを止め、少しずつエクレールの話を聞き、時折エクレールを撫でたりし始める


それから更に数日経ち、レミはエクレールに連れられながら、共にプレデシャンを歩くまでに気力を回復させ、みんなに心配を掛けた事を謝りに回っていく、ミレイ達は当然、謝る事なんて無いと伝え、レミはお礼を言っていった


そしてレミは順調に回復し、来る日のロヴェルとの戦いに備えてサフィアのシミュレーターで少しずつ戦いの勘を取り戻していく事に、レミの回復を聞いたロヴェルから、最初は周辺に、後には遠くに現れたドラーベの討伐任務を受けさせ実戦経験も重ねていけるほどに回復した


回復するレミの一方で世界の情勢は変わっていた、元々不定期襲来に波があったドラーベの襲来は、現在数が激減している


それと同時に、大人しかったアフィアが各地でフォースデルタへの攻撃が相次いでいた、稀にドラーベが現れた地域では一時的に協力するものの、倒し終えた直後にフォースデルタとアフィアの戦闘になる


その戦闘では基本的にはアフィアが撤退まで追い込まれる事が多い、その大きな要因は以前レミ達が遭遇した、パイロットを介したフルオートAI、その開発が進み、フォースデルタに本格的に組み込まれ始めたとの事、大きいデメリットや適合出来る者が少ない為、世界中に居る訳ではない…が、適合者が一人居るだけでその場の戦局を大きく変える存在となっている


そしてその力をフォースデルタの一部が牛耳る形となり、一部の場所では実質的な支配と言っても差し支えない状態になっていた


レミ達の所属するサフィアも無関係とはいかず、時折戦場に巻き込まれる、極力避ける形を取るものの、交戦した場合は殆ど撃墜されてしまう、それに対しロヴェルは様々な支援をしつつ、どうにか堪えるように願っていく、サフィアに所属する者達はその願いを受け取りつつも、戦えない、戦わない事への不満が蓄積していき、かつてロヴェルがレミにお願いした…サフィアを止める為の戦いの時も、刻々と近付いていた




それぞれが様々な事を抱えながら日々は進み、ヒュウ達を失った戦いから、およそ半年が経過した





…ある日、早朝からサフィアの擬似戦闘シミュレーターで戦闘をしていたレミに、ロヴェルから声を掛けられる、いつもなら同席して断ってくれるポートやメックが今日に限っていない為、半ば強引にメインルームにあるカフェへと誘われた、カフェに入ると中にはシャイラの姿があった、それを見てレミは少しほっとした


案内されたカウンターの席に座ると、シャイラはオレンジジュースの入ったグラスを渡す、少し緊張して手を出せずにいると、正面の棚の前にスクリーンが下りてくる、そこに映像が投影されると…なんとミレイの姿があった


レミ

「えっ!?お母さん!?」


ミレイ

『あら、レミもそこに居たのね?こんな形でごめんなさい、ロヴェルが緊急だと言うから…プレデシャンから通信しているの』


ロヴェル

「すまない、僕も見回りをしてる時に耳にしてね、メインルームに向かう道中にレミがいたから声を掛けさせて貰ったんだ、いつもは仲間に断られるが、君個人の時でも断られたらどうしようかと、内心ヒヤヒヤしたよ」


シャイラ

「その声の掛け方に問題があったのでは?」


ロヴェル

「いや…そんな事はないさ、僕はただ…「…大事な話があるんだ…君が…時間が許すのであれば、一緒に来てほしい…」と言っただけさ」


レミ・ミレイ・シャイラ

「………」


ロヴェル

「…ん?どうしたのかな?」


シャイラはレミ・ミレイの二人それぞれに頭を下げ


シャイラ

「…レミさん、ミレイさん、ごめんなさい、本当に失礼しました…」


レミ

「い…いえそんな!シャイラさんは悪くないですから!」


ロヴェル

「そうだシャイラ、何故君が謝る?」


シャイラ

「(あなたのせいですよ!!)」


ミレイ

『…それで、緊急の用事と言うのは?』


ロヴェル

「あぁ、シンプルに言うと…僕とレミの戦いの時が…すぐそこに迫っている」


レミ・ミレイ

「!!」


シャイラはその理由を簡単に教えてくれた


結論としては、近年サフィアに溜まり続けた不満が爆発しかけている事


サフィアが戦闘に巻き込まれる事は多々あるのだが、大きなきっかけになったのは数日前、戦闘に介入しない…非戦闘員のサフィアの基地の一つがフォースデルタ、アフィアの戦いに巻き込まれ壊滅し、数十人が亡くなったという、その場所自体は、両軍にとっても物資の中継点となる条約が結ばれていた為、予想外の出来事だったという


その事が引き金となり、サフィアの中で着々と進んでいた両軍への戦争を仕掛ける為の準備が一気に進行し…整い掛けている、トップのロヴェルでさえも抑えが効かない程に…


ミレイ

『…確かに不穏な空気は感じていたけど…もう…そんな所まで…』


レミ

「…でも気持ちは分かります、私だって…もし今のサフィアのように…誰かのせいで仲間を失ったら…正直復讐したくなると思います…」


レミは少し俯く


レミ

「(…復讐といっても…その相手は…あの時彼が倒してしまったけど…)」


ミレイ

『レミ…』


レミはゆっくり顔を上げ


レミ

「…でもそれは…また新たな復讐の連鎖のきっかけを作るだけになってしまう、そんなのは…イヤ」


ロヴェル

「…つまり、君の覚悟は…出来てるんだね?」


レミ

「…はい!…今の私がどこまで出来るかは分からない、だけどあなたに…本気のロヴェルさんに勝つ事でサフィアの戦意を削ぐ事が出来るなら!…私に出来る全力をロヴェルさんにぶつけます!」


ロヴェル

「素晴らしい…半年前に仲間を失い、茫然自失としていた君がここまでの覚悟と決意を持った、…それだけ支えてくれた周りも…失った者も…大事な仲間なんだね?」


レミ

「…はい…お母さん達はもちろん、彼(等)は…火山の事故から私を助けてくれました、…今私がここに居られるのはそのお陰、だったら私に出来るのは…ロヴェルさんに貰った役目を果たす事で、命を賭して救ってくれた事に報いる事が出来ると思うんです」


ロヴェル

「…そうか、きっとその仲間も、空から喜んでくれているだろう、…少し妬けてしまうけどね」


シャイラ

「ロヴェル…!」


ロヴェル

「…すまない、…サフィアが全面戦争を仕掛けるのは三日後、その前の二日後に、君と僕の決闘を取り付ける…いいかな?」


レミ

「はい…!」


ロヴェル

「レミ、君の覚悟と決意には期待しているよ、…そしてミレイ達も…この数日は英気を養ってくれ…頼んだよ、…そしてなんだったらこの後…」


レミ

「はい!じゃあお母さん!早速プレデシャンに戻るね!」


ロヴェル

「…えっ?」


ミレイ

『ええ、待ってるわ』


レミは席を立つとジュースを一気に飲み干す、そしてグラスをそっと置き


レミ

「ロヴェルさん、シャイラさん、ありがとうございました!ジュース美味しかったです!それじゃ!」


ロヴェル

「いや、レミ待っ…!」


レミは駆け出し、扉を潜りカフェを後にした


ミレイ・シャイラ

「………」


ロヴェル

「…おほんっ!…ミレイ、良かったらこの後…」


シャイラ

「それではミレイさん、後はよろしくお願いします」


ミレイ

『ええ、私達が直接出来る事はないけど、可能な範囲でレミをサポートするわ、それではまた』


通信を終え、スクリーンに映った映像が消えた


ロヴェル

「あっ!」


シャイラ

「……はぁ…そんな調子で本当に本気の決闘なんて出来るんですか?」


ロヴェル

「…勿論、僕等が互いに本気を出し、サフィアに改めて知らしめなくてはいけない、強い力がぶつかり合う事の…その意味と愚かさを…」


シャイラ

「…お願いですから、普段もそうして真面目でいてくれません?どこを本気にしたらいいか分からなくなりますから…」


ロヴェル

「僕はいつだって、真面目で本気さ」


シャイラ

「そういう所ですって…」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



プレデシャンにて


プレデシャンに戻ってきたレミは、着いて早々いきなりメックに連れ出される、連れられた先の格納庫に着くと、一つのアハッドが目に入る、アハッドはエクレールに似ているようだが随所に違いがある


まず目を引くのが全身の色、関節や手足以外青かった配色は青ベースに白いラインが入った配色に、シルエットも全体的にスタイリッシュになり、より動きやすそうな見た目に

背部にも羽のようなブースターが追加されていて、まるで刀の鞘のように少しシュッとした形に

以前まであった腰部のブースターは消え、代わりに足裏、ふくらはぎにも内蔵される形になっていた


レミ

「これは…!?」


すると、そのアハッドの上から何かがガシャッと飛び降りてくる


エクレール

『ジャーン!!エクレールVer.3だぜぇ!!』


レミ

「エクレール!?」


飛び降りて来たのはスペアボディのエクレール、こちらのボディも本体ボディに合わせた様な姿をしていた


レミ

「凄い!とうとう完成したのね!?」


メック

「バッチリだよっ!これでいつロヴェルさんとの決戦が起きても大丈夫だねっ!!」


レミ

「ええ!二日後の決戦に間に合ってよかった!」


笑顔のエクレールとメックが少し間を置いて、首を傾げる


エクレール

『…はっ?』


メック

「…ん?二日後?」


レミ

「…?あれ?お母さんから聞いてないの?」


メック

「ん~そういえばさっき、みんなに話があるって艦長から連絡があったような…それにブリッジから帰ってきた他のクルーがなんか慌ただしかったような?…私とエクレールはずっと完成させようとしてたから…聞いてなかったかも」


レミ

「あのね…」


エクレール

『二日後って…また急だな…』


レミ

「決闘の約束してから半年以上経ってるのよ?…それだけ不満が溜まってたって事でも…あるかもしれないけど」


エクレール

『(…不満ね、サフィアの事もあるって事は間違っちゃねぇけど…オレ達の身近だった事の変化も…メンタル面での影響が大きいだろうに…こればかりは仕方ねぇか…)』


エクレール

『…それもそうだな』


メック

「武器もより威力の向上とか色々調整して変わってるけど、試して調整する余裕は余りなさそうだね」


レミ

「…それなんだけど、使うのはビームサーベルに絞ろうかなって考えてるの」


メック

「えぇっ!?」


エクレール

『なんでだよ!?』


レミ

「…以前、イールフで連携した時に感じたんだけど、ロヴェルさんは私の力を瞬時に理解し、的確に連携してくれたの、多分色んな武器を使った場合、それ自体が隙になっちゃう気がする、だから…出来るだけ近接武器に集中して隙を少なくした方がいいかなって」


エクレール

『相手の戦法にもよると思うけど…勝算は?』


レミは少し考えるように俯き


レミ

「…無い」


エクレール

『おいおい…弱気かよ…?』


スッと顔を上げたレミは、少し微笑んでいた


レミ

「というか…エクレールが新型な以上…そこは未知数でしょ?」


エクレール

『ん?あぁ…そういう事か、…確かにそりゃ分かんねぇな』


レミ

「でしょ?試運転も時間的に余裕が無いなら、決闘までに私が出来るのは、基地のシミュレーターでビームサーベルでの戦闘技術を上げる事位かしらね」


一転してエクレールは不満げに


エクレール

『えー、それじゃオレついていけねぇじゃねーか』


レミ

「リュックの中で大人しくするなら連れてってもいいけど?」


エクレール

『…前からそうだけどよ〜、それじゃどこぞのヤツと同じじゃねーか、オレはしっかり収まらなきゃいけねぇ分…顔出せてたアッチより酷ぇような…』


メック

「……」


レミ

「じゃあ行かない?」


エクレールはピョンッと跳ね


エクレール

『行くっ!』


レミ

「素直でよろしい、じゃメック、行ってくるね」


メック

「あ…うん、気を付けてね…ってそうだ、レミ、これあげる」


レミが渡されたのは何かが入った正方形の箱、エクレールも気になってやや高めの台に乗って確認した


大きさはレミの手の平に収まるほど、箱にはスペアボディのエクレールのイラストが描かれていた、


エクレール

『あ!オレの絵だ!』


レミ

「…これは?」


メック

「開けてみて」


レミは箱を開けると、包装された中に一つ一つが液体に浸され、やや丸みを帯びた透明の何かが入っているのを確認した、そのサイズや形状から、レミはある物を想像した


レミ

「これって…コンタクトレンズ?私別に目は悪くないんだけど…」


メック

「そそ、ちょっと特殊なレンズでね、取り敢えずお試しに一つ片目に付けてみて」


レミ

「片目だけ?普通両目じゃないの?」


メック

「お試しだからね、合わなかったら大変でしょ?さぁ早く早くっ!あ、入ってる液体で洗浄出来るから、先に少し液体を出して指を綺麗にしてから付けてね」


レミ

「わ…分かった」


レミは袋を一つ取り出し、少し開け液体を指に掛けて擦り合わせて洗浄する、そしてレンズを取り出し、緊張しながら、目にそっと近付ける、すると表面に吸い付くように張り付いていく、付けてる感覚はまるで無く、本当に付いてるか心配になるほどだった


メックに急かされ付けてはみたものの、視力が向上したり悪化したりなど、そういう変化は特には無かった


レミ

「…メック?これ本当に付いてる?付いてたとしても…特別何か変化はないんだけど…」


エクレール

『…?』


何が正当なのか分からないレミの側で、エクレールが腕を組んで違和感を覚える


メック

「ん!ちょっとよく見せてね!」


メックは突然グイッとレミの顔に近付く


レミ・エクレール

『「うわっ!?」』


突然の接近に驚き、レミとエクレールは一歩下がった


レミ

「ちょっとメック!近いって!……ん?」


エクレール

『あーびっくりした…!』


レミ

「…なんでエクレールがびっくりしてるの?」


エクレール

『いやだって!メックが急に近付いて来てよぉ!』


レミ

「…いやメックは私に…ってメックが?…もしかして…このレンズのせい?」


メック

「いやぁ…その反応!上手くいったみたいだねっ!」


レミは少しだけ嫌な予感が過りながらも、メックに説明を求めた


メック

「任せてっ!そのレンズはね、レミの視覚・音声情報を受取ってエクレールに送信、そしてエクレールもレンズに合わせて調整して、喋らずにレンズを付けてる人にだけ聞こえる音声情報を送れる、つまりレミからは視覚情報をエクレールに、更に音声情報はお互いに送受信出来る、素晴らしいコンタクトレンズなんだよっ!」


エクレールは再び腕を組んで、納得するように頷く


エクレール

『あぁ、それでなんか変な感じなんだな、オレはメックを見下ろしてるのに、同時に同じ位の高さの目線でも見えてる変な感じがある、声も二重に聞こえて…ちょっと変な感じだ』


レミ

「でも別に、私側にエクレールの視覚も音声情報も来てないけど?」


メック

「音声情報に関しては、今はエクレールが送ってないからね、それとエクレールからの視覚情報も頑張れば表示出来るかもしれないけど、…そうするとレミの目の前が見えなくなるけど…いいの?」


レミ

「駄目!絶対に駄目!!」


エクレール

『人の目とオレのアイカメラじゃ全然違うから…そうなるわな…』


レミ

「でもなんでこれを作ったの?」


レミの疑問にメックは人差し指を立て


メック

「それは当っ然!エクレールがうるさいからだよっ!」


エクレール

『…は?』


突然の原因とされた事に疑問を持ったエクレールは首を傾げる


メック

「エクレールと留守番してると、『行きたかったなー』とか『みんなだけずりーなー』とか言って、帰ってくるまでずっとウロウロしてるんだもんっ!それに連れてってる時もリュックの中から『せまいー』とか同じような事ブツブツブツブツずっと呟くんだもん、だからこれを作ったの」


レミ

「あぁ…うん、ポートさんもそんな事言ってたっけ」


エクレール

『し…仕方ねーだろ!?事実なんだからよ!』


メック

「ただ、これもちょっと懸念点があってね…」


レミ

「…懸念点?」


メック

「そ、これを付けると、リュックの中からでもレミの見た景色を共有出来て、気分はハッピーになるでしょ?」


エクレール

『そりゃ真っ暗な景色より全然嬉しいに決まってんだろ!』


レミ

「それがどうして懸念点に繋がるの?」


メック

「んーとね、別の意味でうるさくなるかなーって」


レミ

「別の意味?…あっ、まさか…」


レミはエクレールを連れて外に出て、任務以外ではあまり見ない景色を見せた時の想像をした


エクレール

『なんだよ、別の意味って』


レミ

「…多分だけど『あっ!あれすげー!』…とか『なぁ!あれ何だ!?』…とか…そういう意味?」


メック

「…うん」


レミはメックの肩を掴み


レミ

「メック…その懸念点凄い納得…」


メック

「でしょ!?問題を解決しようとしたらまた別の問題が出てきちゃったんだよ…!」


エクレール

『人の事を問題児扱いすんじゃねーっ!』


メック

「…それでどうする?使用するかはレミに任せるけど」


レミ

「…そうね、せっかく作ってくれたし、何回か使ってみる」


エクレール

『おお!レミ…!!』


エクレールは両手を組んで嬉しそうにレミを見つめた


レミ

「だけど!…あまりしつこく話し掛けたり、返事が来なくても怒らない事、外で一人でぶつくさ言ってたら変人扱いされるからね」


変人(幽霊のヒュウ+天使の輪っか付きイメージ)

「…うっ!!」


エクレール

『おうっ!分かったぜ!』


メック

「コンタクトレンズは約24時間で溶けて無くなるからね、あ!ちゃんとレンズには保護膜があるし、溶けても良い成分で作ってるから安心してねっ!」


エクレール

『便利すぎて逆に怖ぇよ…』


レミ

「ありがとうメック!じゃあ私達もそろそろ行くわね!」


メック

「うん!行ってらっしゃいっ!」


エクレール

『また後でなー!』


レミとエクレールは駆け出し、格納庫を後にした




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



サフィア基地本部、メインルーム、擬似戦闘シミュレーターにて



ここでは、VR空間を(バーチャルリアリティ)利用した擬似戦闘シミュレーターを使った訓練が日々行われている

訓練内容は個別に設定でき、ドラーベとの戦闘やフォースデルタ・アフィア・サフィアの汎用アハッドと武器を使った模擬戦闘をシミュレーター上で行える

戦闘技術や評価がポイントに繋がり、カテゴリ毎にランキング形式になっていて、かつてはノウハウを知る者のみに絞られていたものの、今では軍以外の人達もゲーム感覚で訪れプレイしている者達もいる


それぞれ汎用アハッドそのものの性能に、シミュレーター固有の特長付けがされていて、種類こそ固定だが同じ武器でもアハッドによって性能が変わる


例としてビームサーベルは、短くて軽いが低火力、長くて重いが高火力、そしてその中間、など


1

フォースデルタ汎用アハッド、スピード型

他二機に比べて、耐久を落とし機動性を高めたのが特徴、銃撃戦でのヒットアンドアウェイを得意とする、速度が早いために扱いが難しく、上級者向け

2

アフィア汎用アハッド、バランス型

他二機の特徴を平均した性能、基本性能が高いものの特別秀でたものが無い、いわゆる器用貧乏、特に初心者向けのアハッドで、手始めはこれで慣らす者が多い

3

サフィア汎用アハッド、パワー型

他二機に比べて速度を犠牲に、耐久、火力を高めたのが特徴、敵の攻撃を耐えつつも、一撃で仕留める戦いが得意、大型武器を使った戦いが好きな人向け




レミも立ち直った後にちょくちょく訪れてはプレイを重ねていて、今では総合トップ10に名が載るほどの成績を残している


エクレール

『はー、話にゃ聞いてたけど、こんな所があるんだな、サフィアが造ったって割に結構いろんな奴がいるな、子供までいるのか』


レミ

「サフィアだからこそって光景の方が強いかも、軍は規律が厳しい事も多いし…、それと子供の方が情報とかを素直に受け取ってるから成長も早くて、結構強い子が多いみたいよ、各基地にも同じ物があって、同じ戦闘設定の遠くにいる人とも競う事も出来るんだって、組み合わせはランダムだから私も何度か子供と戦った事もあったかな」


エクレール

『へー、まさか負けたなんて事はないよな!』


レミ

「これでも元フォースデルタの軍人だし…流石に子供にはね、ただそれ以外だと…始めた頃は操作に慣れなくて勝てない事も多かったけどね」


エクレール

『(レミもまだ16だし、子供っちゃ子供って言われそうだな)』


エクレール

『んで、シミュレーターのランキングの上位に見知った名前とかあんのか?』


レミ

「…言われてみれば、殆ど訓練としか考えてなかったからランキングは気にした事は無かったかな、ちょっと受付に聞いてみましょうか」


レミは受付に向かい、ランキングトップ10のリストを見せて貰った


レミ

「これが現在のトップ10…」


エクレール

『フンフン、レミは…8位か、基準は知らねーけど…人の多さを見るに始めてここ数ヶ月にしては結構高いんじゃねーの?』


レミ

「サフィアや今ここにいる人達全員がシミュレーターをプレイしているって訳でもないと思うからちょっとなんとも…あっ、この人って確か…」


リストの中に、見聞きした者の名前が目に入る


エクレール

『んー?…あっ!フェイスじゃねーか!アイツトップなのかよ!』


レミ

「半年ほど前にはレダルと凄い戦いをしていたものね…あ、シャイラさんも3位にいるわ、やっぱり強いのね」


エクレール

『んー他はあんまり知らねー奴だなー…ってアイツいねぇじゃねーか!』


レミ

「アイツ…?」


エクレール

『ロヴェルだよロヴェル!アイツここのトップだろ!?レダルと互角だったフェイスがトップなのはともかく、せめて2位にはいねぇと駄目だろ!』


エクレールにそう言われたレミも、最後にロヴェルの戦闘を目にしたのは後にも先にもイールフのみ、その一回の戦闘でも実力の高さは知っている…ここ半年…もしくはこれまで一度も挑戦しなかったのかだんだん気になり、受付に尋ねた


レミ

「あ…あの!ロヴェルさんって、ランキングに入ってないんですか?」


受付

「ロヴェルさんですか?あの方はこのシステムの設計に携わった創設者なので、自ら参加しないって決めてるんですよ、管理や更新を別の人に移し、シミュレーター自体がアップデートされて当時と別物になった今でも参加してないんです、個人的にはトップになれると思っていて…是非参加してほしいとは思っているんですけど…」


レミ

「…そうなんですか…ありがとうございます!」


レミは受付を後にした


エクレール

『システムの創設者ってのも大変なんだなー』


レミ

「そうね、確かに設計に関わってたら、戦い方とか何から何まで分かっちゃうものね」


エクレール

『…で、ビームサーベルの集中訓練はどうすんだ?』


レミ

「問題はそこよね…当然ロヴェルさんと戦う為に鍛えるのだから対人であるのは必須、それも出来れば私以上の実力を持つ人、ある種勝手なハンデ戦をお願いする事になるって考えたら…ちょっとね…」


エクレール

『まぁ別にランキングが実力の全てじゃないだろ?人それぞれ得手不得手あるんだし、それに上位の奴等がどこにいるかとか、連絡も殆どつかねぇだろうしな、武者修行の如く数をこなす感じがいいんじゃねぇか?』


レミ

「…そうね、シャイラさんも先の事で忙しいだろうし…その方向で…」


???

『君、ちょっといいかい?』


レミ

「?」


くぐもった声が聞こえ、呼ばれたのが自分の事かと思い、レミは振り返る


レミ

「…あれ?」


エクレール

『んー?』


そこにはフルフェイスヘルメットを被った、少し背の高い人間が立っていた


レミ

「えっと…私に…話し掛けたん…ですか?」


???

『あぁ、合っているよ、久しぶりだね、確か…レダルとの一件以来だ』


エクレール

『久しぶり…レダルって…あっ!?コイツフェイスじゃねーか!?』


レミ

「えっ!?フェイスさん!?ど…どうしてここに!?」


フェイス

『思い出したかな?ちなみにどうしてと言われても…僕もサフィアなんだが…』


レミ

「あっ!ご…ごめんなさい!こんな所で会うなんて思ってもみなくて!…そうだ、あの時は…私を止めてまで戦ってくれてありがとうございました、私じゃ…多分あそこまで戦えなかった…」


フェイス

『いや、あれはあくまで上からの命令だったからね、止めないと怒られるのは僕の方だった、だからその事は気にしないでくれ、実力に関しては…僕には君の情報がないから何とも言えない…だが君は、現在トップ10に入る程の実力の持ち主だ、当時はともかく…今はそこまで謙遜しなくてもいいんじゃないかな』


レミは自分よりも実力が上の相手に褒められた事に少し照れながら、お礼を言いながらお辞儀をした


レミ

「…それで、私に何か用ですか?」


フェイス

『なに、そんなに大した用じゃないんだ、僕はランキングのトップの立場上、任務や指導で中々一箇所に留まれる事が少ないんだが…半年ぶりに訪れたこの地に、メキメキと実力をつけているルーキーが目の前にいたからね、君が良ければ是非、シミュレーターの相手として手合わせをお願いしたくてね』


レミ

「えっ!?トップと!?」


フェイスはレミの口の前で人差し指を立て、言葉を遮る


フェイス

『シーッ…』


レミ

「え…?」


レミの言葉に反応したのか、周りがざわめく


ガヤ1

「トップ…?」


ガヤ2

「トップが来ているのか!?」


ガヤ3

「どこー?」


ガヤ4

「フェイスさーん!」


ランキングのトップがいると知れた途端、辺りがざわざわし始める、原因を作ってしまったレミは少し慌て


レミ

「あ…わわ…どうしよう…?」


フェイス

『これじゃマズイな…失礼…!』


レミ

「え!?」


エクレール

『おい!?』


フェイスはレミの手をそっと掴み、人混みを避けるように連れ走っていく、数十秒走ると人の居ない個室に入った


レミ

「ハァ…ハァ…ごめんなさい、私が大声を出したせいで…!」


フェイス

『…いいんだ、僕はあくまで実力向上の為にシミュレーターをするんだが…良い結果が出て有名になると…嫌でも避けられない道だ、追われる事も…もう慣れてしまったよ』


レミ

「…そう…なんですか」


エクレール

『…つーかさ、それはそれとしても、なんでコイツここでもヘルメットなんだよ!』


レミ

「…え、えっと…変な事聞くんですけど…フェイスさんって、それが顔…って訳じゃ…ないんですよね?」


レミも気にはなるものの、直接的に聞くのも躊躇いがある事で、絶対にあり得ないような質問をしていた、それに対してフェイスは、フルフェイスヘルメットの頬辺りを軽く掻いてから


フェイス

『フフ…良く分かったね、他の者はヘルメットを取れって言うんだが…これを取れって事は…僕には首を落とせって言ってるようなものなのさ』


エクレール

『は!?マジかよ!?』


レミ

「えっ!?本当に!?」


フェイスは軽く肩を竦めながら両腕を上げ


フェイス

『もちろん嘘さ』


レミ

「えぇ…?」


エクレール

『嘘かよ!ふざけんな!!』


フェイス

『フフ、からかってすまない、…正直な所…このヘルメットは見た人を怖がらせない為に着用しているんだ、僕は過去に…ドラーベの襲来によって起きた落盤事故で、顔面を含む全身に大怪我を負ってね、…懸命に手を施してくれた手術の結果、命は取り留めたが…特に顔が原型を留めてない程ぐちゃぐちゃなんだ…、決死に手術をしてくれた執刀医すら…まともに顔を合わせてくれなくなるほどにね』


レミ

「…そんな」


エクレール

『…おぉ…真実はヘビーだな』


フェイス

『…そんなに気に止む事はない、このヘルメットや積み重ねてきた実力のお陰で少なくとも、怖がられる事は少なくなった、…代わりに怪しまれはするが…恐れられるよりはずっとマシさ』


レミ

「フェイスさん…」


フェイス

『…さぁ…僕の身の上話はこれでお終いとして、シミュレーターの手合わせの返事は決まったかな?』


本題を思い出したレミは気持ちを落ち着け、改めてフェイスにしっかりと向き合った


レミ

「…こんな機会中々ないです、是非お願いします!…それで…一つお願いがあります」


フェイス

『…何かな?』


レミ

「…凄い勝手な我儘なんですけど…ある事情で…とにかくビームサーベルでの戦闘技術を上げたいんです、だから私が使う武器はそれだけになります…なので…期待の実力が全く出せないかもしれない…それでもいいですか?」


フェイス

『…なるほど、ワケアリのようだ、なら僕に協力できる事は何かあるかな?全力は勿論として、使う武器などの指定をしてもらっても構わないよ』


レミ

「えっ!?いやそこまでは…」


エクレール

『いやレミ!フェイスはあのいけ好かないロヴェルと同じ二刀流だろ!せっかくこう言ってるんだ!チャンスを活かそうぜ!』


レミ

「(…そっか!)」


レミ

「じゃあ…レダルと戦った時のように…二刀流での戦いをお願い出来ますか?」


フェイス

『…すまない、使うのがシミュレーターという関係上、武器は固定化されている、二刀流はシステムには組み込まれていないんだ』


エクレール

『なんだよ!ケチ!!』


レミ

「(聞こえてないからってフェイスさんに言ってもしょうがないでしょうに…)」


レミ

「…そういえばそうでした、無理言ってすみません」


フェイス

『いいんだ、せめて一刀で出せる力を尽くそう』


レミ

「ありがとうございます!」


フェイスは移動してスイッチを入れると、部屋が明るくなる、そこには背中合わせに、擬似戦闘シミュレーターが二台置いてあった


レミ

「あ…こんな所にも?」


フェイス

『あぁ、各基地に上位者が優先して入れる個室があるんだ、ここもその一つだよ、さぁ、準備はいいかい?』


レミ

「あっ!はい!」


レミが席に座るのを確認し、フェイスも席に座った、特性のVRゴーグル付きのヘッドセットを装着し、起動する


エクレール

『おっ!?レンズのお陰か…オレも映像が見えるのか!だったら口頭だけでもサポート出来るじゃねぇか!ありがてぇ!』


レミ

「あっ、そうなんだ、…でもいいのかな?」


エクレール

『いいのいいの、実戦感覚は大事だろ?それにこんな機会中々ないんだしさ』


レミ

「…そうね、サポートお願いね」


エクレール

『おう!…まぁ、オレの本体じゃねぇから、出来る事は限られるけどな』


レミ

「居てくれるだけでもいいの、しっかりしてよ?」


エクレール

『レミ…、…へへっ!任せとけって!』


それぞれアハッドを選び、戦場に向かい合う、レミはシミュレーター固有とはいえ、エクレールの元となった、フォースデルタの汎用アハッド、対するフェイスはレダル戦でも使っていた、アフィアの汎用アハッドを使用する事に


レミ

「あれは…あの時も使っていた…」


エクレール

『アフィアの汎用アハッドで、シミュレーターの情報によれば、三機の中でも現実との差異が少なくて、違いは武器だけだな、それだってのにレダルとの戦いでは、これまで戦ってきたアフィアでは見た事無い凄ぇ動きだったよな』


レミ

「えぇ、試し撃ちをしていた前半はともかく、攻撃をいなしたり二刀流での戦い方は、アハッドのスペックを全て引き出して限界を超えたような戦い方だった…」


視界の片隅にモニターが映り、そこにはフェイスの姿があった


フェイス

『…準備はいいかな?』


レミ

「…!はい!よろしくお願いします!」


それぞれのアハッドがビームサーベルを構える


フェイス

『では…カウントスタート』


そう言うとモニターのフェイスは消え、通信も切れた


機械音声

『対人戦闘シミュレーション…スタンバイ、5…4…3…2…1…』


機械音声

『ミッションスタート』


戦闘開始の合図と共に、フェイスはビームサーベルを振り、衝撃波を飛ばしてきた


エクレール

『うおっ!?いきなりかよ!?』


レミは衝撃波を冷静に躱しつつフェイスへと向かい、ビームサーベルを振りかざす、フェイスは正面から受け止めて弾くのを皮切りに、ビームサーベル同士がぶつかり、火花が飛び散らせながら互いに剣撃のぶつけ合いが始まる


使ってるアハッドの特性上、火力はレミ側が劣るも、それを補う速度と手数でほぼ互角、お互いはそれを理解した上で切り合いを行っていた、二人はタイミングを図り…いつどこで攻め込むかを…探っていく


そして…


エクレール

『今だ!』


レミ

「!」


エクレールの合図に反応し、レミは一瞬攻撃をズラした、フェイスの剣撃はレミのアハッドの肩を掠め、レミの剣撃はフェイスのアハッドの頭部にダメージを与える


レミ

「よしっ!」


フェイス

『甘いっ!』


フェイスのアハッドは、すかさずレミのアハッドを蹴り飛ばす


レミ

「くっ!?」


エクレール

『んなっ!?』


レミはブースターを強めて勢いを殺した


レミ

「これで……!?」


フェイス

『その判断は…失策だ!』


減速をかけて体勢を整えた矢先、目の前には既にフェイスのアハッドが迫っていた、そのまま勢いをつけた斬撃を浴びせた、それによってレミのアハッドは大きく損傷しながら後退させられる


レミ

「くぅっ!?」


エクレール

『なんて反応…いや…レミがこうする事を見越してやがったのか!』


一度は好機を手にしたものの、その喜びを感じさせないまま上回る攻撃をされる、それによって自分との差を改めて認識させられる


エクレール

『シミュレーターのランキングとはいえ、流石にトップなだけはあるな、…ん?レミ?』


ふと、静かなレミが気になったエクレール、そんなレミは…身体が僅かに震えていた、姿は見えないものの、レンズからの映像が小刻みに震えている事で、エクレールにもその状態は伝わっていた


エクレール

『お…おい、大丈夫か?』


レミ

「…うん、ごめん」


エクレール

『いや…謝るんじゃなくてさ、その…なんだ…震えるくらい…怖くなっちまったか?』


レミ

「…怖い?」


レミは震える自分の身体を鎮めるように、手をギュッと握り


レミ

「…違う、これは…嬉しいの」


エクレール

『…嬉しい?何が?』


レミ

「…それは、この戦いが終わってからね!」


レミは見様見真似で、フェイスに向けビームサーベルを振るい衝撃波を飛ばしつつ、機体も加速させて突っ込んで行った


フェイス

『ほう…』


レミ

「そこだぁっ!!」


フェイスは正面から衝撃波ごと切り払うようにビームサーベルを振るった、フェイスの攻撃はレミの放った衝撃波を消した事で、攻撃に隙が出来た、レミはその一瞬に二連撃を叩き込む、一撃目は剣を薙ぎ払い、二撃目で…コックピットを貫いた


フェイス

『…捌き切れなかったか…見事だ』


機械音声

『目標撃墜、ミッション終了、ミッション終了』


エクレール

『おっしゃあ!!レミ、やったな!』


レミ

「えっと…勝った…の?」


モニターにフェイスが映り、通信が入る


フェイス

『ああ…君の勝利だ、最後の連撃…中々見事だった』


レミ

「ありがとうございます!…でもフェイスさんは本来二刀流、実戦とは違って…完全な状態で本気を出せている訳ではありませんでした」


フェイス

『フフ、このシミュレーター上で今出せる全力は出したつもりさ、…それを言うなら君もじゃないか?以前会った時は…汎用機ではなく、違うアハッドだったと記憶しているよ?』


レミ

「確かにアハッドは違いますけど、やろうとしていた事は変わらないですから」


フェイス

『つまり、結果は変わらなかったと』


レミ

「あ、いえ!そういう事じゃなくて!」


フェイス

『フフ、すまない、少しからかってしまった』


エクレール

『変な奴…』


フェイス

『ともかくだ、この戦いの決着は君の勝利、だがまだ訓練を続けたい…そうは思わないかい?』


レミ

「…!はい!…でも、いいんですか?フェイスさん忙しいんじゃ…」


フェイス

『良いんだ、時にはこうして、責務も何もかも全てを忘れて打ち込みたい時がある…それに、急成長中のルーキーである君の力をもっと知りたいからね』


エクレール

『そうだろ?…って、ここまでやってもルーキー扱いかよ…!』


レミ

「(…シミュレーター経験数ヶ月じゃあね)」


レミ

「それじゃあ、胸を借りるつもりで…お願いします…!」


フェイス

『こちらこそ、お手柔らかに頼むよ』


そして、レミとフェイスによる戦闘訓練が行われた、途中、休憩や昼食を挟みながら、レミを心配してプレデシャンにいる者から連絡がくる夜まで、訓練はガッツリ行われた


エクレール

『あー、もうこんな時間だったのか…そりゃこの時間まで見当たらない、連絡しないじゃ、心配になるわな…結構楽しかったんだけどなぁ』


レミ

「すみませんフェイスさん、結局一日の殆どを訓練に付き合って頂いて…」


フェイス

『いや良いんだ、僕もつい夢中になり時間を忘れる程有意義な時間だった、僕は君の役に立てたかな?』


レミ

「も…もちろん!学ぶ所が沢山あって、凄い勉強になりました!」


エクレール

『要所要所で、試合形式にして良い勝負は多かったけど、結局負け越したもんな』


フェイス

『フフ、役に立てたなら何よりだ、連絡がきたと言う事は、心配を掛けて呼ばれてるんじゃないかな?急ぐといい』


レミ

「は、はい!それじゃあこれで失礼します!今日は本当に…ありがとうございました!」


フェイス

『ああ、気をつけて、いつか君達と本気で手合わせ出来る時を楽しみにしてるよ』


フェイスはスッと手を差し出すと、レミはそれに応じて手を差し出し、互いに握手を交わした


エクレール

『…?』


レミ

「はい!私も楽しみにします!フェイスさん!またいつか!」


レミは一礼し、個室を出てプレデシャンへ向かって行った


フェイス

『フフ、君達ならきっと…彼とも良い勝負が出来るはずさ…』



サフィア基地本部専用システム、UGボードに乗ってプレデシャンに向かう道中


エクレール

『…なぁレミ…あのさ…』


レミ

「ん?どうしたの?」


エクレール

『アイツ…フェイスさ、…オレの事気付いてた…かも』


レミ

「えっ?」


エクレール

『聞き間違いじゃなけりゃ、最後の方に言ったんだよ『君達』って…』


レミ

「…急がなくちゃいけないと考えてたから、全然気付かなかった…」


エクレール

『おいおい、…別にいいけどさ…気のせいかもしんねぇし、…お?もう着いたな』


レミ

「本当だ、今日は一日中訓練してもらったし、明日は英気を養う為に訓練はほどほどにして、決闘に備えてゆっくりしましょうか」


エクレール

『おう!!』


そしてレミ達はプレデシャンへと戻り、二日後のロヴェルとの決闘に備えるのだった…






作品に関しての感想、質問があれば可能な限りお返事します。


次回も楽しみにして頂けると幸いです

ここまでお読み頂きありがとうございました!

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