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第五十四話【組織のトップの個人的な願い「私にだって…大事な存在はいる」】

まずは閲覧ありがとうございます!


このお話は初心者による物語です、プロフィールに書いた通りのまるで台本の様な小説とは程遠い拙い文章、少ない表現力、明らかな描写不足、当然の様な誤字脱字など正直問題だらけです、それでも読んで頂けるのならば幸いです。


一部の「」『』の説明


「」は主に人間のセリフ


『』は人間以外や大体の主観の人以外の電話や通信越しなどによる人間の音声のセリフのイメージとなっております。


【この話での未知の生命体ドラーベ内の用語集】


【アハッド】


異星の者達から伝えられた技術によって、対ドラーベを想定して造られた人型兵器、大きさはおよそ8m程


【アフィア】


地球に存在する反異種族連合軍の通称


主に多くの地球人が集まった者達で結成されたそれは、ここ数十年で規模を広げ今ではフォースデルタに次いで地球を二分に分ける程力を持った組織、度々フォースデルタと衝突を起こすも、あくまで自分達は地球の為に行っていると正当化している、異星から来た彼らの技術を盗み、アハッドまで造り出していた(但し、違いは殆ど無い)




【カッド】


アハッドと同様に異星から伝えられた技術によって造られた戦艦、アハッドを格納な上にある程度の戦闘も可能、海上、空中、宇宙への航行も可能としている


【サフィア】


反異種族連合軍…アフィアの中の特殊部隊の通称


アフィアのロヴェルが統率している組織



特別国家イールフ


世界に広まっているアハッド、開発当時の研究者の一人が地球に作ったと言われている小さな国


他の国が最先端を目指して高層ビルや交通などを発展させていく中、この国は地球由来の豊かな自然が多い、そして中央には大きな噴水があるのが特徴的


【フォースデルタ】


地球連合軍の通称


異星との交流によりアハッドなどを得た地球で、対ドラーベを想定され発足された国を越えた人々が集う軍




【プレデシャン】


ミレイ達の乗るカッド…戦艦の名前


【ドラーベ】


地球や異星などに突然現れた未知の生命体、意思疎通が出来ず、人間を襲うものの明確な目的などが分かっていない為、侵略者として扱われる事が多い


現在軍に三種類確認されているドラーベだが、共通しているのは頭部が伝説上のドラゴンの様な形をしている事のみで、身体はそれぞれ違いがある


【オールドドラーベ】


ドラゴンの様な頭部を起点に、上半身は竜人を思わせる身体、下半身は蛇の様にやや長い身体、全体的に靭やかで身体の灰色部分は硬い、赤黒い部分は比較的硬くないが、それでも銃弾や刃物を通さないほどの硬さはある、人で言う肩の辺りからは、形状を鎌や触手の様に変化させる特殊な腕の様な物がある、大きさはおよそ1m超え


上記の通り足は無く、浮いてはいるがスピードは余り速くない(小学高学年位なら逃げ切れる)




プレデシャンに集まったクルーによって質問攻めにされたヒュウ達、実はレダルの仲間なのでは、という疑惑を持たれてしまう


それぞれが様々なやり取りを交わす中、エクレールから『レダルの事を知ってたのでは?』という鋭い指摘をぶつけられたヒュウは、出会った時の事をみんなに正直に話していった


結果的に見れば、困っていたレダルの罠によって追い詰められ、エヴァルドラーベに変化して応戦したものの…敗れた


ヒュウが助けられた際の報告の中のいくつかの疑問をぶつけられたが、ヒュウもアライブも心当たりが無かった為、謎のままではあるが…少なくともレダルとは敵対している事を分かってもらう事は出来た


そして話を聞いていたエクレールから、改めてヒュウとアライブの仲の良さを指摘され、もはや大切なパートナー…相棒とも言える存在だと言われる


それによって、ヒュウとアライブは互いの存在の大きさを改めて認識し…互いに自分を相棒として欲しいと願い…望み…受け入れた


その瞬間謎の光に包まれると、いつの間にかヒュウの首に赤いスカーフが巻かれている事に気付いた


みんなが不思議に思い、調べてみようとスカーフを様々な方法で外そうとするものの、結果的に外す事は出来なかった


それ以外に異変は確認出来なかった為、その場は解散となった…








サフィア基地本部、メインルームにて



サフィアが意図的に起こした軍事作戦で誘き出し、そこに現れた未確認の敵…レダル、彼が望んだ決闘にて得られた戦闘データを共有し、今後の戦闘に活かす為メインルームへ呼び出されてやってきたミレイ達は部屋へと案内される


ミレイ達はヒュウ達との話し合いで遅れてしまい、基地の他の人達は既に情報の共有を終えていて、部屋にはロヴェルとシャイラだけが待っていた


ミレイ

「遅れてしまってごめんなさい、少しバタバタしてしまって」


ロヴェル

「構わないよ、僕も丁度来た所さ」


ロヴェルの一言にレミは少し驚き


レミ

「えっ?最初はいなかったんですか?」


シャイラは呆れながら首を横に振り


シャイラ

「最初からいました、丁度来たというのは全く正しい表現ではありません」


ロヴェル

「フフ、そう固い事を言わないで、さて…それでは君達にもフェイスとレダルの戦いで得られた情報を共有しよう」


レミ

「は…はい!よろしくお願いします!」


ミレイ達はロヴェル達から、先のフェイス対レダルの戦闘データが送られる、効いた武器や効かなかった武器、効果的と思われた戦術から今後の対策まで簡潔に纏められていた


ロヴェル

「それではシャイラ、頼むよ」


シャイラ

「はい、今回顕になった未確認の敵、自らをレダルと名乗った者についてです、近くの物体と比べた際の人間としての大きさも驚くものでしたが、何よりもドラーベとしての本当の姿と称して見せた姿は…これ迄の歴史で初めて確認されたものでした、現存の三種とは大きく違うものの…確かにドラーベを人型にしたような姿をしています…が、意思疎通が出来たり人に化けたりと、理知的であるという点はこれまで確認されたドラーベとは明らかに違う存在です」


レミ

「(…私はエクレールのモニターの映像越しだったから特に気付かなかったけど…改めて映像としてみると、確かに人としての姿も普通とは言い難いかも)」


映像を見せながら、ふとロヴェルはある事を思い出し


ロヴェル

「…そういえば、レダルとは別に…以前イールフでも謎の生物を見たな」


その言葉によってレミの心の中で緊張感が走った、事前に指摘される可能性がある事は予想していて気を付けていたが、いざその時が来ると嫌でも心音が高まった、一方で側のミレイとポートは、経験の差からか表面にも心にも動揺は表れなかった


ロヴェル

「ふむ…イールフに現れた生物は映像にも残っていないが…どことなく似ている気がしなくもない、確か報告では…」


ミレイ

「えぇ、イールフに現れた謎の生物は…レミが完全に消滅させました、当時はドラーベ襲来の中の未知の敵だった事や、助っ人であったあなたを倒すほどの強さ、こちらも余裕が無かったとはいえ…今思えば捕らえる事を指示するべきだったと…反省しています」


レミ

「(消滅…ロヴェルさん達からエヴァルドラーベについて深く追求されないなと思ってはいたけど…お母さんそんな風に報告してたんだ…)」


申し訳無さそうにするミレイに、ロヴェルは軽く笑い


ロヴェル

「少し痛い事を掘り返されたが…寧ろその判断は正しかったかもしれない、もし仮に捕らえて生かしていれば…被害を受けたイールフには残しておけない、だとすれば行き先は当然この基地、奴らに関係があったのかは分からないが…下手すればレダルが助け出し…内側から協力して攻め込まれた可能性もあったからね、危険な芽は摘んでおいて正解だったと言えなくもない」


レミ

「あ…」


ロヴェルの言う事はもっともだ、かつて海上基地で現れた謎の生物…その正体はエヴァルドラーベへと変化したヒュウ達であったと判明し…彼等の想いを聞いて、現在では仲間となったレミ達だが、どこかで歯車がズレていたら…レダルとエヴァルドラーベが組み、自分達と敵対していた未来もあったかもしれない、そう思うとレミは…少しだけゾッとした


ロヴェル

「とりあえず話を戻そうか」


シャイラは了解です、と返して情報の続きを話していく


シャイラ

「先に行われた戦闘においてですが、対ドラーベを目的として開発されたビームライフル、現状では有効性は低く、再生のせいか…あまり通じませんでした、そして次にミサイル、こちらは主に対飛行ドラーベ用で、速度や追尾性が高いですが…単発の威力は控えめ…ですが一応全弾着弾している事で威力の総量は悪くないはずでしたが…同じく余り効果が無かった、これらの分析により熱には強い耐性があると導き出しました、ビームライフルを応用して作られたビームサーベルに関しては、刀身に熱以外の要因もあるのでレダルにも有効であったと思われます」


ミレイ

「(再生能力…エヴァルドラーベは集中する事で最高でも数時間で瀕死から回復したのよね(※)レダルもこの時は再生に集中していた可能性があるのかしら…、…そもそもヒュウ達から聞いた話では…レダルはヒュウ達よりも変化してから長い期間を生きてきたらしいから…元々の地力の違いも考えられるけど…)」


(※)ヒュウ達がレダルに敗れて病院で目覚めた夜中、病院から帰ったレミから聞いた話

アライブが瀕死のヒュウをエヴァルドラーベに変化させて再生させたという話で、レミ達が治療後の瀕死のヒュウを確認した時、レミが看病を率先した後、昼から夜中までのどこかで寝落ちしてしまい…その後夜中にはヒュウが殆ど回復していた、しかしその場面そのものは確認出来ていない為、あくまで再生に掛かったのが最高で数時間、という事



シャイラ

「他にも凍結による一時的な行動制御も有効でした、そしてその時レダルが氷を溶かした事から、常にかどうかは分かりませんが熱も発しているかと思われます、それによって出来た水分を通して、電撃によるダメージも確認する事が出来ました、電撃単体ではどうなるのかは不明ですが…取り敢えずこんな所でしょうか」


話が一区切りし、まだ聞いていない事がある事に気付き、レミが質問をした


レミ

「…シャイラさん、最後の方にレダルを吹き飛ばしたのってなんだったんですか?」


シャイラ

「…あれはまだ開発中の物であって、申し訳ありませんが他言することは出来ません」


レミ

「えっ?そ…そんな!?」


ポート

「…この基地に入った時の違和感や、この規模の組織の事を考えれば…大体想像はつくがな」


レミ

「想…像?」


ミレイ

「…あえて武器そのものには言及はしません、ですがあの武器が必要になると思った要因には興味があるわ、私達が知らず、サフィアの中で未報告の敵がまだいるのか、もしくは視点を変えてみて…もっと身近な所、例えばもっと大型の…対カッド用の武器…だとか…」


シャイラ

「……」


ミレイの意見に、シャイラは微動だにしない


ポート

「フ…反応でバレないよう、少しは学んだか?」


シャイラ

「…何を仰ろうと、口外する事は出来ません」


ロヴェル

「すまないね、君達が完全に僕達の同志なら伝えられる事もあるのだが…、しかし何故…わざわざそれを言ったのかな?先に口外出来ない事を深堀する事は、機密を教えろと言ってるようなものだ、相手が相手なら、後にも先にも消されかねない行動だと思うが?」


レミは慌てて立ち上がる


レミ

「…!ま…まさか私達を!?」


ミレイ

「落ち着いてレミ、この質問をする時点で、今の所はそういう気がないって言ってるのよ」


レミ

「え…えぇ?…頭がこんがらがりそう…」


混乱しながらも、レミはゆっくりと座った


ロヴェル

「フフ、その意図にもすぐに気付くとは、…改めて尋ねた理由を聞いてもいいかな?」


ミレイ

「強いて理由を言うなら、このサフィアという組織は来たばかりの私達に対して、どれほど信頼を置いているのか、勝手ながら確かめた事になります」


シャイラ

「…あなた達は友人からの紹介を受けたおかげでここにいる、そんな事をして追い出される心配はしなかったのですか?フォースデルタを追い出されたあなた達に、これ以上居場所はないでしょう?」


レミ

「それは…」


ミレイ

「居場所はもちろん大事よ、ただそれ以上に…組織や誰かに飼い殺しにされるのは…もう沢山って思ってるの」


レミ

「お母さん……」


シャイラ

「…身勝手ですね」


ロヴェルはじっくりとミレイを見据え


ロヴェル

「…しかし、それはそれで…好都合かもしれない」


レミ&シャイラ

「?」


ロヴェル

「…そんな想いを抱えた君達に、これはサフィアのトップではない、僕…ロヴェル個人としてのお願いがある…個人的なこの事に関しては…シャイラ、口出しは無用だ」


シャイラ

「ロヴェル…一体何を…」


ロヴェルはテーブルの上に肘を乗せて腕を組み、話を続ける


ロヴェル

「…このサフィア、それぞれの軍の…いわゆる、はじき出されたような者達の集まり、彼等がなんの思想で集まっているか…分かるかな?」


突然の質問に、レミは思考を巡らせて考える


レミ

「…?…以前の話をベースとするなら、ある意味何でもしているから…誰かを助けたくてとかじゃ…」


ロヴェル

「それは…僕達が後から広めた裏向きさ」


レミ

「…えっ?裏…?表じゃなくて?」


ロヴェル

「そう…裏だ、僕は当時のサフィアの発足者ではなく、人伝に聞いた話なんだが…このサフィアの表に隠された存在理由は…フォースデルタやアフィアの…解体、若しくは殲滅を目的としている」


ミレイ・レミ・ポート

「!?」


レミ

「な…何でそんな事を!?」


ロヴェル

「理由は単純、発足者個人の…復讐さ」


レミ

「復…讐?」


ロヴェル

「もちろん…個人の事だけでこのサフィアは生まれない、だが日々日々出てくるんだ、後の発足者となる者と同じ境遇の者が…一人、また一人と…一つの持ち合わせた感情に所属は関係ない、復讐と言う共通の感情は、互いを引き寄せ大きくなっていく…そうして集まった数十人の寄せ集めの集団が始まりと言われている」


レミ

「…ロヴェルさんやシャイラさんも?」


シャイラ

「違います!一緒にしないでください!」


ロヴェル

「僕は寧ろサフィアの目的を主軸とした場合…逆の立場かな、元々はここ…サフィアを解体する為に送られた、アフィアの刺客なんだ」


ポート

「…サフィアを解体する者が何故、今はそのサフィアのトップを務めている」


ロヴェル

「…僕が来た当時、この組織は既に疲弊していたんだ、あまりに数が多く、何をするにも復讐の感情が片隅に付き纏う歪な生活、僕はそんな彼らを見兼ねて…力づくで解体するよりも、まず取り戻して欲しい事が浮かび…ある事をさせてみたんだ…何か分かるかな?」


再び突然質問が振られ、振られた本人のレミが慌てる


レミ

「えぇ?そんな急に言われても…えっと…あっ!例えば日常生活を思い出させる為の買い物とか…!」


ロヴェル

「それも答えの一つと言えるかな、正確な正解はボランティアだ」


レミ

「ボランティア…?ゴミ拾いとかをするあの?」


ロヴェル

「そう、でもそこら辺の町を無作為にという訳ではない、その場所として選んだのは…フォースデルタとアフィアが争った後の場所なんだ、その時案内したのは…巻き込まれて半分は崩壊した村だったよ」


ポート

「…なるほど、それはまたエライ場所だな、危険ではなかったのか?」


ロヴェル

「危険だからこそ…意味があったんだ、まだ戦争によって起きた被害に巻き込まれて助けられていない人達もいた、…そんな時だったからこその意味がね」


ミレイ

「…そう…つまりその復讐に囚われた人達にお願いしたのね、危険な中での避難誘導や救助を」


ロヴェルは頷き


ロヴェル

「そうだ、初めは渋々従っていた彼等だったが、危険な中で救助してくれた彼等に村の人から感謝が送られた、それによって復讐に囚われた彼等にとって久しく感じていない感情が戻ってきたんだ、元々軍に入ったのは…大体が誰かを守りたかったりするような者達だったはずだからね」


レミ

「…え?それって…」


シャイラ

「…何処かの誰かさん、みたいですよね」


ロヴェル

「フフ、君も復讐に囚われていた内の一人だったね」


レミ

「えっ!?」


シャイラは当時の事を恥ずかしがり、複雑そうな表情をしながら


シャイラ

「さっき否定したばかりですよね!?…お願いですからその事は言わないで下さい!…今となっては、恥ずべき事なんですから…」


ロヴェル

「すまない、少し懐かしくてね…その時の救助をキッカケに、少しずつだが身近な者に手を差し伸べられるように仲介していったんだ、いつしかその手は、かつての自分達のような軍から弾かれた者達へも向けられてね、そうしてこの組織は大きくなっていったんだ、その頃かな、僕がトップに推薦されたのは」


レミ

「…でも…なんでそんな考えを持っていたのに、軍の殲滅なんて…」


ロヴェル

「…軍を脅かせる程に、組織として大きくなりすぎたんだ、組織というのは大きければ大きいほど、個人全てには目が行き届かず、どこかで綻びが生まれる、その綻びはいつしか蝕んでいくんだ、少しずつ少しずつ…誰の手も届かない程に」


レミ

「…そんな」


ロヴェル

「…だがそんな時、誰かを救う為に力を使うと言った者達がサフィアにやってきた、その者達は飼い殺しになる事を拒み、尚且つ自ら力を振るう事への信念を持っている」


レミ

「あれ…それってまさか」


ミレイ

「………」


ロヴェル

「…改めて君達にお願いしたい、そう遠くない未来、いずれサフィアは…アフィア・フォースデルタのどちらか…または両軍へと全面戦争を仕掛けるだろう、それを止める抑止力として、力を貸してほしい」


レミ

「ちょ…ちょっと待って!私達を信頼してくれてお願いされるのは嬉しいですけど、これだけの規模の組織を私達だけで止めるんですか!?いくら何でも無理がありますよ!?」


ロヴェル

「もちろん多勢に無勢、君達だけでサフィアそのものを止めるのはまず無理だ、だが先のフェイスとレダルの戦いに良いヒントを貰えたはずだ」


ポートは口元に手を当てながら考え、ある事が浮かぶ


ポート

「…一対一の決闘か」


ロヴェル

「…そう、寄せ集めの組織だからこそ、トップを崩されれば案外脆いもの、しかし僕とて数々の同士によって選ばれた身だ、手を抜く訳にはいかない、つまり本気の僕に君達は…いや、君は勝たなければいけない」


ロヴェルはレミを見つめ、そう言った


レミ

「私が…ロヴェルさんに?」


シャイラ

「あなた方のチームでアハッドを操り、まともに戦えるのはあなただけでしょう、戦闘機でも勝てると言うのなら、他の方にもチャンスはありますが」


ポート

「流石にそれは無理があるな」


ミレイ

「(ポートはアハッドの操縦も可能と言えば可能だけど…レミほど上手く扱える訳ではないものね)」


ロヴェル

「もし受けてくれると言うのなら、全面戦争までにはまだ時間がある、君達には事が起きるまでに自由に各地を回ってもらい、パイロットとしての実力に磨きをかけてもらいたいんだ、もちろんその為の援助は惜しまないつもりだ」


ミレイ

「…断れば…もしくは受けた上でレミが勝てなかった場合、どうなるのかしら?…少なくとも挑んで負けた場合、私達は反逆者…無事でいられる保証はないわよね?」


ロヴェル

「断った場合は、この話は聞かなかった事にしてもらって構わない、追い出したりもしないが…止める者がいない事によって…おそらく全面戦争に協力してもらう形になる、挑んで負けた場合は…君の想像通り、サフィアにも追われる事になるだろう」


ポート

「…断っても負けても…まともな道は無いか…酷い話だ」


ミレイ

「…レミ、辛い事を決断させる事になるけれど、決闘の相手はあなたよ、決めて頂戴」


レミ

「えぇっ!?そ…そんな大事な事急に言われても…」


レミは考え悩んだ、明らかに自分よりも実力が上の相手との決闘…負けたら今の状況より悪化していく、断っても一時しのぎにしかならずに後々取り巻く状況が悪化していくのは分かっていた、そんな決断を任されたレミの視界に暗闇が広がり、そこにいないはずの小さな者の姿が見え…聞こえないはずの声が…聞こえた気がした



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



???

『…なんだレミ、また悩んでんのか?』


暗闇の中に居たのは…自身の乗るアハッド…エクレールのスペアボディだ、どうしてこんな状況かはともかくとして…今レミは誰かに縋りたい気持ちでいっぱいいっぱい、理由を気にしている余裕は無かった


レミ

「…エクレール?…だって、こんな大事な事決められないよ、…断っても…負けても…私達は碌な目に合わない…」


エクレール

『…なぁ、道は本当に…その二つだけか?』


レミ

「……?そうでしょ?」


エクレールは首を横に振り、軽く溜息吐いた


エクレール

『はぁ…もう一個あるだろ?』


レミ

「もう一個?…そんなのないでしょ?」


エクレール

『おいおい重症だな…ロヴェルは何をお願いした?』


レミ

「何って…サフィアを止める抑止力として、力を貸してほしいって…」


エクレール

『そうだろ?それって断っても、負けても出来ない事だよな?』


レミ

「…そりゃあそうでしょ…?…ってまさか、勝つつもりなの…!?」


レミの言葉にエクレールは笑顔になり


エクレール

『おっ!あったじゃねーか!三つ目の道…いや、そもそもロヴェルはそれをお願いしたんだから一つ目の道だな!』


レミ

「冗談はやめて!イールフでの戦いを見たでしょ!?あの強さは私の敵う相手じゃない!」


レミの中で、イールフでのロヴェルの戦闘技術は強烈に印象を残している、そもそもの実力の高さはもちろん、初めての相手との連携にしっかりと合わせてきたこの人には敵わない…と


エクレール

『あぁーヒデェー「私の敵う相手じゃない!」だって』


レミ

「だってそうでしょ!?…私には…ムリよ…」


エクレール

『…なぁレミ、もしかして直接殴り合いでもするつもりか?』


真剣な話の中、エクレールのふざけた様な意見にレミはカチンときて


レミ

「…はぁ?そんなわけないでしょ!人が真剣に悩んでるのにふざけないでよ!」


エクレール

『真面目に聞いてるんだ!』


レミ

「っ!?」


思ってもみないエクレールの言葉にレミは戸惑うも、エクレールは話を続け


エクレール

『大事な決闘、一対一に囚われてんのか知らねぇけど、それ自体が既に間違いだ!』


レミ

「何を…言って…?だって全員一緒にって訳じゃ…それに…例えプレデシャンのみんなで挑んだとしても…」


エクレールは自分の親指を自身に向けた


エクレール

『こ・こ』


レミ

「…?」


エクレール

『その思い込みの決闘の中で、如何あがいても絶対に一緒に戦うヤツがいるって事…忘れてんじゃねーか?』


レミ

「…!」


エクレール

『…お前一人では無理かもしれない、でもレミには…いるだろ?』


エクレールの言葉に、レミはこれまで乗り越えた事を思い出しつつ、ゆっくりとその存在の事を噛み締めていく、それによって不安に押しつぶされそうな気持ちは…大分軽くなっていた


レミ

「…そう…そうだね、突然頼まれた事の重大さに囚われて、一番身近な存在を…私は忘れてた」


レミ

「私の相棒…エクレール」


エクレール

『おう!…オレ達なら!』


レミ

「…私達なら!」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



同じ頃…プレデシャンの格納庫の一角



???

「…おーい!エクレール!大丈夫ー?」


聞き覚えのある声…メックの声が聞こえ、エクレールのスペアボディは目を覚ました


エクレール

『…んあ?…あぁそっか…、メンテナンスの為にオフモードになってたんだっけ…』


メック

「終わったから再起動させたのに、全然反応がないからびっくりしたんだよっ?」


エクレール

『わりーわりー、ちょっと…夢…見てたみたいでさ』


メック

「…夢?どんな夢?」


エクレール

『夢見たって事に疑問抱かねぇのかよっ!』


メックは軽く手を横に振り


メック

「全然っ!いいじゃん別にそんな事!それでどんな夢だったの!?」


エクレール

『はぁ…そんな事って…またメックらしいっつうかなんつーか…、…まぁいいや、夢の内容は確か…レミが何か分かんねーけどなんか困っててさ』


その言葉にメックは顔をずいっと寄せ


メック

「ちょっと!何夢の中までレミを困らせてんのよ!?」


エクレール

『オレじゃねーよ!!つーか「まで」ってなんだよ!?寧ろオレは助けた側だ!』


メック

「なんだ〜、そうならそうと言ってよ」


誤解が解け、メックは適切な距離を取り


エクレール

『おいおい…、…と…とにかく、レミが困ってたからオレが声かけて助けたってだけ、そんな夢だよ』


メック

「なるほどね〜、で?身体の調子はどう?」


エクレール

『マイペースすぎんだろ!?…ったく、…身体は…特に問題ねーよ』


メック

「そっか、それなら良かった!」


安心したメックは、メンテナンス器具の片付けに入った、一方のエクレールは先程の光景を浮かべながら拳をギュッと作り


エクレール

『(…大丈夫だよな、オレ達なら…!)』



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



場所は再びメインルームに戻る、そこではレミがぼうっとしたように軽く俯いている


ミレイ

「…レミ?大丈夫?」


自身を呼ぶ声に気付き、レミの意識がはっきりする、それと同時に先程のエクレールとのやりとりが…消極的だったレミの気持ちを違う形で後押しされた感覚を思い出し、ゆっくりと顔を上げる


レミ

「…お母さん…決めたよ、…ロヴェルさんの提案、引き受けさせてください」


ロヴェル

「…その選択に後悔はないかい?」


レミ

「もちろん、もしするならそれは負けた時にします、でもロヴェルさんは負ける私を求めていない、やるからには全力で勝ちにいきます!」


シャイラ

「…本当に勝つ気だなんて生意気ですね、…ですがいい心掛けです」


レミの言葉にシャイラは、一度吐き捨てるような呆れた表情から、僅かに微笑む


ロヴェル

「フフ、今後の楽しみが出来たよ、それまでしっかり腕を磨いてくれ、その言葉を…形にする為に」


レミ

「…はい!」


ロヴェル

「僕もそれまで、しっかり鍛錬に励もう」


レミ

「……」


レミ

「…え?…あぁいや、それはちょっと困るような…まず追いつく事から始めなきゃいけないのに…!」


ロヴェルの言葉に戸惑うレミを見て、ポートは軽く笑い


ポート

「…さっきの勢いはどうした」


ミレイ

「まぁまぁ、ここは大目に見ましょう?」


ロヴェル

「…それで、行きたい所に何か希望はあるかい?もちろんこの基地に留まって腕を磨いて貰っても構わないが…」


レミが心で焦る横でミレイは考え


ミレイ

「…そうですね、レミの実戦経験を重ねる意味も兼ねて、まだサフィアがあまり手を出せていない、ドラーベの襲来が多い地域とかはあるかしら?出来るだけ集中出来るように取り計らって貰えると有り難いのだけど」


シャイラ

「…無い訳ではありませんが…その条件だと…大体が人の住んでいないような所が殆どですよ?中継基地で補給出来るとはいえ…人手が足りるんですか?記憶ではレミさん、ポートさん、そしてプレデシャンしか戦闘能力はありませんよね?」


ミレイ

「ええそうよ、もちろん危険であるのは百も承知、でもレミはただ強くなるんじゃない、あなたを…サフィアのトップを超えなきゃいけないの、危険であればあるほど成長も段違いだと思うわ、それに…時間があると言ったとはいえ有限なのだから、尚更ね」


シャイラ

「…そうですね…一理あります、ロヴェル…よろしいですか?」


ロヴェル

「もちろん、自由にしてもらいたいと言ったのは僕だからね、願い通り極力援軍も割かない事にしよう、もしもの時は連絡をしてくれれば、すかさず援軍を送ろう、それでいいかな?」


ミレイ

「大丈夫です、ご配慮までしていただきありがとうございます」


シャイラ

「それで、出発はいつ頃に…情報を纏めるので最低一晩はいてもらう事になりますが…」


ミレイ、レミ、ポートはお互い見合い、頷く


ミレイ

「なら明朝…ここを発ちます、構いませんか?」


シャイラ

「…また急ですね、もう少しゆっくりしてもいいでしょうに」


ミレイ

「善は急げ…そう言うらしいから」


シャイラ

「…分かりました、急いで手配しておきます」


ロヴェル

「では明朝には僕も見送りに行こう」


ミレイ

「ありがとうございます、それではまた明日」


ミレイ達はメインルームを去り…プレデシャンへと戻っていった、それをロヴェル達が見届けた後



シャイラ

「…どこまで本気なんですか?」


ロヴェル

「…もちろん全てだよ…そう思うという事は…僕もまた、このサフィアという組織に疲弊しているのかも…しれないな」


シャイラ

「…その冗談は…流石に笑えません」


ロヴェル

「フフ…そうかい?とにかく今の僕達に出来るのは…彼女達の成長を願う事くらいさ、後は…彼女達次第だね」


シャイラ

「そう…ですね、…でも彼女なら…きっと…」






作品に関しての感想、質問があれば可能な限りお返事します。


次回も楽しみにして頂けると幸いです

ここまでお読み頂きありがとうございました!

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