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第四十九話【ある種の探検と、未知だけとは言い切れない敵】

まずは閲覧ありがとうございます!


このお話は初心者による物語です、プロフィールに書いた通りのまるで台本の様な小説とは程遠い拙い文章、少ない表現力、明らかな描写不足、当然の様な誤字脱字など正直問題だらけです、それでも読んで頂けるのならば幸いです。


一部の「」『』の説明


「」は主に人間のセリフ


『』は人間以外や大体の主観の人以外の電話や通信越しなどによる人間の音声のセリフのイメージとなっております。


【この話での未知の生命体ドラーベ内の用語集】



【アハッド】


異星の者達から伝えられた技術によって、対ドラーベを想定して造られた人型兵器、大きさはおよそ8m程


【アフィア】


地球に存在する反異種族連合軍の通称


主に多くの地球人が集まった者達で結成されたそれは、ここ数十年で規模を広げ今ではフォースデルタに次いで地球を二分に分ける程力を持った組織、度々フォースデルタと衝突を起こすも、あくまで自分達は地球の為に行っていると正当化している、異星から来た彼らの技術を盗み、アハッドまで造り出していた(但し、違いは殆ど無い)




【カッド】


アハッドと同様に異星から伝えられた技術によって造られた戦艦、アハッドを格納な上にある程度の戦闘も可能、海上、空中、宇宙への航行も可能としている


【サフィア】


反異種族連合軍…アフィアの中の特殊部隊の通称


アフィアのロヴェルが統率している組織



特別国家イールフ


世界に広まっているアハッド、開発当時の研究者の一人が地球に作ったと言われている小さな国


他の国が最先端を目指して高層ビルや交通などを発展させていく中、この国は地球由来の豊かな自然が多い、そして中央には大きな噴水があるのが特徴的


【フォースデルタ】


地球連合軍の通称


異星との交流によりアハッドなどを得た地球で、対ドラーベを想定され発足された国を越えた人々が集う軍



【プレデシャン】


ミレイ達の乗るカッド…戦艦の名前


【ドラーベ】


地球や異星などに突然現れた未知の生命体、意思疎通が出来ず、人間を襲うものの明確な目的などが分かっていない為、侵略者として扱われる事が多い


現在軍に三種類確認されているドラーベだが、共通しているのは頭部が伝説上のドラゴンの様な形をしている事のみで、身体はそれぞれ違いがある


【オールドドラーベ】


ドラゴンの様な頭部を起点に、上半身は竜人を思わせる身体、下半身は蛇の様にやや長い身体、全体的に靭やかで身体の灰色部分は硬い、赤黒い部分は比較的硬くないが、それでも銃弾や刃物を通さないほどの硬さはある、人で言う肩の辺りからは、形状を鎌や触手の様に変化させる特殊な腕の様な物がある、大きさはおよそ1m超え


上記の通り足は無く、浮いてはいるがスピードは余り速くない(小学高学年位なら逃げ切れる)



サフィア基地本部、そのカフェの一室でプレデシャンの艦長のミレイは、副艦長のポートと共に…サフィアのトップのロヴェル、そしてマネージャーのシャイラとの話をしていた


そこでは色々と不意の事がありながらも、結果的には互いに情報交換をする事となり、サフィアはフォースデルタのフルオートAIの情報を、ミレイ達は同じくフォースデルタ内での噂話…そして未確認の敵の情報を得る事が出来た



一方その頃、上層のカフェで一息ついていたヒュウの元に、その町に住んでいるであろう親子の子供に話しかけられ、その子供が抱えていたドラーベのぬいぐるみの存在を認知した事で、どういう人向けなのかを改めて理解した


不満そうにするアライブに苦笑いしていると、また別の者がヒュウへと話し掛けた


そこに立っていたのは、驚くほどの長身で、黒コートに身を包んだ不思議な男


話を聞いてみると、どうやらヒュウの持つドラーベのぬいぐるみに(アライブ)興味があって話し掛けたとの事、流石にドラーベそのものと話す訳にはいかないヒュウは、手作りのぬいぐるみという事で話を切り抜けようとした


その後もぬいぐるみについて話を進めていくと、レダルの並々ならぬぬいぐるみ愛(?)を知ってしまったヒュウは、一見さんお断りだというお店についていく事になった


喜ぶ男は自身をレダルと名乗り、ヒュウもそれに合わせて名乗った後に目的地へと向かうのだった…






コアなマニアのレダルの為に、ドラーベのぬいぐるみを扱う店へと案内されるヒュウ、先に辺鄙な場所と言っただけあって人混みからは遠ざかり、いくつもの路地や扉を抜け、気付けば地下水道のような道を歩いていた、想像よりも長い時間の移動、そして景色の変化に戸惑い始めたヒュウは不安の方が強まってきてしまい、レダルに尋ねてみた


「…あの、本当にこんな所に?」


レダルはピタッと足を止め、バッと振り返りヒュウへと近付いて来た、ヒュウは騙された!?とたじろいで目を閉じてしまう


すると…何かされるでもなく、レダルは「こちらを」と言った、目を開けて見てみると一枚の紙を見せてきていた、その紙を受け取って見てみると、どうやらチラシのような紙、そこにはオールドドラーベのゆるいイラストと宣伝が…一応書いてあった


【例え好きだとしても、一見さんはお断り!早い者勝ちで数量限定のドラーベぬいぐるみ!色んなサイズを取り揃えていますので、是非ラベラべまでお越しください!】


隅にはびっくりするほどザックリとした地図と、目を凝らしてようやく見える小さな文字で一言、添えてあった


【見つけられたらね】


「こ…これは…(なんで最後だけ挑発的…?売りたいのか売りたくないのか…)」


レダル

「…私がチラシを頼りにこの町に来て数週間、ようやくの思いで数日前に見つけたのです…」


「す…数週間…!?」


『(ヒマカ?)』


レダル

「…そんなに時間を掛けるなんてと、笑ってくれても構いません、しかしそれほどまでに…私は本気なのです」


「…あ……本気で向き合ってる事を笑うなんて出来ません、こっちこそ疑ってすみませんでした…」


謝るヒュウに、レダルは優しく微笑み


レダル

「いえ、私はこんな身なりですから疑われるのなんて慣れっこです…気になさらないでください、さ、もう少しで着きますよ、行けますか?」


「…はい、お願いします」


改めて移動を再開し、そこから短い通路を二本通ると、頑丈そうな左右二枚連なる大きな扉があった


「ここが…」


レダル

「はい、私も最初は目を疑いましたが…あそこに小さく…文字が書いてあるのが分かりますか?」


レダルが指す方向を見ると扉の近くの隅に、灰色の壁が同化して分かりづらいが削られて出来たような跡の文字があった、そこにはチラシにも書いてあった店名【ラベラべ】と書かれていた、やっとの思いで見つけた上で、尚分かりづらくする店主の心は一体何で出来てるのか、一瞬そんな事を少し考えてしまう


レダル

「では、行きましょう…!とその前に…私は一度追い出されていて、万が一にも覚えられてしまっていると思います…なので扉を開けますから後を頼めますか…?」


「は、はい…分かりました」


『(ニンゲンノカンカクハシランガ、キサマミタイナデカブツヲワスレルホウガムズカシイダロウニ…)』


レダルが大きな扉を開き、ヒュウは中へと入る、明かりが無い上に地下なだけあって中は暗く先が見えづらい、しかし出入口の近くの僅かな光のお陰で周囲が僅かに見え、確かにアライブと同じくらいのオールドドラーベのぬいぐるみがいくつかあるのが見える、暗さも相まっているせいか、中々の怖さや迫力を感じて少しビビってしまうが、声を出してみた


『(ヌイグルミトヤラ、ホントニアルノカ、…ン?コノケハイハ?)』


「す…すみませーん!誰かいますかー?」


声に対しての返事が無いまま、声は暗闇へと消えていく、本当に人が居るのか怪しく思えてくる、すると出入口から小さくレダルの声が


レダル

「あの…どうですか…?」


ヒュウは声のした方へ振り向き、今は留守かもしれません、と言った次の瞬間、ヒュウは何かに掴まれぐいっと横に引っ張られた


「…うわっ!?」


ヒュウはなんの予兆もない不意の出来事に対応できず、固いコンクリートの地面を引きずられた、掴まれた何かを辿ってみると、そこにはスカーフを付けたオールドドラーベ…リュックから飛び出していたアライブの姿が、予想外の事に驚きつつもヒュウは小声で


「ちょ…ちょっと…!?動いちゃだめでしょ…!?」


『ソンナコトヲイッテルバアイジャナイ…!』


アライブに夢中になっていると、突然ガシャン!という音が響いて辺りが真っ暗になり、音の出処へと振り向くと、そこには開いていたはずの扉…光が消えた事で閉まっているのが確認出来た、外からは僅かにレダルの声と扉を押したり引いたりしてるのか、ガチャガチャと音が聞こえる


「と…扉が!?」


レダル

「ヒュウ!?ヒュウッ!?大丈夫ですか!?扉が…扉が突然閉まって…!くっ……!……開かないんです!」


「レダルさん!?…えっと、中は真っ暗だけど…こっちはなんとか…大丈夫です!」


レダル

「よかった!今急いで開けますからっ!」


ガチャガチャと言う音はすれど一向に開く様子はない、一体何が起こっているのか分からずに頭が中々回らない…そういえばアライブが何か慌てて…?そう考えた途端、突然辺りが明るくなる


急な眩しさに目が眩み、次第に慣れていく事で辺りを見渡していくと、そこには入って来た時にも見えた光景…一面アライブと同じ大きさのオールドドラーベのぬいぐるみがあった


「急に明るく…?…それにしても…ぬいぐるみって、こんなにいっぱいあったのか…数量限定にしては、いくらなんでも多すぎな気が…」


見た通りの景色に感想を述べたヒュウの横に、アライブがスッと並び


『…アァ、コンナニイタトハナ』


「ってアライブ、早くリュックに入らなきゃ!って…いた?」


その一言を皮切りに、一斉にぬいぐるみの瞳が輝いた後に動き始め、ヒュウ達へと襲い掛かってきた


「へっ!?うそっ!?」


『チッ!』


アライブはヒュウの前に出て触手や刃を駆使してオールドドラーベ達の接近を退ける、単体や数体位ならアライブでも何とか出来るが、この場のドラーベのぬいぐるみ?の数が多すぎて対応仕切れない、アライブはヒュウからリュックを取り、遠くに放り投げる


「ちょ…アライブ!?」


『…ヒュウ!コノママデハヤラレル!ユクゾ!』


「えぇっ!?だってすぐ外にはレダル…」


つべこべ言うヒュウに構わず、アライブはグバァッ!と大きく口を開け


「さん…が…?」


バクゥッ!


ドロッ!


「んーーー!?」


…グチュンッ!


バキバキバキッ!


…ビキッ!


『「グオオォォォーーーッ!!!」』


球体が変化したエヴァルドラーベの大きな咆哮から発せられる衝撃波によって、周囲のドラーベは壁に飛ばされていく、その直後、開こうとしている扉からドンドンと叩く音が強くなって響く


レダル

「ヒュウ!?ヒュウ!?どうしたんですか!?大丈夫なんですか!?」


「…はっ!?だ、大丈夫です!レダルさん、この店何か変です!だから急いで先に逃げてください!」


レダル

「へ、変!?そんな…一度訪れた時はそんな事は無かったのに…私のせいで…!…駄目です!そんなの駄目です!待っててくださいヒュウ!必ず助けますから!」


一層扉を開こうとする音が強まる事に、頭部の赤黒い瞳が呆れるように細まる


『ギャクコウカダナ…』


「今はその優しさが困るよ…!」


ヒュウは周囲の相手に警戒しつつも、急いで思考を巡らせ


「えっと…そうだ!レダルさん!通路を見つけたからここから出てみます!だから先に行ってください!出逢った場所…カフェ近くのベンチで落ち合いましょう!」


レダル

「…通路!?……分かりました、無事合流出来たらこんな事になったお詫びに何か奢らせてください…いいですか!?」


「お詫びだなんてそんな…!」


レダル

「じゃあやっぱり助けますっ!」


ガチャガチャ!


「あぁ!分かりました!分かりましたから!合流出来たら決めますから!」


レダル

「…約束ですよ、破ったら針千本…ですからね…!」


扉を開こうとする音が消え、ヒュウを置いていく事を少し躊躇った様な間が空いた後、代わりに走る足音が響き…遠ざかっていく


「…何とか移動してくれたかな?心配してくれるのは有り難いけど、お人好しすぎるのも困り者だね」


再び頭部の赤黒い瞳が呆れるように細まり


『ヒュウガソレヲイウカ…』


「えっ?」


『…ナンデモナイ、サッサトカタヅケルゾ』


「う…うん?分かった…!」


一斉に襲い掛かってくるオールドドラーベに対して腕の刃を伸ばしながら対応して切り裂いていく、数こそ多いが…以前戦った屋外に比べると狭い為、オールドドラーベが散らばらない事で戦いにくさはあまりない、気付けばわずかな時間で辺りのオールドドラーベを倒す事が出来、辺りを見回す


「…あ、あれ?もう終わった?」


『ソノヨウダ、エヴァルドラーベ二ナッテマダスウカイダガ、コノジョウタイナラ、サスガニコノテイドノドウホウ二ハ、モウクセンシマイ』


「この程度って…、つい最近までオールドドラーベと同じだったよね…?」


『ワレハアライブ、ドウホウトドウイツシスルナ』


「は、はは…なるほどね…それは確かに違うね、…ってあれ?これ…なんで…」


『…ドウシタ?』


「いや、これなんだけど…なんで…首にスカーフが…?」


ヒュウの言う通り、エヴァルドラーベの首には赤いスカーフが巻かれており、気になって指でそっと掴んでみるも、特に変わった様子は無い普通のスカーフだ


『ム?タシカニ…キニハナルガ、イマハクラウノガサキダ』


「あ…うん、分かった」


一先ず落ち着いた事で、アライブがオールドドラーベの死骸を喰らう為にエヴァルドラーベから戻る事に


バキバキ!


ゴキゴキッ!


「…ぐっ…!」


パキッ…


異質な音が響きながら姿が変わった後、ヒュウは変化の痛みで座り込む


「…いたた…はぁ……終わった」


『オツカレ、デハワレハクラウトスルカラ、ソノヘンデスキニヤスメ』


「…うん、ありがとう」


アライブはふよふよと倒したオールドドラーベに寄っていき喰らっていく、相変わらず凄まじい光景だな、そう思いつつふとアライブのある物に目が惹かれた


「…そういえばアライブにあげたスカーフ、大丈夫だったんだね?」


『ングング、ンア?』


ドラーベに喰らい付き、呑み込みかけたままアライブはヒュウの方へ向いた、アライブの口からはオールドドラーベの頭が覗きこんでいた


「いやちゃんと食べてからこっち向いて!?」


『ングング、ゴクンッ!…ワレガクッテルトキニハナシカケルノガワルイ』


「それは…ちょっと言うタイミング悪かったとは思ったけど…」


アライブは自身の首に付いたスカーフに触手を伸ばして確認しながら


『…タシカニスカーフ、ブジダナ』


「なんで無事なのかはよく分からないけど、消えなくて良かったよ」


アライブはスカーフをそっと握り


『…ソウダナ、ワレモソウオモウ』


「あんまり興味無さそうだったのと、気を遣わせちゃったのかと思ったけど…ちゃんと嬉しかったんだね?」


『……マダノコッテルカラワレハクラウ、オトナシクヤスンデロ』


ヒュウの言葉にアライブは微妙な表情をしながら死骸へと振り向き、再びオールドドラーベを喰らっていった


「…結構照れ屋さんなのかな?」


その言葉に反応するようにアライブはヒュウへと振り向き


『ングングア?』


「いやだから食べながらこっち向かなくていいから!?もしかしてわざとやってない!?」


『…ゴクンッ!…クク、ソウカモナ』


「…はぁ、全くもう…」


いいようにからかわれてはいるが、それだけ心を許してくれている証拠なのかなと思い、ヒュウは軽く微笑んでいた、アライブは次々と倒れたオールドドラーベを喰らっていく、そして…気付けば殆ど喰らい尽くしてしまった


「イールフでも思ったけど…あれだけ沢山いたのに…お腹どうなってんの…?」


『…ゴクンッ!…ン?イチブニナルトコロガミタイノカ?』


アライブはヒュウに近寄り歪に膨らんだ腹部を見せ、ギュルギュルと音を立てながら消化、吸収していく


「いやいや見せなくていいよ!?既に一度見たし!」


『ゲフゥッ!…厶?ソウカ?ソレニシテモ…コノココチヨイカンカクヲ、ヒュウガアジワエナイノハザンネンダナ…』


「絶対残念じゃないと思うよ…ってそうじゃなくて、食べ過ぎで苦しいとかないの?」


心配するヒュウに対し、アライブは即答で


『マッタクナイナ!』


「あぁ…そう…」


アライブが最後の一体を咥えたその時


バゴオオォォンッ!


「!?…うわあぁっ!?」


『…ングア!?』


大きな音と共に扉が破壊され、辺りに破片や瓦礫が飛び散る、扉からは離れていて直撃はしなかったものの、破片の一部がヒュウ達に飛んでくるが、アライブが切り裂いて防いでいく、しかし全ては防げずヒュウに当たり、僅かに軽い傷を負う


「…いてて、ありがとうアライブ…」


『ンググググ(キニスルナ)』


「…一体何が…爆発じゃ…なさそうだけど…?」


辺りに瓦礫による土煙が舞う中、破壊された扉の周辺に薄っすら何かが立っているのが見える


「…あれは?」


『……ンググ?『(アイツハ…)』


???

「無事ですかー、大丈夫ですかー?」


明らかに棒読みだが…どこか聞き覚えのある声、見覚えのある驚くほどの長身…シルエットの原因の土煙がゆっくりと晴れその姿を表す、そこに居たのは…去ったはずの黒コートの男…


「……レダル…さん?」


レダル

「……?おや、無事でしたか………良かったです!」


レダルは一瞬だけ意外そうな表情をした後、笑みを浮かべながらゆっくりとヒュウ達に歩み寄って来る


ヒュウはレダルをさっき見知ったばかりだが、サングラスの下は優しい笑顔を見せ、しつこいほどに助けたがる優しい人という印象


しかし今彼が浮かべている笑みは…出逢った時の優しい笑みとはまるで違う、人を恐怖で凍りつかせるかの様な笑みを浮かべている


「(…っ!?なんだこの感じは…!…怖い…危ないっ…逃げなきゃっ…!!)」


ヒュウは頭では分かっていても身体が震え出して言う事をきかない、そうしている間にもレダルはズンズン近づいていき…目の前に立った、大きさも相まってまるで壁のような圧を感じる


「あ…あぁ……」


レダル

「…ヒュウ…どうして…無事なんですか…?」


レダルはヒュウへと掴みかかろうとする、しかしその手はヒュウではなく空を掴む、不思議がるレダルは周囲を見渡すと、少し遠くにヒュウの姿があった


ヒュウは触手に雁字搦めにされていた、その触手を辿ると一体のオールドドラーベが居た、開いた口には別のオールドドラーベが喰われているのが見え、それを見たレダルは口元に手を添え


レダル

「おや…気のせいでしょうか…?ドラーベが人間を助け…逆にドラーベを食べている…?」


「…ア、アライブ…?」


『ング…ゴクンッ…!…キサマ…ナニモノダ?』


レダル

「何と…人間の言葉まで喋るとは…初めて見ましたよ…!」


アライブに一切動じる事の無いレダルに対し、アライブは睨みつけ


『…シツモンニコタエロ!』


レダルは気にする事無く、ハットを持ちながらお辞儀して挨拶をする


レダル

「私はレダル…お見知りおきを…」


『キサマノナマエハドウデモイイ、…キサマ…ニンゲンデハナイナ?』


「…えっ?」


レダルは軽く鼻笑いをしつつ


レダル

「……面白い事を言いますね、…そうだ、せっかくですし…あなたが私を倒せたら教えてあげましょうか」


『…ヒュウ、ユケルカ?』


「えっ?で、でも相手は…」


『マダワカラナイカ!ヤツハキケンダ!』


アライブがはっきりと危険だと言い切る事に、ヒュウは驚き


「…!アライブ…そこまで…?」


レダル

「…来ないのですか?ドラーベ…」


『…ジュンビチュウトイウヤツダ…オトナシクミテイロ』


アライブの言う通り、レダルは見るからに頑丈な扉を何らかの方法で破壊していた、それが道具ではなく…彼自身の物理的な方法の場合、明らかに普通ではない、そしてオールドドラーベであるアライブを恐れず…アライブが危険と言うほどの相手…ヒュウの震えや迷いはいつしか、アライブへの信頼によって消えていた


「……分かった!やろう!…それからアライブ…!」


触手から解放されて立ち上がったヒュウは、アライブにある事を思考で伝える


『…マカセロ、ユクゾ!』


グバァッ!


レダル

「ほうっ!」


バクゥッ!


「ぐぅっ…!!」


レダル

「…?…アッハッハッ!ヒュウを食べているじゃないですか!何故一緒にいるのかと思ったら…結局ただの非常食だったのですか?」


ドロッ!


レダル

「…おや?ドラーベが溶けて…?あのシルエットは…ヒュウ…ですかね?」


…グチュンッ!


レダル

「何という事だ!ヒュウもドラーベも消えて無くなった!残ったのは…球体…?」


バキバキバキッ!


レダル

「ん?これは一体…形が変わって?」


…ビキッ!


『「グオオォォォーーーッ!!!」』


変化した事による咆哮の衝撃波に、レダルは腕を前にして出来るだけ軽減する


レダル

「…!?コレは一体…!?」


『…!ヒュウ…ブジカ?』


「…かはっ!…ハァ…ハァ…、うん…大丈夫…」


レダル

「…素晴らしい!こんな光景初めて見ましたよ!一体どんなトリ…」


レダルが喋り終わる前に、エヴァルドラーベは一瞬で間合いを詰め、鋭い尾をレダルの首元に突きつけた、今のエヴァルドラーベは下の目が赤黒く、上が黄色になっている、これは身体の主導権がアライブである証拠


「(事前にアライブに主体になってもらって良かった、俺だったらこんな速く…正確に出来なかったから)」


レダル

「…ハハ…その迷いの無さ…!本当に素晴らしい…!正にバケモノ…ですね」


『ゴチャゴチャウルサイ…サッサトコタエロ…!キサマハナニモノダ…!』


レダル

「…まさか、これで追い詰めたとでも?」


レダルはバッと後ろへ飛び、一気に破壊された扉付近へと移動した


「なっ!?速い!?」


『チィッ!』


エヴァルドラーベは腕の刃を伸ばしつつ地面を蹴り、レダルへ向かって刃を振るいレダルの身体を切り裂いた


ガギンッ!


…はずだった


「アライブ!?やりすぎだっ…て…?」


『…ヒュウ、コレデモヤツハニンゲンカ?』


レダルは攻撃を片腕で防いでいた、破けたコートから出ていた片腕は明らかに人の肌ではない、鎧のように硬く強靭な腕、その硬さはエヴァルドラーベの斬撃を防いだ事で刃を上回る硬さの証明になった


「な…なんで!?ドラーベやアハッドにも通じた攻撃が…それにあの…腕は?」


『チッ!』


エヴァルドラーベは一旦距離を取った、レダルはハッとしたように両腕を軽く上げ


レダル

「おっといけない!あなた達が倒す前に見せてしまいました…!…ですが、こうしないと危なかったのも事実ですから…喜んでいいんですよ…?」


「…レダルさん…あなたは…一体…?」


レダル

「…仕方ないですね、私に初めてをくれたあなた達へのご褒美です、特別ですよ?」


レダルから強烈な光が放たれ、エヴァルドラーベは目を開けられなくなる、光が収まり目を開けると…そこには謎の生物が…よく見ると違いはあるもの、ヒュウ達にはその謎の生物の全体的なシルエットに見覚えがあった、例えるならまるで…エヴァルドラーベのような生物がそこには立っていた


「…な、なんで…?」


『バカナ…!?』


エヴァルドラーベとの違いはいくつかある、全体的に灰色のエヴァルドラーベと比較して身体の色は黒、所々には赤黒い色も見えている、体躯はエヴァルドラーベよりも少し大きく、目は一対しかない、顔はマズルのようなものが飛び出していてよりドラゴンらしい顔に、胸の傷もなく、全体的に外殻の形状がより刺々しい姿になっている


レダルは口を僅かに開き一息つく、その吐く息から薄く白い煙が一瞬出てすぐに消える、その出で立ちから発する圧に…ヒュウは恐れを感じる


その直後、レダルは拳を振りかぶってくる、エヴァルドラーベが咄嗟に受け止めるものの、鉛のような重さの攻撃に、体勢を崩される


『ッ!!』

「くっ!?なんて…重さなんだ…!」


何とか体勢を立て直し、エヴァルドラーベはサッと距離を取った


「…速さも…力も強い…!」


『ナカナカヤッカイダナ…』


警戒するエヴァルドラーベに対し、レダルは軽く手を握っては開き


レダル

『ハァ…、フフ、この姿を見せたのは久しぶりですね…』


「…あれも…俺達と同じなのか?…レダルさんにも…ドラーベが?」


『…チガウ』


「…え?」


アライブの言葉に同意するようにレダルは指を向け


レダル

『そのドラーベの言う通りです!ヒュウ…私はあなた達のように変化している訳ではないのです、これが…本当の私なのです…!』


「…本当の…私?」


レダル

『今私は非常に気分がいい…特別に教えてあげましょうか、…今から十年ほど前、私は人間がオールドドラーベと呼ぶ生き物でした』


「な…オールドドラーベだった!?」


レダル

『はい、それまで特別意思を持った感覚は無かった私ですが…気付けば怒りに身を任せ、ある一人の人間を喰らったのです』


『……』


レダルの説明には自身と共通点がある事に、アライブはやや不服そうな表情を浮かべると、それを見逃さなかったレダルは嬉しそうに反応した


レダル

『フフ、その様子を見るに…やはりあなたもそうでしたか、嬉しかったですよ、ようやく初めての仲間ができたみたいで』


『…ワレトキサマヲドウイツニスルナ!!』


「ア…アライブ…?」


レダルの好意的な言葉とは対象的に、アライブは拒絶するように腕で振り払いながら怒りを吐き捨てた


レダル

『…理由は分かりませんが、そこまで嫌われるとちょっと残念です、今は話を戻しましょう』


レダル

『人間を喰らった私は…そうですね、当時は今のあなた達に殆ど近い…人型のドラーベの様な形の姿に変化しました、最初は驚きました…かつての同胞にも異分子だと攻撃されましたしね…』


「…アライブと状況が似てる…だったらレダルさんがドラーベなら…喰われた人間は…今どうなったんですか…?」


レダルはその言葉に反応すると、一瞬でエヴァルドラーベへと近寄っていく、素早く反応したエヴァルドラーベは何とか拳による攻撃を受け止める


『グッ…!マタイキナリカ!』


レダル

『いい反応ですね!…ですが…全然足りませんねぇ!?』


『…ナニ!?』


レダルは力を込めて一気に拳を振り抜き、エヴァルドラーベを地面に叩き付けた後、首を掴み持ち上げる、痛みや苦しさがアライブを通してヒュウにも伝わる


「うぁっ…!がっ…!?」

『グッ…!ハナ…セ!』


レダル

『…問題はそこなんですよ、なぜ…人間が…ヒュウは生きてるんですか?』


「…ぐっ…!…なぜって…!?…っ…そんな…ことっ!言われ…てもっ…!…ぐぅっ!」


レダルは手を離し、エヴァルドラーベはドサッと地面に落ちる、殴られた衝撃や圧迫された苦しさで…中々立ち上がる事ができない


「…かはっ…ハァ…ハァ…ハァ…」


『グ…オノ…レ…!』


レダルはしゃがみ、倒れるエヴァルドラーベの頭を掴んで引き寄せる


「…うあっ!」

『…グゥッ!』


レダル

『…話を続けましょう、…初めて変化した時、私が喰った人間も同化して生きていました、彼は驚き、恐怖し、悩み、迷い、とても正気ではありませんでした…』


「…ハァ…ハァ、…そりゃ…そうだと思います…ハァ…俺だって…最初は怖かった…」


レダル

『しかしですね、彼は…そう、知ってしまったのです…』


「…知ったって…何を…?」


レダルは口角を上げてニヤける


レダル

『…それまでの自分には無かった力の感覚…自分を襲った…ドラーベすら簡単に凌駕する力を宿した事をですよ…!』


「…!」


レダルの言う事にはヒュウ自身、身に覚えがあった、イールフにてエヴァルドラーベに変化にした時、自分が動く事で初めて感じた事だ


アハッドやカッドでしか倒せないドラーベを倒す力、驚くほどの跳躍や速度を出せる身軽な身体、人間の時では味わえない高揚感、それは今も無くなったわけではなく、アライブと話したりする事などで気を紛らわそうとしているのが本音


例えアライブとの間に絆が生まれようが、今の様に身体の主導権をアライブに渡していても、それだけは変わらない


レダル

『力を知った彼は片っ端からドラーベを倒しました、私も見ていて気持ち良かったですよ、清々しい程に暴れる…未知のバケモノを特等席で見られたんですから』


「……」


レダル

『しかしですね、初めての変化に慣れず、戻ってしまう時がきてしまいます、そこで彼は私と相対した訳ですね、彼は焦りました、今人間に戻った彼は無防備、目の前にはオールドドラーベが現れた、…そのオールドドラーベ、私こそが変化の原因とも知らなかった彼は恐怖し…逃げようにも疲労によって動けなくなりました』


レダル

『私は咄嗟に考え…閃き…教えてあげました、『私に喰われれば、またあのバケモノになれる…あの力を使える』とね』


『(…コイツ、ハジメテノヘンカデソコマデリカイシ、カンガエタノカ…!)』


「…そ、その人は……?」


レダル

『…力というものは…意志を変える、彼は自身を襲う恐怖よりもあの力の高揚感に既に魅入られていた、彼は疑う事無く提案を快諾しました、彼は…力に魅入られた割に中々賢く…力に振り回されない事を意識する為に力を使う為の目的を持つ事にした』


「…目的?」


レダル

『そうです、自分を見失わない為の目的…友人達の為にドラーベを倒すという目的を、そして私達はドラーベのいる所へ向かい、そこで私は…正直一か八かでしたが、彼を喰らい…もう一度変化させてあげました、実際に変化出来た彼はとても喜んで私に感謝し、そこのドラーベ達を倒す事が出来ました』


『…キサマモニンゲン二、キョウリョクシテヤッタノカ…』


レダル

『…時にヒュウ、あなたは好きな事…何でもいいです、何かありますか?』


「な、何を急に…!?」


レダルの身の上話から一転し、全く関係の無い質問を飛ばされた事に驚く


レダル

『フフ、何でもいいんですよ?勉強でも趣味でも何でも』


「…しょ…正直これといって…ないです、けど…最近初めて観光してみて、それは楽しかったなって思いました…」


レダルはカッと目を見開いた後に笑い


レダル

『観光!いいですねぇ!私も旅をしますが…初めて見る景色や物など、驚く事が沢山あって私も大好きです!…ではその観光、何度もしたいと思いますか?』


「…それは…機会があったら…」


レダル

『…彼もそうだったのです』


「…えっと…観光…が?」


レダル

『いいえ、その答えは中々ユニークですが…この時の彼の場合は私による変化です、私は彼が夢中になった…変化をさせる代わりにある望みを告げました』


『…ノゾミ?』


レダル

『変化した影響で何があるか分からない、なので私が危ないと感じたら戻す…と』


『…モドス?』


「…危ないと感じたら?…って…まさか!約束だけして守らなかったんですか!?」


レダルは首を横に振り


レダル

『いいえ、彼の為にドラーベを倒し終わってからちゃんと戻りましたよ』


「…え?ちゃんと…戻った?」


『…ハナシガヨメンゾ』


レダル

『はい、しっかりと戻しました、…その後の事ですが…彼は再びドラーベを見つけ、倒す為に私に変化を求めます、私はそれを拒否せずに応じて変化させ、倒し終わると元に戻す、繰り返す内に彼は段々戦い慣れていき、一回の変化の時間もドンドン短くなります…楽しい事はあっという間って人間は言いますよね…?』


『…ソレガナンダ?』


「…段々慣れて…どんどん短く?…っ!ま…まさか…?」


『…ドウシタ?』


話すにつれ徐々にレダルは笑みを浮かべていく、話の意図が未だに読めないアライブ、一方のヒュウは徐々に意図に気付き始めていた


「…レダルさんは何故かさっき俺に好きな事を聞いて…観光って俺は答えた、でも答え自体は何でもいいんだ、重要なのはその後…好きな事を何度もしたいかどうか…!」


ヒュウの想像が、レダルの理想通りの答えへと近付いている事で、笑みが大きくなる


「…多分その人は、何度も変化を繰り返し…身体に満ちる高揚感を何度も味わった、そして戦い慣れる事でその時間は短くなっていく、…その変化の時間が短くなった事によって…高揚感を満足に得られずにいる時間が長くなった…、それを味わいたいが為に…いつしかその人の目的が変わっていった…違いますか…?」


レダルは空いたもう片方の手で顔を押さえ笑い出す、その笑い声がおぞましく感じ、頭部の黄色い瞳が少し細くなる


レダル

『……素晴らしすぎますよ…ちょっとヒントをあげすぎましたかね…?』


『…モクテキガ…カワッタ?ヤツガクッタニンゲンハ、ドラーベヲコロシタカッタノダロウ?』


レダル

『ヒュウも言いましたよ、目的が変わったと、もちろん初めはドラーベを倒す事に躍起になってましたよ、気持ちよさそうにドラーベを倒してました、しかし倒し終えた所で私が約束通り戻すんです、すると彼は…倒した満足感を得る一方、失う物がありました…それがヒュウの言う、変化している状態での肉体から湧く感覚…!高揚感…!』


「……っ!」


レダル

『では失った高揚感を得るにはどうしたらいいかっ!そうっ!また変化すればいいのですっ!その為に彼はドラーベを探したのですっ!そしてまた同じように変化し、その高揚感を味わい!力を振るう!』


『…!ドラーベヲコロスタメカラ、ミズカラガヘンカスルタメ…!』


レダル

『…ドラーベにも分かっていただけたようで良かったです、私、満足してます…!彼は変化する目的の為に、ドラーベをそれまで以上に探して倒すようになります、しかしドラーベは神出鬼没、どうしても出てこなかったり別の者との戦闘で戦えない期間が生まれます、当然力に魅入られた彼は変化出来ないことに苦しんでしまいます、近くで見守るしか出来ない私に、彼がとうとう懇願するんです』


レダルは両手を互いに握り、懇願するように上を仰いで演じる


レダル

『「お願いだ!あの力を…あの姿を…ずっと…ずっと感じていたいんだ!…何でもするから!」』


「…あ……」


レダル

『…私はその言葉を受け入れると同時に、ある情報と…願いの代わりに一つ望みを告げました、『度重なる変化により、私の身体や意識はもう保たないかもしれない…ですから、最期に一度だけ私にもその感覚を経験させて欲しい、その後にあなたに全てが渡り、永遠にあの力と姿を得られる』と』


「そ…それって…!」


ヒュウはとある事に関連性を見出す、それは先のレミ達との戦闘、その最中で行った意識の交代、ヒュウ達は互いに同意の中行った事で不調なく交代が出来る、…もしも…もしもそれが…同意の上で入れ替えるのではなく…全てを相手に…


レダル

『彼は勿論、迷わず快諾してくれました、…迷う意志など既に無かったかもしれませんがね…、…そして最期の変化の為に私は彼を喰らいました、彼は私の希望通り感覚を委ねてくれました…いえ…少し違いますね』


レダルが顔の近くに寄り、囁く


レダル

『…感覚だけじゃありません…彼の…全てを…!』


「………!」


主導権をアライブに委ねているはずのヒュウの全身に怖気が走る、その感覚はアライブにも伝わっていき、恐れを軽減させようと呼び掛けた


『ヒュウッ!オソレルナッ!!シッカリシロッ!!』


顔を離しつつもヒュウ達を掴みながらレダルは話を続ける


レダル

『全てを委ねた彼でしたが、私の中で溢れる力と高揚感は感じていたようで、自分が動かせないにも関わらず嬉しそうに満足していました、そんな彼に私は聞くんですよ、『戻りたいですか?』って、すると彼は…』


「…っ!…ハァッ…ハァッ…ハァッ…!」


『ヒュウッ!キクミミヲカスナッ!グッ!ハナセッ!』


レダル

『「…もう、戻らなくても…いい…」』


「…っ!!……うああああぁぁーーーっ!!!」


『ヒュウッ!!』


フッ…


エヴァルドラーベの額の黄色い目の光が…ヒュウの悲鳴と共に消えて少し項垂れる、それに気付いたレダルは


レダル

『…おや…これは…?…そうですか!上と下で意識が分かれているんですね!?今の叫び、恐らくヒュウは耐えられませんでしたか…まだ途中なんですが、まぁあなた(ドラーベ)は起きている以上記憶には残るでしょうから、続けますよ?


『……』


レダル

『…そんな彼の願いの為に一度変化を解き、気力の失った彼を改めて私は喰らいました、そして変化してみると…多少姿が変わり…今のこの姿を手に入れました、力に魅入られてしまった彼の末路は…私に肉体も委ねた、…意識も…身体も…完全に私の一部になったのです』


『…ド……イ……』


嬉しそうに話を続けるレダルに、アライブは小声で呟いていた、レダルはそれを気にせず話続ける


レダル

『だから気になったんですよ、どうしてヒュウを喰らい私と似た姿になっているのに、あなたがなぜヒュウを完全に自分の一部にしないのか、それでなくても敵対する存在だと言うのに…!なぜ人間を助け、それにさも協力しているような腑抜けた事をしているのか!?』


『……デモ…イ…!』


レダルもアライブも、互いに迫力を増していく


レダル

『…そういえばあなたは…姿を変える前にも…このスカーフを付けていましたね、…まさかこんな物を貰ったからなんて、ちっぽけな理由じゃあないでしょうねぇっ!?』


レダルはエヴァルドラーベの首に付いたスカーフを掴み、引き千切った


『………!!』


レダル

『フフフ…!ハハハ…!アーハッハッハッハッ!……ウグッ!?』


引き千切られた赤いスカーフがバラバラに舞い、高笑いが響いた次の瞬間、レダルは身体に強い衝撃を受け壁に強く打ち付けられる、あまりの衝撃に壁には大きなヒビが入った、レダルは体勢を立て直し衝撃を受けた箇所を見ると、腹部には殴られたような傷が付いていた、程なく傷は再生し、吹き飛ばしてきた方へ顔を上げる、そこにはエヴァルドラーベが項垂れながら力なく立っていた


レダル

『(…何だ今のは?全く力及ばなかったヤツが私を?…そんなまさか…)』


レダル

『…フフ…すみません、怒らせてしまいましたか…』


『……ドウデモイイ!!』


気持ちの無いまま謝るレダルに対し、エヴァルドラーベは顔を上げ、睨みつけながら怒鳴る


レダル

『…?』


『…キサマノコトモ!キサマガクッタニンゲンノコトモ!ワレニハドウデモイイ!!』


レダル

『…そんな事言ってますが、あなたもこの話を聞いて、どこかではヒュウを喰らい…その身体を自分のモノにしたいとお思いなんでしょう?』


『…イッタハズダ、ドウイツニスルナト、ワレトキサマダケデハナイ、ヒュウトキサマガクッタニンゲンモチガウ…!キサマラトワレラハチガウ!』


アライブがまるでムキになっている様子に、レダルは少し冷めたように呆れ


レダル

『はぁ…どう違うと言うんですか?』


『…ワレハヒュウ二『イキタイ』トノゾミ、ヒュウハワレニ「ワレヲタオサズ、トモニイキタイ」トネガッタ…!』


ギュッと力と想いを込めて握り拳を作るアライブに、レダルは鼻で笑って


レダル

『ハッ!何を言い出すかと思えば…あなたは生きたい、ヒュウは共に生きたい…と、あなたの望みには私も共感しますがヒュウのは只の勝手な押し付けの願いじゃないですか』


アライブはゆっくりと拳を解き、その手を光を失った頭部の瞳へとそっと寄せる


『……ソウダ、ニンゲンノテキデアル…ドラーベデアルワレニ、トモニイキタイナドトイウ…アマイカンガエ…ヤクソクヲタガウカノウセイナドミジンニオモワズ…ワレヲシンジル…アマク…ヘンナヤツダ』


レダル

『お人好しって事ですか…まぁあなたは人ではないですが…そこはいいでしょう、…お人好しも度が過ぎると、只のお馬鹿なのでは?』


アライブはレダルの言葉を手で振り払い


『タトエバカデモカマワン!…ソノバカノ…ヒュウノオカゲデ、ワレ二ハ…ヒュウトイウ…イバショガデキタ…』


レダル

『居場所…ねぇ、そんなの自分で作れない事の言い訳では?その力があれば私には敵わなくても、充分ドラーベや人間を支配できるでしょうに』


レダルのある言葉に反応したアライブから…こらえきれない笑いが溢れ出して来た


『…クク…クックックックッ…!』


レダル

『…何が可笑しいのですか?』


『…クク…アンシンシタダケダ、ワレハシハイナドキョウミハナイ、ヤハリワレラハキサマトハチガウ…トナ』


レダル

『…はぁ…そうですか…もういいです』


『……?………グウッ!?』


ズドンッ!という音と共にエヴァルドラーベは吹き飛ばされる、エヴァルドラーベが元いた場所には拳を突き出したレダルの姿、そこにいた事でエヴァルドラーベは彼に吹き飛ばされたのがわかる、エヴァルドラーベは壁を突き破って奥深くに身体が埋もれてしまう、身体には大きな衝撃痕が残り、身体や口などから血のような体液がブワッと溢れてくる


『…ゴプッ……グ……ュ…ウ……』


エヴァルドラーベは体液を噴き出しながらガクンと倒れる、そして残っていた赤黒い目の光が…完全に消えた、それを確認したレダルは黒いコートの男へと変化する、カウボーイハットを持ちながら深く被り


レダル

「…やっと私と対等に戦える者が…もしくは私よりも強い相手と戦えるかと…そう期待したんですがね、あなたが私のようだったらどんなに良かったか…、まさかただのお人好しに絆されてしまうとは、稀有な力を持ちながらなんと勿体無いことか…本当に残念ですよ…」


レダルは振り返り…外へと歩き始めた…、すると僅かに地鳴りの様な音…そして揺れが起きている事に気付く


レダル

「…おや?フフッ、壁を崩しすぎましたかね…?………!?」


レダルは何かを感じ取って振り返る、少し先の穴にはエヴァルドラーベが埋もれている、しかし彼等は倒れ、目の光が消えた事により意識が失くなったのも確認した、既に死んでもおかしくない程の負傷、彼等が立ち上がるのはあり得ないと考えていた


地鳴りの様な音は徐々に大きくなっていく…揺れの中、レダルは穴の中で一瞬僅かに何かが光ったのが見えた、一瞬だった為よく判別は出来なかったが、また続けて光が…今度は一瞬ではなく徐々に光が強く…


何かを確認するよりも先に身体が反応し、レダルは変化を解き人型ドラーベの姿に戻り、両腕を前に構え防御態勢を取っていた、すると近づいてきた赤い光にレダルは呑まれてしまう


レダル

『…!?コレは!?ウグウウゥーーーッ!!?』


エヴァルドラーベの刃が通らないレダルの強靭な身体が焼け焦げるように傷を負っていく、咄嗟に防御態勢を取っていたため全身にダメージはないが、それでも当たった箇所に酷い火傷のようなダメージを負っていく


光が止むとそこには防御態勢のまま傷を負ったレダル以外に何もなく、光が通った所は焼け焦げたような跡がついている


レダル

『…カハァッ!ハァッ…ハァッ…!い…今の攻撃は一体…!?』


レダルは瞳をギョロッとさせながら真っ直ぐに飛び跳ねて穴まで一気に進み穴の奥を確認する、そこにはエヴァルドラーベの体液で出来た液溜まりに、全身ボロボロのうつ伏せで(顔は横向き)目が虚ろに開いて倒れたヒュウの姿があった、辛うじて僅かに息はしているが…不安定な呼吸、意識も無いであろう死の間際の極めて危険な状態


レダル

『…変化が解けましたか』


こんな状態では何かを起こす事は出来ないと考えたレダルは、周囲を見渡して付近の穴をよく見てみる…するとヒュウのいる辺りから焼け焦げたような跡が付いているのが分かった


レダル

『…あの一撃はどういう事でしょう、最後にあのドラーベが何らかの方法で一矢報いた…という事でしょうか…』


穴を調べ考えている内に…レダルの傷は治っていた


レダル

『……?……まぁいいでしょう…そうだ、ヒュウのドラーベは興味深い事をしていましたね…もう治ってしまいましたが…私にあれだけの傷を負わせたご褒美をあげましょう…』


レダルは左腕を刃に変えて、突然自身の右腕を切断した、右腕は落ちて辺りに体液が広がる、落ちた右腕の傷はすぐに塞がり、レダルの切断された切り口からはすぐに新しい右腕が生えてくる、落ちた右腕を拾い…ヒュウが持ってきていたリュックに入れ、そのリュックを持っていく


レダル

『…もし生き永らえたのなら、後でこれを届けます、そしてあなたのドラーベにこれをあげてください、私の思うようにあれが只の食事でないならば…きっと役に立つはずです……そしてまた会う事があれば…是非戦いましょうね……!』


意気揚々と語り掛けるも、その相手であるヒュウは倒れて返事を返せる状態ではない、軽く鼻笑いした後、レダルは再び黒コートの男に変化し、今度こそその場を去る、その足音が消えた後に残されたのは…体液に浸るボロボロのヒュウだけだった…



この話終了時点の主な登場人物のプロフィール


黒コートの男、レダル



サフィア基地本部にてヒュウ達と出会い、結果として騙して戦う事になった謎の男、上から下まで殆ど黒色の服などを身に纏っている、人間時と人型ドラーベ時の高さは同じ約3m


自らを元はアライブのようなオールドドラーベだったとヒュウ達に伝え、今の人型ドラーベになった経緯を話してヒュウを恐怖させて気を失わせた、その事から性格はかなり陰湿、その一方で、アライブに対して初めて仲間が出来た事を喜んだりもした事から、あくまで無力な人間を嫌っていると思われる


どうやら自分と同じ様なドラーベや強者を求めているようで、求めている理由も戦いたいからという戦闘狂でもある


戦闘時の力は、エヴァルドラーベの斬撃を受けても傷が殆ど付かないほど頑丈、瞬時に間合いを詰めるほど素早く、協力な拳による一撃でエヴァルドラーベを圧倒した、戦闘では使わなかったが、ドラーベの様に腕を刃に変化させる事も可能、その上…かなりの再生能力もあるようで、自ら切断した腕も素早く生えてきていた




作品に関しての感想、質問があれば可能な限りお返事します。


次回も楽しみにして頂けると幸いです

ここまでお読み頂きありがとうございました!

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