第四十六話【艦長としての判断、何よりも優先すべきは…】
まずは閲覧ありがとうございます!
このお話は初心者による物語です、プロフィールに書いた通りのまるで台本の様な小説とは程遠い拙い文章、少ない表現力、明らかな描写不足、当然の様な誤字脱字など正直問題だらけです、それでも読んで頂けるのならば幸いです。
一部の「」『』の説明
「」は主に人間のセリフ
『』は人間以外や大体の主観の人以外の電話や通信越しなどによる人間の音声のセリフのイメージとなっております。
【この話での未知の生命体ドラーベ内の用語集】
【アハッド】
異星の者達から伝えられた技術によって、対ドラーベを想定して造られた人型兵器、大きさはおよそ8m程
【アフィア】
地球に存在する反異種族連合軍の通称
主に多くの地球人が集まった者達で結成されたそれは、ここ数十年で規模を広げ今ではフォースデルタに次いで地球を二分に分ける程力を持った組織、度々フォースデルタと衝突を起こすも、あくまで自分達は地球の為に行っていると正当化している、異星から来た彼らの技術を盗み、アハッドまで造り出していた(但し、違いは殆ど無い)
【カッド】
アハッドと同様に異星から伝えられた技術によって造られた戦艦、アハッドを格納な上にある程度の戦闘も可能、海上、空中、宇宙への航行も可能としている
【サフィア】
反異種族連合軍…アフィアの中の特殊部隊の通称
アフィアのロヴェルが統率している組織
特別国家イールフ
世界に広まっているアハッド、開発当時の研究者の一人が地球に作ったと言われている小さな国
他の国が最先端を目指して高層ビルや交通などを発展させていく中、この国は地球由来の豊かな自然が多い、そして中央には大きな噴水があるのが特徴的
【フォースデルタ】
地球連合軍の通称
異星との交流によりアハッドなどを得た地球で、対ドラーベを想定され発足された国を越えた人々が集う軍
【プレデシャン】
ミレイ達の乗るカッド…戦艦の名前
【ドラーベ】
地球や異星などに突然現れた未知の生命体、意思疎通が出来ず、人間を襲うものの明確な目的などが分かっていない為、侵略者として扱われる事が多い
現在軍に三種類確認されているドラーベだが、共通しているのは頭部が伝説上のドラゴンの様な形をしている事のみで、身体はそれぞれ違いがある
【オールドドラーベ】
ドラゴンの様な頭部を起点に、上半身は竜人を思わせる身体、下半身は蛇の様にやや長い身体、全体的に靭やかで身体の灰色部分は硬い、赤黒い部分は比較的硬くないが、それでも銃弾や刃物を通さないほどの硬さはある、人で言う肩の辺りからは、形状を鎌や触手の様に変化させる特殊な腕の様な物がある、大きさはおよそ1m超え
上記の通り足は無く、浮いてはいるがスピードは余り速くない(小学高学年位なら逃げ切れる)
ヒュウ達とレミ達の戦いの後、アライブの希望によりイールフの町中、エヴァルドラーベへと変化したあの場所へとやってきていた
そこでアライブは、ドラーベの死骸を喰らいながら自身のおかしさを認めた事をヒュウに伝えた
その発言に少し不安が過るも、自身にだけ理由を話してくれた事や『ウケイレテホシイ』という望みに応える為、アライブの提案を受け入れる事にした
その後プレデシャンに戻ったヒュウ達は、格納庫にいたエクレールやメックと話をした後、アライブを洗い、初めての入浴を堪能してもらった
その場ではアライブの知らない生態、アライブ本人曰く他のドラーベとは違う身体についても知る事が出来た
そして部屋へと戻ったヒュウ達は一日を振り返りつつ、翌朝に備える為にベッドに入り(アライブはヒュウに乗っている)眠りにつくのだった
……翌朝
「ん……んん……」
『オハヨウ』
「……ん…おは…よう…?」
ヒュウが目を覚まし、聞こえてきた声に寝ぼけながら挨拶を返す、身体にかかる重さの方向を向くと、アライブが目を開けてこちらを見ていた
「…アラ…イブ?…そうか…上で寝てたんだっけ…」
『…アァ、…グルル…イイノリゴコチダッタゾ』
「…はは、それはよかった…」
掛け布団をどかし、アライブに降りてもらってからヒュウは起き上がる、身体にはやはり凝った感覚があって、以前感じた感覚と一致していた、当時は原因がアライブと思ってなどいない為、特に気がかりとして残ってはいなかった、今となっては原因が分かったものの、関係性が変わった事もあるせいか、不思議と嫌な感覚ではなかった
今の時刻はまだ日も昇る前の早朝だが、二度寝する事なくこの時間に起きたのは理由がある、それはサフィアの人達を出迎え、彼等の基地に行く為だ、
ヒュウは軽く身支度を整え、早めの朝食をとる為に二人でキッチンルームに移動した
キッチンルームに着くと食欲をそそるいい香りが漂っている、食事はミレイとレミがメインに、プラスで何人かが交代で手伝っている、今日はポートが手伝っていて黙々と出来た料理を並べていた
集まったクルー達は挨拶を交わし冷めないうちにと、それぞれで出来た料理を取って食事をしている、ヒュウも同じ様に料理を取ろうとした所をミレイに呼ばれた、どうやら食事について聞きたい事があるらしいが…?
「…アライブが何を食べるか…ですか?」
ミレイ
「ええ、オールドドラーベが倒した者を(人肉)食べる事や、アライブがヒュウを食べる事は知っているのだけど…他に何か食べたりするのかしら?」
いつかは来ると考えていた質問、それが突然投げかけられた事でヒュウに緊張感が走る、ミレイは時々、知ってか知らずか定かではないが…妙に鋭い時がある
「…その、俺って食事に入るんでしょうか…?」
ミレイ
「フフ、ごめんなさい、勿論食事ではないと思うけど、美味かったとか言っていたから…ね」
『…ヒュウハウマイガ、ソモソモワレハニンゲンノヨウニウエルコトハナイ…ガ、…ハラガフクレルカドウカハタショウキョウミガアル、コンドヒュウデタメスカ』
「うん、気軽に試さないで」
『ソウカ……』
ヒュウのやや素っ気ない返信に、アライブは少ししょんぼりした
「そんな悲しそうにされても…それよりほら、他に食べる物はある?」
『…ドウホウ』
「(それもう言うの!?というか自分から!?)」
いつ言うかタイミングを考えていたヒュウをよそに、しれっと喋るアライブにヒュウは驚く
ミレイ
「ドウホウって…同胞?ドラーベを食べるって事?」
アライブは頷く
『ソウイウコトダ』
ミレイは手を口元に当て
ミレイ
「ドラーベ同士の共食いは聞いた事も見た事もないけど…元々そういう生態なのかしら?」
『イヤ、コレハワレダケダ、リユウハシラン』
ミレイ
「そうなの…、…流石にドラーベは用意出来ないから…代わりと言ってはなんだけど人間が食べる料理、食べてみない?お口に合うかは分からないけど」
『…イイノカ?』
ミレイ
「あなたが良ければね」
「ミレイさんもこう言ってるし、試しに食べてみたらいいんじゃない?」
『……ワカッタ、イタダコウ』
ミレイの好意によりアライブの分も出来た料理を持ち、まだアライブに慣れていない人達の為に人目を避け、キッチンルームにいくつかある個室に入る事に
今日の朝食は食パン、トマトスープ、ベーコンエッグ、レタスとシーチキンのサラダ、この四種類、取り敢えず気に入るものがあるか確かめる為、全ての食べ物をアライブに少しずつ味見させる事に
食パン
『アグアグ……ウム…』
トマトスープ
『ングング……ウム…』
ベーコンエッグ
『ガツガツ……ウム…』
レタスとシーチキンのサラダ
『シャグシャグ……ウム…』
どれを食べてもリアクションがあまりないアライブを不思議に思うヒュウだが、そもそも人間の食事を経験するドラーベの例が無い為、これが普通かそうでないかの判断が出来ない、取り敢えず聞いてみる事にした
「なんかあんまりリアクションないけど…気に入るものはあった?」
『……アワセテタベテモイイカ?』
「合わせて…?大丈夫だけど…」
ヒュウが頭の中でサンドイッチにでもするのかと想像する側でアライブは触手を伸ばし、ベーコンエッグをトマトスープに入れてから器を咥え、グイッと顔を上げ一気に食べる
「あ…合わせるってそっちなんだ…器用な事するね…もしかしてその二つが気に入った?」
『ゲフ……ダメダナ…』
少し顔をしかめるアライブに、ヒュウは少し首を傾げ
「ん…えっと?一緒に食べたら余り良くなかった?」
『……コウスルト、タショウハリソウニチカヅクカトオモッタガ…ウマクイカナカッタ』
アライブの理想という言葉に、ヒュウの脳裏にある事が浮かび…合ってない事を願い…不安ながらも尋ねてみる事に
「……念の為聞くけど…理想って…」
『トウゼン、ヒュウノアジダガ?』
「やっぱり……そんな味無理矢理再現しなくても…、あ…でも再現出来たらこっちで試されなくなるか…ってアライブ?」
アライブはヒュウを見てよだれを垂らしていた
『ヤハリヒュウノホウガ…』
グバァッ!
「ちょ!?ストップ!ストーップ!!」
ガチッ!
ヒュウは慌ててアライブの口を閉めさせ、なんとか事態を回避する、アライブは抜け出そうともがいているが、今離せばヒュウ自身が危ない為必死になって押さえた
『ングンググ!(ナニヲスル!)』
「食べるのはご飯で…!俺じゃないでしょうが…!」
『ングング…ングング(アジヲオモイダシタラ…クイタクナッタ)』
「いやいや…!絶対駄目だから…!」
『…ング(…ケチ)』
なんとか無理矢理落ち着いてもらい、床に垂れたよだれを拭き取り、ヒュウも朝食を食べ切ってから個室を出てミレイの所へ、折角作ってくれたのにヒュウの方が美味い、と言われる訳にいかないので、アライブに完食してもらいつつ、お願いして何とか言い換えて貰う事に
『…クエナクハナイガ、ワレニハアマリアワナカッタ…スマナイナ』
ミレイ
「そう…人それぞれ好みがあるようにアライブにも好みがあるもの…仕方ないわね、それでもちゃんと食べきってくれた事は嬉しい事ね、ありがとう」
『…ワレモカンシャスル』
ミレイ
「今度、また別のを食べてみてくれる?お米とかお魚とか、意外にスイーツが好きなんて事もあるかもしれないし」
『…カンガエテオク』
ミレイ
「お願いね、…そうだ、アライブがドラーベを食べるって事は一応みんなに伝えておいたから、安心してね」
『スマンナ』
「ありがとうございます…!」
何とかアライブの食事の事をトラブルが起こる前に終える事が出来てヒュウは一安心した、そこにメックがやってきてヒュウとアライブに用事があるとの事で一緒に格納庫へ行くことに
格納庫に着くと一つの大きめのリュックを手渡された、パッと見普通のリュックだが…やや独特な所がある、普通は付いているはずの開閉用のファスナーがない、代わりにあるのはいくつかのボタン、大きさも相まって見た目こそ重そうだが、持ってみると意外に軽く、丈夫さも兼ね備えている
「これを俺に?」
メック
「うん!持つのはヒュウくんだけど、アライブ用のリュックだよ!」
『…ワレノ?』
メック
「そう!ちょっと実践したいからヒュウくん、背負ってみてくれる?」
「…実践?はい、分かりました」
ヒュウは言われた通りリュックを背負ってみた、持った時にも感じたが、あまり重くなくて肩にかかる負荷もあまりない、そう考えている間に、メックはヒュウの背後に回り込む
メック
「アライブ、これを押してくれるかな?」
『…?コレカ?』
メックはヒュウに聞こえないように小声でアライブを呼び、それに合わせるようにアライブも小声で返しつつ、メックに言われたボタンを押す、すると小さくガチャッという音と共にリュックの上下左右が開いた
「えっ?なんの音?」
メック
「いいからいいから!ヒュウくんはそのままでね!」
「は、はい…?(一体何が…)」
メック
「アライブはここを通ってくれる?」
『…ヨクワカランガ、ヤッテミヨウ』
言われた通り開いたリュックの下の穴を通る、伸縮性が高く楽々通り抜ける事が出来、上の穴からヒョコッと顔を出しメックと顔が合う、メックに回れるか聞かれると、アライブはグルっとその場で一回り旋回してみせた、その時ヒュウにも振動が伝わる
「うわっと、な…何をしてるんですか?」
メック
「うん…ありがとう…!ってヒュウくん!まだ動いちゃだめだよ!」
「は…はい…すみません…」
メック
「…じゃあ次はここ…!…多分そこから…腕?出せるよね?」
アライブは横の穴から腕の触手を出してみせた、メックはよしっ!と喜び次の指示を出す、触手でリュックについたボタンを押してもらいつつ素早く引っ込めてもらった、するとリュックの左右と下が閉じアライブが顔のみ出ている状態に
「!?(また何か音が…!)」
メック
「…どお?苦しかったり窮屈だったりしない?」
『…トクニフマンハナイ、ムシロオチツク…キガスル』
メック
「…そっか、それなら良かった…!じゃあちょっとそのままでいてね…ヒュウくんリュック外してみてくれる?」
「…?はい…」
言われた通りリュックを片腕ずつ外す、少し感じる重さを不思議に思いつつも、持ち手を返して持ってみると、そこにはリュックから顔のみ出したアライブが居てヒュウは驚く
「……アライブ!?何でリュックに!?それにどうして顔だけ!?」
『…キヅイタラコウナッテイタ』
この状況に驚きつつも、リュックから顔だけ出して大人しいアライブは、少し可愛げがあった
メック
「へへ、言ったでしょ?ヒュウくんが持つけどアライブ用だって!これなら外でも一緒にいられるでしょ?」
「…あ、その為に用意してくれたんですか…?」
メック
「そうそう!エクレールもよく留守番で拗ねちゃってた事があってさ、それで外に行く時こういうのあったら便利かなーって思ってね!そうだ!アライブ、ちょっとそのまま出てこれる?」
『…ヤッテミヨウ』
アライブはスルリと難なくリュックから出てきた
メック
「お、スムーズに出られたねっ!じゃあちょっと難しいかもしれないけど…今の状態のリュックに入って…んで、さっきのように顔だけ出せるかやってみてくれる?苦しかったり無理そうなら開くから、合図を頂戴ね!」
『ワカッタ』
そう言うとアライブは上だけ開いたリュックに顔からズボッと突っ込み中へと入る、中からゴソゴソという音と外側からは中で歪に蠢くアライブの形が僅かに浮き出る、大丈夫かな?とヒュウが心配し始めるとヒョコッとアライブは顔を出した
メック
「おおっ!出来たね!アライブやるじゃんっ!」
『コレクライ、ゾウサモナイ』
メックに褒められ、どことなく嬉しそうなアライブ
メック
「その状態で入れるならボタンとか要らなかったかな?取り敢えずはこれでいいか!」
「でも本当に…外にアライブを連れてってもいいんでしょうか…?」
メック
「んー…そうだな〜、アライブ、顔も引っ込めてみて!」
『ン…ワカッタ』
アライブはスポッとリュックの中に収まった
メック
「これでどうかな!?」
「おおっ…!…って隠れられるだけで、根本的な解決になってないですよね…」
メック
「まぁまぁ、連れていける時はって事で!アライブも落ち着くって言ってくれたし!」
アライブは再びヒョコッと顔を出し頷く、アライブの満足気な顔を見たヒュウも「嬉しそうだし…いいか」と納得する
メック
「そうやって顔だけ出してたら、結構ぬいぐるみと勘違いしてくれるかもだしさ!」
『……ヌイグルミ?』
「…えっと…ドラーベのぬいぐるみってあるんですか?」
メック
「うん!世間では侵略してくる相手として有名とはいえ、一部には可愛いって言う人もいてね、そういう人達には人気みたいで販売してるよ!ヒュウくんも欲しいの?」
「い、いえ!俺にはアライブがいますから!」
ヒュウとしてはそのままの意味で言った発言ではあるが、メックとしてはそれ以上の何かがあると思い込み、薄っすらにやけた(ヒュウは特に気付いていない)
メック
「ふ〜ん、なるほどねぇ…?それはそれとして、そのリュック、大事に使ってね!」
「はい!こんな良い物用意してくれて、ありがとうございます!」
『…カンシャスル』
メック
「うん!じゃあそろそろサフィアの人達も来るだろうし、あっちでお出迎えの準備してるから手伝おっか!」
「分かりました!」
サフィアの二人は一度挨拶にこのプレデシャンへとやって来る、今いる格納庫ではアハッドを搬入出来るよう準備をしていた、俺達は資材を動かす手伝いを行ってアハッドの入るスペースを確保する、それが終わる頃にブリッジから艦内に通信が入る
ミレイ
『みんな、サフィアの二人から連絡があったわ、確認次第合図するから受け入れて頂戴、お願いね』
そしてその数分後…合図がきた、念の為にヒュウとアライブは何人かのクルーと共にブリッジのモニターから見守る事に
ガゴッ!っという音と共にハッチが開き、一機の銀色のアハッドが入ってくる、それを見たヒュウは記憶の片隅に微かにではあるが…訪れたアハッドに見覚えがあった
暴走していた時に戦った銀色のアハッド、アレはサフィアだったのかという認識をすると、無事だった安心感…そして申し訳無さも湧いていた
銀色のアハッドから人は出てこず、通信越しに声が聞こえてくる
ロヴェル
『お待たせしました、お出迎え感謝します、皆さんが宜しければ早速出発したいのですが…』
ミレイ
『ええ、こちらは大丈夫ですのでお願いできますか?』
ロヴェル
『わかりました、それでは僕が先導しますのでついてきてください』
ミレイ
『よろしくお願いします』
そう言うと銀色のアハッドは外へ出ていった、ミレイ達もブリッジへとやってきてからモニターに映る銀色のアハッドにプレデシャンでついていく、別のモニターにはプレデシャンの後ろも見えていて、そちらには青緑色のアハッドが居た、その事に気付いたヒュウはミレイに聞いてみると、そちらのアハッドもサフィアの仲間らしい
先日の話によると、サフィアはイールフと協力関係にあり、互いに物資のやりとりも行われている、その為かこれから向かう基地までもそう遠くはなく、数十分ほどで着くらしい
事前にミレイからアフィア(反連合軍)とサフィア(反連合軍特殊部隊)は別物と説明を受けていた、しかしどうしてもヒュウを含めた何人かは「反連合軍」という所が気掛かりになってしまう
反異種族連合軍…通称アフィアは、ミレイやレミのような別の星からこの星に来たり移り住んだ者を異種族と称して地球から追い出そうとする者達、アフィアは度々フォースデルタに戦闘行為を仕掛けている事も有名、学校の授業やニュースなどにも出てくる為、その情報は物心がつく頃には必ず耳にする
ヒュウはまだここで共に過ごして日が浅いが、自分とレミ達に人間としての違いを感じない、なのでそれを排しようとする反連合軍を冠する者達の基地に行く事は、どうしても不安に思い…疑念を感じてしまう
待っている間それぞれが話しながら時間を潰していると、ヒュウはミレイに呼ばれ近寄っていく、ミレイの近くには直前まで一緒に話をしていたのか…レミの姿もあった
どうやらメックからアライブの入る外出用リュックの事を聞いたらしく、どういう物か気になるようで、丁度リュックを付けたまま(アライブはリュックから身を乗り出してヒュウの頭に顎を乗せている)ブリッジに来たので見せる事に…なったのだが、先にレミが気になる事があるらしい
レミ
「前にエクレールも指摘していた時の映像でも聞いたけど…アライブってよくヒュウの頭に顎乗せてるわよね…なんで?それって重くないの?」
「あ、それ俺も気になってました、乗られている感覚はありますけど…重さは…あまり感じないです」
『…リユウカ?…ワレニハナイ…コノアタマノフサフサガココチヨイ、…グルル…ソレカラワレノアゴヤクビト、ヒュウノアタマガチョウドヨク、オサマリガイイ』
「フサフサって髪の毛?そんな理由だったんだ…」
レミ
「…他の人の頭はどうなの?」
『タメシテナイシ…ソモソモタメスキニナラン』
レミ
「ふ〜ん…」
「…?(心なしか残念そうな…気のせいかな?)」
ミレイ
「それでヒュウ、そろそろリュックを見せてもらってもいいかしら?」
「あ!は、はい!ごめんなさい!アライブ、一旦外すよ?」
『アア』
そう言うとアライブは顎をどけ、ヒュウはそれを確認するとリュックを外し、ゆっくり降ろしてからアライブに出入りしてもらう事に
アライブはスルリとリュックの中から出て、そして顔からリュックに突っ込む
ミレイ
「あら、全身しっかり入るのね?」
レミ
「でもなんかゴソゴソしてるけど…平気なの?」
そんな心配を他所にアライブはリュックからヒョコッと顔だけ出した
『…ヘイキダ』
レミ
「………!!」
ミレイ
「あら可愛い、顔から突っ込んだ時はちょっと心配したけど…体勢を変えられるって事は結構余裕がありそうね」
「そうみたいです、この状態も落ち着くみたいで…?ってレミさん?」
レミ
「………」
ヒュウの声にも反応しないレミは、手を軽く口元に当てている
ミレイ
「……?」
誰にも聞こえないくらい、レミは小声で呟いた
レミ
「……カワイイ」
「えっと…レミさん?」
レミ
「……はっ!?な、何よっ!!」
「えっ!?い、いや…アライブを見たまま固まっていたからどうしたんだろうって…」
レミ
「別に何でもない!」
レミのやや不振な様子に対し、ミレイは何かを思い出し
ミレイ
「…ああ!どこか見覚えがあると思ったら…」
レミ
「お母さんっ!何でもないったら何でもないっ!」
レミは素早くミレイに近寄って圧をかける、しかしミレイは動じずに思わず笑いながら
ミレイ
「フフフッ、そうね、何でもないわね」
「…?」
ミレイ
「ちゃんと大人しくしてくれるなら、このリュックで一緒に行ってもいいと思うわ」
「いいんですか?」
ミレイ
「ええ、でも外ではヒュウの頭に乗っちゃだめよ?」
『…ガッ!?ナゼダッ!?』
ミレイ
「リュックはともかく、頭にドラーベのぬいぐるみを乗せる人は流石にいないもの、それにリュックの意味がなくなってしまうわ、だから外では出来るだけ大人しくして欲しいの、出来る?」
アライブは葛藤の表情を浮かべ
『…グヌゥ、アタマ…!…シカシソレデハソトニイケヌ……グゥ……イタシカタナイ…』
「そこまで悩ましい事なんだ…」
『…アタリマエダ!』
アライブは目をカッと開いてバッとリュックから飛び出し、後ろからヒュウの頭に顎を乗せる
レミ
「あ…また…」
『……フサフサ…ココチヨイ…グルル…』
「はは…」
ミレイ
「あらあら、すっかり懐かれているのね、アライブ、今一度言うけど、外ではリュックの中か、出しても顔だけにして出来るだけ動かずに大人しくね?」
『…ン…グルル…ワカッタ…』
こうして条件付きではあるが、アライブにも正式に人前での外出許可を得ることが出来た、そして時間も思ったより経っていたのか…通信が入る
ロヴェル
『…みなさん、着きましたよ』
そう声が聞こえ、みんなは窓やモニターに映るプレデシャンの周辺を見る、しかしそこには銀色のアハッドの他には下に海が広がっているだけで基地どころか島一つ見当たらない
すると、突然地鳴りのような音がゴゴゴッ!と鳴り響く、プレデシャンの中にいる人達は驚くが、目の前では更に驚くことが起きた
海面が渦を作り、その渦の中心から凹んでいく、凹みはどんどん大きくなっていくと、巨大な穴が出来上がった
レミ
「こ…これは一体…!?」
ロヴェル
『驚くのも無理はないでしょうが、今は先に行きましょうか』
銀色のアハッドが先に穴へと飛び込み、プレデシャンもそれを追っていった、穴はそれほど深くなく…ゆっくり降りても数分で着地出来るスペースに降りた、周辺を映すモニターにはシェルターのような物がいくつかあった
ロヴェル
『簡易的に説明しますが、正面に見えるのは僕達がこれから向かうメインルームへと繋がっていて、手前には主に戦闘部隊やアハッドの整備などを行う格納庫になっています、反対には非戦闘員の商業、居住スペースになっています、よければ後でご覧になるのもいいでしょう、今はメインルームへ行きますから、そのままで居てください』
正面のシェルターが開いたが、そのまま?と言う言葉に疑問を抱くと共に地面が動き始め、プレデシャンは自動で奥へと運び込まれる
シェルターを潜った先には通路と巨大な格納庫が広がっていた、格納庫は上下に別れており、正面にはモニターから見えるだけでも今乗るプレデシャンと同サイズのカッドが複数、上にはアハッドが見えた、その光景は想像よりも規模がでかく、みな呆気にとられてしまった
運ばれてくプレデシャンの進む方向が変わり、入ってきた入り口近くのスペースに運び込まれる、上には「guest」と書かれていた事から来客用のカッドのスペースであると想像出来た
プレデシャンがゆっくりと止まる、どうやら到着したようだ
ロヴェル
『お疲れ様です、ここからはカッドやアハッドから降りてメインルームの中枢に向かいますが…全員で向かいますか?』
ミレイ
「いえ、そちらに向かう者や整備班などで何チームかに別れようと思っています」
ロヴェル
『分かりました、こちらの整備班も向かうよう指示します、整備用の機材など協力できる事はしますから、必要であればそちらを通してください』
ミレイ
「お心遣い、ありがとうございます」
ロヴェル
『それでは僕達もアハッドを置いてきますので、このカッドの側でお待ち下さい』
ミレイ
「分かりました」
通信が切れ、ここまで案内してくれた二機のアハッドは上へ飛んでいき、彼等が戻るまでにミレイはチーム分けをし、中枢に向かう人達はプレデシャンから降りる事に
その前にミレイからみんなにエヴァルドラーベについて話す事があるらしい、話の内容はシンプルで、出来るだけいないものとして扱い…基本的には頼らないというもの
レミ達と戦って存在を認められたものの、何人かのクルーはまだアライブを信用していない、一方で認めた者達でもその決定に特別拒否する者はいなかった、いざという時はエヴァルドラーベの力に頼りたい反面…恐ろしさの方が勝るという事の表れでもあった
話が終わってそれぞれのチームに分かれる時、ヒュウとアライブはミレイに話があると個室に呼ばれた
ミレイ
「何度も急にごめんなさいね」
「い…いえ!大丈夫です!えっと…話ってなんですか?」
ミレイ
「…みんなの前でこの話をしたら無意味になってしまう恐れがあったの、これはさっきの話の続きね」
「さっきのって、エヴァルドラーベには基本的に頼らないって話ですよね、それの続きって…?」
『…ワレハイマモフマンダ』
「ま…まぁまぁ…」
ヒュウは不服そうなアライブを軽くなだめる
ミレイ
「…こんな事をお願いするのは無責任だと思うかもしれない…だからこのお願いを聞いて受けるも断るも自由、強制はしないわ、それを理解した上で聞いてくれるかしら」
「…そう言われるとちょっと怖いですけど…聞かせてください」
ミレイ
「…分かったわ…用件としては二つあるわ、一つは先程…頼らないとは言ったけど、単純に手数が足りない時や緊急時にはエヴァルドラーベになる事をお願いするかもしれないという事」
「そ…それは勿論大丈夫ですよ!もし必要な時がきたら…ぜひ協力させて下さい!」
『…ベツニカマワンガ、ダメトイッタリ、カワレトイッタリ…』
ミレイ
「ごめんなさい…本当にそうよね、でも協力に関しては…ありがとう、これをみんなの前で言ってしまうと、今後の戦いの際にエヴァルドラーベありきで考えられてしまう恐れがあった、姿が変わるとはいえ…身一つで積極的に戦わせたくはなかったから…だからみんなの前では言わなかったの」
「…確かに、いないものとして扱うと言った事と矛盾しちゃいますもんね…」
ミレイ
「そして二つ目…これがあなたを一緒に中枢に連れて行く理由…そして特に無責任だと思うかもしれない事よ」
「…はい」
ミレイ
「…いま私達は、私の親友、イフカに紹介してもらったこのサフィアにやって来た、けれどここの事やこの先は未知数で何が起きるか分からない、ここに限った事ではないけどね、…だからこの先どんな状況でも、エヴァルドラーベの力が必要だとあなたが感じたなら…その時は他に判断を仰がずに迷わず使いなさい」
「え…?勝手に判断して…勝手にエヴァルドラーベになる?そんな事は出来ないですよ…!」
『厶?デハワレガカッテニ…』
「いやいやいや!それはもっと困るよ!」
『…ツマラン』
アライブは不満気な表情を浮かべる
ミレイ
「…そんなに難しく考えず、単純にヒュウが力を使いたい時は使っていいって事よ、アライブすら心配するあなたならその力を正しく使ってくれる、私はそう信じているから」
「ミレイさん…、…エヴァルドラーベの力を正しく使えるか…期待に応えられるかは分かりません…でも自分なりに努力はしてみます」
『ジャアカワルカ』
「いや今は必要じゃないから!」
ミレイ
「フフ、ありがとう、それが聞ければ充分よ…取り敢えずプレデシャンでの戦闘中は裏方に徹して貰ってる事にするわね、ブリッジにいた場合、急に消えたりしたら不審がられてしまうし…いいかしら?」
「分かりました、配慮までしてくれてありがとうございます…!」
ミレイ
「これくらいしか出来る事はないもの、それじゃあそろそろ行きましょうか、みんなを待たせ過ぎる訳にもいかないし」
「はい!アライブ、大人しくしてね」
『ムゥ…アタマ…シカタナイ』
アライブはリュックに戻って顔だけ出し、ヒュウ達はプレデシャンの外へと降りていった、その際に降りたヒュウは違和感を覚えた
「(…なんか、身体が軽い…ような?)」
中枢に向かうのはミレイ、レミ、ポート、ヒュウ、そしてリュックに入ったアライブで行く事に、プレデシャン近くで待機していると、二つの謎の乗り物に乗った人達が近くまで飛んでやってきた、その乗り物から降りた人達はヒュウより背の高い端正な顔立ちの銀髪の男性と青緑髪の女性だった
「(あれ?何処かで見たような…)」
ロヴェル
「お待たせしました、中枢に向かうのはこちらの皆さんでよろしいかな?」
ミレイ
「はい、大丈夫です」
ロヴェル
「では中枢に向かいましょう、ミレイとレミはこちらの乗り物に、後の二人はあちらに…」
シャイラ
「ロヴェル…!!」
勝手に人を選んでエスコートしようとするロヴェルに、シャイラの静かな怒り…その様子を見たロヴェルは軽く両肩を上げ
ロヴェル
「…どうやら逆のほうが良さそうだ、君達が一緒に乗ってくれ」
ポート
「…了解した」
「よ、よろしくお願いします…!」
シャイラ
「全く…それではミレイさん、レミさん、こちらへ」
レミ
「はっ、はい!」
ミレイ
「よろしくお願いします」
ロヴェル・ヒュウ・ポートと、シャイラ・レミ・ミレイとそれぞれに分かれ、謎の乗り物に乗り込むと浮かび上がり、中枢へと向かった
この乗り物の形状はキックボードのボード部分を円形に拡張した様な形だ、立てば数人乗れる広さがあり、ハンドル部分は八割方円状に付いていてみんながハンドルに掴まれる、ハンドル中央には操作用のパネルが付いていてこれで操作を行うようだ
それぞれロヴェル、シャイラを中央に、残りの二人が左右に並び立つことになった、意外にスピードが出て屋内ではありながら、受ける風が少し気持ち良かった
ポート
「…この乗り物、地上では見た事が無いが…一体どうなっている?」
ロヴェル
「あぁ、これかい?この基地は規模がデカすぎて移動するには不便だからね、なかなか快適な移動だろう?」
ポート
「…そうじゃない、俺が言いたいのはどういう原理で動いているかを聞いている」
ロヴェル
「ハハ、そっちか!これはまだ仮称だが…UGボードと言ってね」
「UG…ボード?」
ロヴェル
「そう、UGはアンチグラビティの略で反重力を意味する、このUGボードは現在宇宙の基地の移動用として使われているスペースボード、それを地上で使う事を目的とした乗り物なんだ、ポートの言う地上では、と言うのはスペースボードを知っての事と見受けたが…どうかな?」
ロヴェルの指摘に、ポートは一瞬眉をしかめる
ポート
「…ああそうだ、以前宇宙艦…基地ににいた時に見た事があった、何故それがここに…そしてどうして地上で飛行出来ている」
「…スペースボード…宇宙艦…?」
ロヴェル
「フフ、ここは地上ではないよ、簡単に説明するなら…この地下に作った特殊な空間、ここに特殊な重力を生成する、その重力に合わせてスペースボードを改良して造られたのがUGボード、だからコレは地上では機能せず…ここの基地内でしか使えない、いずれは地上でも使えるようにしたいから名前はUGボード、という訳さ」
ポート
「…なるほど、降りた時の違和感の正体はその特殊な重力か」
「あ、それで身体が…!」
ロヴェル
「そう、それも作用の一環だね、地上に比べると僅かに軽く感じるはずだ…そろそろ着くよ」
初めての場所…初めて知る事に驚くのも束の間、ヒュウ達はサフィアの基地の中枢へと向かう…そこは一体どんな所なのか…
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