故郷へ
シャルさんの手作りハーブクッキーは、なかなか美味しいがタダで食べて良いのだろうか?
「フラットホワイトおかわり」
「今持って来ますね、チノちゃんおかわり」
「フラットホワイト追加・・・たまには、カプチーノ頼んで欲しいな・・・」
僕は基本にフラットホワイト派だよチノちゃん、それにしても枯れない聖なる桜が無い国を旅して数ヶ月、やはり交通機関が馬車とかキツイしまだ馬車に乗るより、歩きか魔法で空を飛んだ方がマシ。
異世界から来て居着いた、一石博士の近代化技術は僕ら東方暁の民に、世界の中で浮いた国に成り一部では、東方暁に住み着く旅人が増えたのは言うまでもないが、やはり食べ物の好みとか文化が違う点は未だに未解決だ。
言葉は通訳マジックアイテムや、スキルや普通に覚えるで解決されるが、言葉が通じても争いは減らないけどね。
何処かの大陸では戦争してるらしいが、緑が殆んど無い国が戦争を起こしてるらしいが、それは新しい国王に変わってかららしいが、困った国王が世の中には居るらしい。
「今度私もお菓子作ってみようかな・・・」
「フユちゃん、胃袋は私が落とすわ」
「私は正攻法で」
好意を寄せられるのは男としては嬉しいが、恋愛対象としてはシャルさんは無いからね・・・何か、シャルさんからは妻にすると危険と、本能が拒絶する。
あと他の客の嫉妬で暗殺とか嫌だし、高嶺の花よりフユちゃんやチノちゃんの方が、僕は異性として好きだね・・・可愛いし、高嶺の花ではないし本能的な自己防衛的な勘も無い。
だがチノちゃん選ぶとマスターに、殺意持たれる危険性も有る気がするし、そもそもフユちゃんは元居た世界に帰りたいらしいし。
ハーブクッキーの不思議な効果と、緩やかに暖かな日射しが眠気を誘うが、今寝ると非常に身の危険を感じるので追加注文する。
「チノちゃん、カフェモカ追加で」
「ハイ、カフェモカですね・・・カプチーノ頼んでくれません・・・」
「甘めで」
「「甘党だね」」
甘党だって良いじゃあない、マスターが店の端でカフェモカを淹れて居た、それを見てチノちゃんがムッとして居たがマスターは、涼しい顔でカフェモカを淹れ終わる。
マスターの淹れたコーヒーは、チノちゃんとはまた別次元に美味いから病み付きに成る、コーヒーの美味さの秘訣を知りたい。
「前にキーくんの故郷に帰る方法が在るて、言ってたけど私今帰るの悩んでるけど・・・」
僕の顔を見ながら、紅く頬を染めながら言うが、勘違いして惚れちゃうからそんな顔をしないでフユちゃん。
「そう言えばこのカフェて、故郷以外には出現してるけどやはりあの桜花神樹の影響かな?」
「「桜花神樹?」」
故郷の神木の桜は妖精や精霊に小さき小人や、東方暁独特の神社を経営するエルフや、桜花神樹の管理をする神に近いハイエルフの方々が、特に多く暮らして居る。
神聖な山の雪桜山に登り、桜花神樹と初日の出を拝むと、真摯な願い程叶う人が多いが、特に異世界から迷って来た人に効果が在るとか、あと恋愛は管轄が違うらしく叶わないから、学業とか家庭とか身近な願いを願った方がお得、大抵身近な願いが叶うが異世界の人は特に、この世界に居てもお得は少ない。
その他にも、異界湖周辺からも異世界に帰る願いをすると、帰れるとか迷ってた人が直ぐ消えたとか色々な逸話が在る、その周辺にはハイエルフさん達の神社が複数在る。
「帰れなくても、キーくんの実家でお世話になれそう」
「家は農家だよ」
「え?」
「農家なんだ・・・」
何か固まるシャルさん、何故か大抵の女子は農家と聞くと敬遠する、まあ農家は母方の祖父がしてるけどね、実家は実際には母がのんびりと謎の仕事をしてる。
親父は酒の飲み過ぎで他界してるが、父親が居なくても別に不便は無いが、弟は野球の名門を来年卒業すれば後は、家にニート腐女子してる妹が何とかするだろう、家事は普通に出来るし。
たまに実家の庭には、親指小人族が母に何か相談してるし、本当・・・母の仕事は謎が多い。
何故か興味津々なチノちゃん、フユちゃんは何とも答え難そうな顔で居た。
「噂だと東方暁て農業普通では無いですよね?」
チノちゃんが青い澄んだ瞳を輝かせて聞く、確かに昔ながらや機械を使ったり魔力を使った栽培とかも有る。
「色々有るけど基本重労働だね」
「「「「重労働なんだ・・・」」
「選別とかは機械だけど、選別の最後は目視とか有るから結構大変だよ」
「機械・・・何かワクワクしますね響きが」
「チノちゃんが交通機関見たら眼を回すよ、異世界から来た人の一部が見て倒れたて逸話が在るからね、あとこんなの異世界ファンタジーじゃあ無いと、泣き叫んだ人居るらしいし」
(なんかワクワクが止まりません!)
(それってオタクて呼ばれてる人だね、まあ私も友達から本を布教されて少し読んだけど、昔読んだ図書館にあるファンタジーとは違うんだよね・・・
それに今現実的にファンタジーだけど、この喫茶店がファンタジー感が無い・・・キー君は時代劇ぽいし、他の人は冒険者ぽいけど)
(私のコレクション沢山在るかしら?)
何か三人は考え事をしてるが、今日は珍しく常連ジジィーズの姿を見てない、くたばったかな?
何時もシャルさんやフユちゃんの尻を触ろうとしたり、水を飲むだけで帰る爺も居るし、まあたまにマスターのプレッシャーを受けて逃げるが。
甘いカプチーノを飲みながら、綺麗に青く輝くの湖を眺める、冬も凍らない不思議な湖らしい外の光景を見ながら、カプチーノを飲み干す。
何処かの田舎町らしく湖ではのんびり釣りをし、釣れた魚をあっさり投げナイフで倒し、船に大量のドロップアイテムと食料が現れ、ニヤニヤしながら船を漕ぎ岸に帰ってゆく。
「ビックブルーサーモンを、投げナイフで倒すとは・・・ベテランだな」
「あのオジサン、一週間に一体は狩ってるよ」
フユちゃんが隣に座り言うが、何故に隣に座る?
「フユさん仕事して下さい」
「休憩はスタッフルームでしなさい」
だがフユちゃんに予想外の援護者現れる。
「私は構わないぞ、ゆっくりしなさい」
「お父さん!」
「マスター!」
「ありがとマスター」
笑顔でマスターに礼を言うフユちゃん、マスターは不敵でダンディーな顔で、チノちゃんとシャルさんに言う。
「二人共さっき休憩してるから、シャルさんは外の掃除にチノは洗濯物を取り入れて来なさい」
「えぇ~!!」
「分かりましたマスター」
明らかにガッカリした態度のシャルさんは、チノちゃんを捕まえ店の奥に行った。
「大事な話をしたいのだろ?」
「・・・ありがとマスター」
フユちゃんは真面目な顔で僕に向き合い、話し始めた。
「私・・・貴方が・・・」
此れは僕の妄想だ、そして思い詰めた顔で言う一言は今でも思い出す。
「喜一君、私を貴方の旅の仲間にして」
「・・・・・・え?」
「そっちか・・・フユくん」
そして僕はうるうる瞳のフユちゃんにほだされ、返事をしてしまいフユさんが旅の服装を整えるまで、当分は一人旅をする。
『喜一君の故郷に私を連れてって』
フユさんの依頼は、故郷の東方暁に行く事で費用を今まで貯めた、バイト代では無理なので旅の服装や着替えを買うと、貯めたお金が足りないらしいが、モンスターを倒せばお金に成るのに。
店を出て数日来た道とは違う、短距離で北上し港町まで数週間で到着し、フユさんを迎えに行った。
「まだ費用貯まって無いよ、キーくん」
「大丈夫、直ぐに支度して」
何かジト目で二人から見られたが、着替えや服装を整え店の奥から2時間後に現れた、何故か薄い水色のロングワンピースに麦わら帽子・・・何処に旅行に行く気?
他に居る荷物を聴いてフユさんに部屋を案内され、小物や悩んで置いた物や向こうの制服も収納し、何故か四人は目が死んでたが放置し、フユさんの手を握りトランクを万能空間に入れ店を出た。
「──潮の香り・・・懐かしい」
「故郷は海沿いなの?」
「首都の近くの大都会だよ」
尾張港街の鳥羽大都市と同じなのだろうか?
人気が無い場所からフユさんを抱き上げる。
「キーくん大胆・・・」
「魔法で故郷に向かうだけだから」
「・・・・・・もしかして・・・」
顔を青ざめるフユさん、魔法を構成し唱える。
「風を身に纏いて空を駆ける高速の翼と成れ・・・フライ・ドライブ!」
「やっぱり~!!」
涙を流しながら僕の服を掴むフユさん、一気に上昇し海龍海に向かい飛ぶ、フユさんからいい匂いがするが理性を保つ為に、遥か遠くに見える桜花神樹を見て理性を保つ、『美少女は最高だぜ』を心に押し込めて。
フユさんは怖がりながら目を開き、麦わら帽子が無い事も気付かずに周りを見渡す。
深いブルーの大海に青く透き通る空、大型の海鳥の陸上では情けない鳥のドンクサ鳥が飛ぶ。
海を飛ぶ姿は優雅なのに、陸上だと石につまずいたり人間に捕まったり、モンスターに補食されたりと踏んだり蹴ったりな鳥。
逆に空ではドラゴン族やグリフォン以外、天敵ではないがやはりドラゴンは空でも最強の生物だが、簡単に出会える程易くない種族だ。
海では決着が着いてないとか言われてるが、地上と空の覇者はやはりドラゴン族だろう。
「キーくん、巨大なアホウドリが飛んでるよ」
「アレはドンクサ鳥だよ」
「・・・異世界でもアホウドリと同じ扱いなんだね・・・」
「?」
まだ抱き付いてるが慣れたらしく、目を輝かせ海を見て居た。
「白く光るクジラが居るよキーくん」
「シルバーホエールだね、アレは伝説の古代モンスターだよ・・・確か」
「・・・・・・え!?」
シルバーホエールはレア過ぎる太古の昔から居る、ドラゴンより更に威厳あるモンスターで、見付けた者に幸福が起こると言われてる。
「運が良いねフユさん、普通に出会えないモンスターだから」
「そうなんだ・・・」
「幸先良いかもね」
「色々な意味で今私は幸せだよ」
(キーくんと空の旅だし・・・それに、お姫様抱っこ何て普通は無理だけど、今だけ・・・今この時だけずっとキーくんと二人で居たい)
僕はフユさんを怖がらせない様に、スピードを押さえながら先ずは異界湖を目指し飛ぶ。
【東方暁国】
神樹の桜の結界が在り不思議な者達が住む大陸国、近年は科学進歩が進み地球の科学とは違う道を歩む、ファンタジー科学の国。
永久機関を使った音速列車や、無人バスや各駅列車等交通機関が充実している。
一部森や荒れ地には、強いモンスターや無法者が居るが、基本他国より治安維持が高い国である。
「キーくん、大きな桜が見えるよ」
「アレが桜花神樹だよ、まだ海の半分も来てないけど陸に近付けば、更に凄いよ」
「やっぱり異世界はファンタジーだね」
「ハイエルフの方々や妖精や小人も居るからね」
「・・・・・・見てみたい、キーくん」
目を輝かせ言うので、先に実家に寄る事にした。
「国に着いたら、音速列車で移動しょう」
「・・・・・・それ大丈夫な列車だよね?」
(音速列車て響きが怖いよキーくん)
桜花神樹がくっきりと見えて来たが、スピード遅すぎて日暮れに到着に成りそうだから、フユさんには悪いがスピードを上げる。
更に抱き付くので『ヒヤッホー!!』と、心の中で叫んだが男だもん仕方ないだろと言い訳をしつつ、海龍海を数時間で横断し鋼鉄の帆船クルーズ船、ワールドブルー号が港に停泊して居た。
人気の少ない場所に降り立ち、フラフラよろけるフユさんをおんぶし、『美少女最高!』と背中の感触に理性を制御し駅に向かう、顔が緩まない様にしながら駅に行きグリフォン銀貨を六枚払い、一路途中の諏訪茅野温泉城下町まで行く。
黒い豪華そうな色と、シャープな流線型車体に、北斗星の九つの星のエンブレム、北斗号に乗り広い座席の自由席に座る。
「・・・・・・何か高そうな座席だね」
「貴族や王室やエルフさんや金持ちは、更に上の座席だから一般の指定席は、更にリクライニングでフカフカな座席らしいよ」
「異世界の列車のクオリティーが高い!」
まだフユさんには言って無いが、大陸横断ホテル列車の七ツ星ブルースター号は、更に凄いが遺跡か未開ダンジョン攻略しないと乗れない。
何せ一泊最低でもユニコーン金貨一枚、一週間ならドラゴン白金貨一枚が必要、寝るだけなら一週間ユニコーン金貨一枚で足りる、食事を高級レストラン区間で食べなければ。
そもそも高級レストラン車輌以外無い、鉄板焼きや懐石料理等一流シェフを乗せる、庶民泣かせなホテル列車だからだ。
まあ普通のホテル列車が在るが、座席は無いが個室の部屋は在るけど、硬いベッドに二人部屋。
カップルだとカップル個室で防音がされ、豪華な個室とか言う噂を聞くが大抵、新婚旅行で使うカップルが多い。
此方は一泊グリフォン銀貨五枚からだ、食事は注文すると厨房車輌から個室に届けてくれる。
食事は別料金らしいから財布と要相談だ、金貨一枚吹っ飛ぶコース料理も在るらしい。
発車の音楽が鳴り扉が閉まり、ゆっくりと車体が浮遊し走り出す、無音で景色が過ぎて行き音速に向け加速を始め、フユさんはガタガタと震えながらキョロキョロと周りを見る。
日が暮れる時間帯なので、乗客は少なく缶コーヒーを飲むビジネスマンに、次の冒険場所の移動に使う冒険者は武器に封をされ、冒険者専用座席で地図を見ながら相談をしてる。
まあ卒業した同期だが、装備は革鎧だったりモンスター素材の胸甲冑だったりする。
法衣を身に付けた神官らしきのは、国外から来た冒険者だろう、全身鎧姿の兜を外さない珍しい人物も居る。
「キーくん・・・トイレ」
「乗車区画に在るよ」
「行って来るね・・・」
青い顔をし行ってしまった、音速列車に乗る前にトイレに寄るべきだったな。
暫くして帰って来たフユさんは、まだ青い顔をして居た。
「異世界の列車のトイレ、ハイテク過ぎて逆に引く・・・」
自動トイレの事だろうか? まあ、トイレは色々機能付きだから仕方ない。
体調が悪い客には、それに合わせた薬が出たりやトイレの消臭の香りも変わるからね、たぶんセンサーに感知され薬がトイレから出た時に出されたのだろう。
自分で拭かずに自動で拭いてくれるから、慣れないとあのトイレは大変恥ずかしいトイレでもある。
ゲッソリしてるフユさんが回復したら、諏訪茅野温泉駅に着き今日は旅館で休み、明日実家に寄ってから異界湖に向かう。
「もう夜だし宿に行こう」
「宿!?」
(私まだ心の準備・・・いや待て私、コレ絶体オチ有るよ)
フユさんを連れとある温泉旅館に来た、木造の広く厳格な格式有りそうな温泉旅館、エルフ転生者? のヤマグチカッペイタて人が経営する旅館だ、クセが強いが・・・
「いらっしゃいませ~」
フユさんは何故か僕の後ろに隠れた・・・人見知りなの、すっかり忘れてたが先ずは挨拶しないとな。
「お久し振りです、マリさん」
「あら、今日は彼女連れ・・・旅で引っ掻けたの?」
ニヤニヤしながら近所のオバチャンみたいに聞く、一応この宿の女将エルフである、オバチャンくさいエルフだけど。
「喜一くん、今私をオバチャンとか思った?」
「まさか、マリさんはエルフなんだから二十歳の姿で、そんな事思わないですよ」
(悪口には口に出さなくても敏感だよな)
「本当よね?」
圧を掛けて来るマリさん、恐ろしいエルフ女将だがフユさんを休ませたいので、部屋を早く頼み別々の部屋を頼んだのだが、マリさんは何かフユさんにこそこそと耳打ちをして居た、何か嫌な予感が・・・部屋に着くとフユさんが赤い顔をして僕に聞く。
「・・・キーくん、私を今日襲うの?」
「あのエロエルフやってくれたな・・・」
襖一つ挟んだだけの部屋、表向き二部屋だが中は繋がった部屋で、襖を開ければ大部屋にも成る部屋。
「やあ、喜一君久しぶりだね」
「ヤマグチさんお久し振りです、あと親指を言葉に出来ない動きしないで下さい」
「今夜一発やるんだろ?」
親指を指の間から出し入れするなや、このエロオヤジエルフを、何処かに幽閉してくれ。
「キーくん・・・」
「疲れたよね、温泉だけはマトモだから」
「今温泉以外マトモでないって言ったか、喜一坊主」
「うん、言ったよ」
「表に出ろや!」
「また捕まりますよヤマグチさん」
「うっ・・・」
色々昔仕出かしお役人にマークされてる支配人、支配人と女将をマトモな人に変わって経営して欲しい。
「仕方ねえ今日は引き下がろう」
「一生引き下がって下さい」
「美味いめしで完膚なきにしてやる」
「どうせ冒険者からか買った、モンスター食材ですよね」
「・・・俺の心を折りに来ないでくれないかな・・・」
流石にやり過ぎたらしく落ち込むヤマグチさん、黒髪を丁髷風にした着物姿のエルフ支配人のヤマグチさんは、肩を落とし厨房に向かって行った、去った後に普通に隣に居るフユさん。
「暫くは下ネタ発言は無いだろう」
「私のエルフのイメージが、今日崩壊したよキーくん」
「アレは特殊癖なエルフだから、事故だと思って忘れて」
「・・・特殊過ぎるのだけど・・・」
料理が出る前に襖を閉め、自前の作務衣に着替えフユさんを待つと旅館の浴衣姿に、目が奪われ動けなく成る・・・此れが魅了による動けないて感覚か!
「キーくん行こ」
「だね・・・」
(うなじが・・・いかんいかん・・・)
フユさんが手を繋いで来た、何か恋人みたいで嬉恥ずかしいが、今日の事は忘れない・・・例え此れが、別れの前の幸せだったとしても、夕食は普通に美味しかったが・・・鰻だったのに悪意を感じる、まあ名物天然黄金鰻はなかな高級で、捕獲がなかなか難解な鰻だが、あのエロエルフ達は何を企んでるのかな?
翌朝抱き枕を出した覚えも無いが、何か幸せな感覚と抱き付かれてる感覚と共に目が覚める、何かフユさんの香り・・・見なかった事にした。
「キーくん・・・もっと抱き締めて・・・」
「おはようフユさん・・・」
挨拶したが返事・・・
「・・・・・・すき・・・・・・チュし・・・むにゃむにゃ・・・」
──なんか寝ぼけてるみたいだが、フユさんが凄く甘々な声だし、離れてくれないし柔らかい二つの丘が当たってるのだけど、あと色々柔らかいのがヤバい・・・お願い起きてフユさん。
「むにゃむにゃ・・・幸せ・・・」
更に抱き付いて来るフユさん、本当に寝てるよね? それにしても・・・
「何て素晴らしいく幸せな朝・・・いや待て、いつの間に一緒に寝てた?」
疑問を考えたいが理性が爆発しそうだ、この状況から離脱しなければ・・・
「キーくんの匂い・・・落ち着く・・・」
(フユさん、色々押し付けないで、そろそろ理性が限界よぉー!!!)
何とか脱出し温泉で心静め部屋に戻ると、フユさんが土下座した。
「私寝ぼけててゴメンね・・・」
アレは寝惚けるレベルでは、無い気がするよ・・・危うく、僕の理性が崩壊する所だったしね。
「それより合わせたい奴ら居るから、支度しよ」
「うん・・・?」
頭を捻るフユさんを連れ朝食後、各駅停車の列車に乗り数時間実家の在る故郷の街に帰って来た、無人バスで実家前まで行き、黒い瓦の古い昔家屋の実家に帰って来た、周りには民家は無いが小川や沢山の桜に桜色をした、蜜鳥が花の蜜を飲み他に抹茶色の古鳥に乗り、木を移動する小人達は此方を見て手を振る、何故かフユさんは小人を見て頭を傾げて居た。
「久し振りだな喜一坊」
最初に声を掛けて来たのは、小人の商人的な纏め役人で母と交流をしてる小人で、名前はヤシロで白髪で髪を後ろで束ねてるが、普通にオッサンだ。
「喜一お帰り」
「喜一のクセに彼女連れて来たぜ」
「童貞のクセにやるな」
「そこ、ハラスメントだぞ」
「私のイメージの小人と違う、何か小さい翼の無い妖精にしか見えない」
「「「「「妖精と一緒にするな!! 人間のお嬢ちゃん!!」」」」
小人達から滅茶怒られるフユさん。
「ごめんなさい!」
アタフタしながら謝るフユさんだった、騒いでたので家から母が現れた、エプロンしてるので和菓子作ってたか、掃除のどちらかしてたのだろう・・・趣味で、良く和菓子作ってるし。
「早い帰りだね、喜一」
「異世界から迷い人を連れて来ただけさ」
「迷い人か・・・喜一に、彼女が出来るわけないからね~」
この母は息子に酷いのだが、色々事情を説明したらフユさんを見てから。
「異界湖に行きな、大抵解決するけどイチャイチャしてからにしたら」
ニヤニヤしながらとんでもない事を、さらりと言う母に頭が痛い・・・
だがフユさんは、満更でも無い顔をしてた。
「喜一坊がダメージ受けてるぞ」
「流石我らの品を扱う店主、息子にも容赦無し」
「どうよ」
『どうよ』じゃあねぇーよ母よ、何か重要な事が聞こえたがフユさんは・・・何か、赤い顔しながらフリーズしてるよ・・・これフユさん、どんな状況なんだ?
「キーくんとイチャイチャ、親公認・・・」
聞かなかった事にした、小人達の宴会が急遽始まり鳥やイタチや、運び屋のオコジョやら狸やらが酒やら果実水やら持って来て宴会に、流石のフユさんがオーバーブローして倒れたので、客間で休ませた。
いつの間にか宴会準備は整い、茶色髪のボサボサ風来坊姿の、小人の与一の音頭が響く。
「喜一坊の帰りに・・・」
「「「「乾杯!!」」」」
「僕を理由に宴会したいだけだろ」
「「「「当たり前だろ」」」」
だよね・・・母の謎の仕事も小人達から知り、子猫より小さな体で人間が食べる量の食事を食べる小人達、から揚げが消えて行く・・・・・・
「黄金の金目鯛の煮付け渡さないぞ!」
「今年一番の脂が乗った金目鯛だぞ、独占するな!」
「喜一、から揚げ追加」
「自分で作りなよ・・・」
「兄ちゃん、コレ」
「ああ、ありがと・・・て」
いつの間にか妹が現れ、から揚げを置いて去って行った。
「相変わらずだね」
「自由な妹だよ、アレは」
小人の六郎と妹の背中を見ながら言う、六郎がから揚げを一口で食べると、涙を流しながらフリーズして口から火を吐いて居た、どうやら激辛チリペッパー辺りをから揚げに仕込んでたみたいだ。
「はい、水」
炭酸水を普通に渡したが直ぐにバレた、まあ仲間に酒を飲まされ再起不能に成ってたが。
「赤飯のおにぎりと」
「それは俺の店で扱ってる小豆さ」
丁髷町人風の八助が言うが、産地は何処だ?
「遠い北のエルフさん達が作った小豆さ」
「・・・エルフも農業するんだな」
「大半は大福や羊羮を食べたいからさ、店主が和菓子屋に卸して代価に和菓子がお代の一部に成ってる」
それで良いのかエルフさん達?
「野郎達は何故か和菓子より洋菓子だけどな」
どうせ苦いチョコ辺りだな。
「ウイスキーボンボン食べ過ぎて、たまに仕事せずに寝てるな」
本末転倒だなて、酒入りのチョコかよ!
「ドワーフと喧嘩して食べてるよな」
「仲が良い奴等だぜ」
「なんだかなぁ~」
「ウォッカ入りボンボンを、何個も食べてたからな」
「・・・ドワーフが好きなボンボンだな」
「エルフ達はワインかアップルブランデーだな」
「エルフは高い酒を飲むね・・・」
「安いのは美味く無いから、飲める年齢に成ったら色々酒を教えてやるよ」
色々な酒を知るらしき、ダンディーな紳士スーツ姿にちょび髭の、アルバトスはそう話をする。
グラスにリンゴの香りがする、炭酸のワインを入れ渋い雰囲気を出し飲む。
「そろそろ買い付けに行かないとな・・・」
「冒険で面白い大陸てある?」
グラスのワインを飲み干してから、アルバトスは答える。
「東の果てに在る大陸だな、荒れた海が数千万厘広がるが近い海域は逆に穏やかな大陸だ」
「なかなか難解な大陸だね」
グラスに再びワインを注ぎ、アルバトスは言う。
「その大陸ではクラン・・・まあ、同士や仲間を集めてチームを作る独特のシステムが有る。
まあソロでも活動出来るけどモンスターは、あの大陸にしか居ない不思議モンスターだらけだが、何故か赤い月が出ても、悪魔の使いのゴブリンは現れない数少ない大陸だな」
まだ西に旅を始めたばかりだが、興味深いからフユさんが故郷の世界に帰れるかだ。
だけどこのアルバトスの話が、僕の人生を動かした何てこの時は思わなかった、この先の僕に新たな選択肢に成った。
回復したフユさんも入りドンチャン騒ぎは、日が暮れても続いた。