第三十一話 夏季休業
早め!
〜領都シーロン星系・天空城・ルミナ執務室〜
カキカキカキカキ..........
出ないはずの音が出ているように聞こえる...
何やってるのかといえば電子書類にサインしてる。偽造防止とかちゃんと確認したかとかそういうののためにあるのは分かってるけどすっごく面倒。
仕組み的には使ってるペンに仕掛けがある。このペンは皇帝から下賜されたものの一つで、当主か当主が許可した身内だけが使うことができる特殊なペンだ、専用の入れ物まである。そして、この領のトップが確認したよと証明するものでもある。構造は長いから割愛するけど、ようはハンコ代わりね。署名をすると我が家のマークが電子書類に大きく現れる仕様になってる。
...でもこれ魔法でどうとでもできちゃうのよね。やっぱり帝国は魔法的なものに弱いわねぇー
これも徐々にでいいからなんとかしなきゃね。他の強い多様な魔法を使う種がいるかもしれないし。あ、それの調査もしなきゃか。
「うう〜、やることが増えていく...今ですら結構仕事あるのに...」
「自業自得じゃね?」
ソファーに座って私と同じように書類を処理してるリアムがぶっきらぼうに言った。
たしかにそうだけどさぁー貴族になることも帝国に下ることも思いつきで仕事増やしてるのも自分だから反論できない...
「むーちょっとくらい愚痴ったっていいじゃん」
「はぁーまぁちゃんと仕事処理してるならいいや、また逃げ出すなよ?お前の承認がないと進まない仕事なんて山程あるんだから」
全部事実なせいで反論できない...前一回仕事から逃げたとき1日だけ逃げ切れたんだけど溜まった仕事の量やばかったからなぁ...
「はいはーい」
そんな適当な返事を返してまた仕事に戻る。
...終わる気がしないしこれもっと効率化するか。よしそうしよ。
「なにしてんだ?」
魔力を動かしたからリアムが気づいたわねーやっぱバレないようには無理か、なら巻き込みましょ。
「業務効率化のためのシステム作るわ、コアをもっと使えば色々とできそうだもの」
さてどうしよう、コアの演算力は馬鹿げてるからそれ使って、電力と魔力組み合わせて、回路作って、システム誤魔化して、防犯用のシステムも組んで、あ、コアと私の脳魔力的に繋げて情報共有するか、なら脳がショートしないように何かしらの対策を打たないと、ずっとバフかけてもいいけどそれもなぁ...
「それ俺らにも使えるか?」
「あっ」
やべ、自分が使うことしか考えてなかったや、そうよねみんなも大量の書類片付けたり色々とやってるものね。みんなにも使えるようにするとなると...?案だしからやらないとねぇ...夏季休業の間に完成させたいわねこれは。頑張るかー。
「な、なんとかするわ」
「そうか?なら頑張れ、もっと暇な時間が欲しいぞ」
「おい、やっぱそれかよ」
はーこいつだけ細工しとこうかなー...いいやめとこ、自分で修正しそうだし怒りそうだし。戦闘になったら面倒くさい。
ここ
そんなじゃれあいをしてたときに、執務室の扉が開いた。
「ルーちゃんーお願いだから事務員増やして」
リアが抱きついて泣きついてきた。あー幸せ〜。じゃなくて、事務員...そうかぁ足りないかぁーどうしようかなぁ?どっかに人であるかな...まだ地上の屋敷は建ってないから必然的にここに来れる人に限られるんだけどそうなるとなぁ...ほぼほぼ駄目になるし大丈夫かどうか試すにも命がけになるし...んー
「難しいかも、人手が足りないなぁ...」
「うー」
すっごくかわいいしすっごく幸せ。顔がニヤけないようにするのが大変。...そんな場合じゃないんだけども
そんな幸せに浸ってたとき、執務室の扉が叩かれた。次は誰だろ?ちゃんと扉叩いてるってことは多分メイドの誰かだろうけど。
「どうぞ」
「失礼します。お茶とお茶菓子をお持ち致しました」
ケシールか、序列2位の吸血鬼の子だっけ?眷属の序列とかもう殆ど覚えてないや。
時計を見てみると午後の3時、ちょうどおやつの時間だ。
「じゃ休憩にしましょうか」
「そうだな」
「今日のはなーに?」
そんな感じでお茶菓子とお茶をソファーに座って飲み食いしながらゆったりとした時間を過ごしていたら、ケシールからある提案をされた。
「申し訳ございません。先程の会話が聞こえてしまったのですが、人手不足なのであれば我々を更に増員して使うということも可能でございます」
「「「え?」」」
え?それありなの?
ずっと天空城の維持管理と守護しか使えないと思ってたんだけど。
「我々の最優先事項は皆様の守護と補助、次点で天空城の維持管理と守護になります。ですので最悪天空城を捨ててでも皆様をお守り致します。これはこの天空城で生まれたものなら誰一人として例外はありません。たとえ生身だろうと、たとえAIだろうと、たとえ眷属だろうと誰一人の例外も存在しません。それが我々の存在意義なのですから」
なるほどねぇーそんな感じだったのか、それなら理解したわ。なら存分に使ってあげましょう。
「ありがとうね、ならできるだけ早くみんなの必要なところに応援を出してあげて、私のところ含めて」
「はい、承知いたしました」
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