鑑定眼鏡の効果は如何に
皆さんどうも、ガクーンです。
今回登場するアイテムはこれから先、重要となっていくのでお見逃しなく。
では、お楽しみください。
俺は鑑定眼鏡をかけ、エルドとモーリーの方へと振り向く。
「二人とも、私がジロジロ見ても気にしないように頼む。それじゃあいくぞ」
二人に声をかけると、エルドを見つめ、頭からつま先までくまなく全身を見る。
すると鑑定眼鏡のレンズに何やら文字が浮かび上がってきて……
名前 :エルド
武力 :48/56
統率 :32/43
剣術 :32/56
槍術 :48/50
騎術 :17/41
弓術 :06/42
盾術 :12/21
体術 :11/32
隠術 :06/42
智力 :26/34
政治 :22/42
魅力 :34/46
忠誠 :82
野望 :36
突破 :0/1
成長 :C
エルドのステータスが表示された。
「よし! 前世と一緒だ!」
鑑定眼鏡の効果がグレシアスと同じ事を確認できた俺は嬉しさのあまり、言葉を漏らしてしまう。
「アルス様? 前世とはいったい?」
無意識に大きな声で喋ってしまった為、エルドに聞こえてしまったようだ。
やばい……。
エルドが怪しんでる。
「あっ……ゴホンッ、何でもない。そうだ! エルドに聞きたいことがあってさ……」
「え? あ……、何でしょうか?」
我ながら言葉のすり替えがひどいな……
無理やり話を替え、話をうやむやにした。
なんとか誤魔化せただろうか?
流石に、今日初めて護衛に俺の前世の秘密を話す訳にはいかないもんな。
俺は内心、バレてしまったのではないかとドキドキしていたが、時間が経てば忘れるだろうと考え、一つ一つ、ステータスの項目を確認し始める。
それにしても、鑑定眼鏡がこっちでも普通に使えて本当によかった。もし、鑑定眼鏡が使えない、なんてことになっていたら……大幅に予定が変更になっていたもんな。
これから先は鑑定眼鏡が必須。こんな序盤で躓いてられないからな。
とにかく、鑑定眼鏡がグレシアス通りに使えることが分かったので、このまま予定通りに進めていこうと思う。
俺はそんなことを思考しながら、昨晩紙にまとめたグレシアスの攻略情報の中から、鑑定眼鏡の効果というページを開き、目を通す。
俺が鑑定眼鏡の情報を再確認するついでに、皆にも分かりやすいように説明しよう。
まず初めに、鑑定眼鏡には普通、上級、最上級とレアリティが上っていき、レアリティが高い鑑定眼鏡ほど、特別な効果を発揮する。
今回は俺が持っている最上級の鑑定眼鏡の効果について話そうと思う。
まず、最上級の鑑定眼鏡は三つの大きな特徴がある。
一つ目は鑑定した際に相手の嘘偽りのない本当の名前……真名が分かるという事だ。
また、この効果はどのレアリティの鑑定眼鏡でも使用可能である。
二つ目の特徴は鑑定を施した者の現在能力値と潜在能力値が分かることだ。
これが鑑定眼鏡を欲した一番の理由である。
では、エルドの武力ステータスを基に見方を説明しよう。
武力 :48/56
/の左側に記載されている48という数値が現在能力値。
/の右側に記載されている56という数値が特訓を積めば到達し得る能力値、つまり潜在能力値である。
つまり、グレシアス基準でいくとエルドは現在、48相当の武力の持ち主で、努力次第では56相当の武力を保有する事が出来るって訳だ。
急に48や56って数値だけ言われても、その値がどれほどなのか想像がつかないだろう。
そこで、グレシアスの攻略班が挙げていた基準で表そう。
101以上。ぶっ壊れ(滅多にいない)
91~100。英雄レベル(都市に一人いるかいないか)
71~90。猛者レベル(都市に数十人いるかいないか)
51~70。熟練レベル(数十人に一人)←エルドの努力次第で到達可能
31~50。普通レベル(大抵の人がここ)←エルドの現時点
1~30。才能無しレベル(ご愁傷様です)
この様な具合になっているが、いくら才能がある者。つまり、潜在能力値が高い者でも、その能力を鍛えないと、才能無しレベルか普通レベルの範疇に留まってしまう。
そりゃそうだろう。
生まれた時から最強な奴なんていないからな。いや、例外野郎が一人いるにはいるが、あいつは抜きで考えたら多分いないな。
そう考えると、エルドは陰ながら頑張っているって分かるよな。
ここから少しだけ能力の効果を説明したいと思う。
まずは武力。戦闘の際の基準となる目安で、高ければ高いほど戦闘能力が秀でているということになる。
また、能力値が少し離れているだけでも、戦闘能力の差が現れる。
もし、武力45の者と50の者が一対一の勝負をするとしよう。
皆はこの二人が10回勝負したら、武力45の者は何回勝てると思う?
5回か? それとも3回だろうか……
正解は1回勝てるか勝てないか……、だ。
驚いただろう?
数値が少し変わったぐらいでそれ程の力の差が生まれてしまうんだ。
まぁ、その時の状況や天候。その者の体調等の外的要因があればまた変わるけどな。
統率は仲間を率いるときに発揮する能力値で、値が高いほど上手く仲間を率いることが出来る。
ゲーム内では、統率の数値が50未満の者を指揮官として使うなら、いない方がましとも言われていたぐらいだから、基本的に統率の値が50以上の者を指揮官にしよう。
剣術は剣類の武具を扱う上手さ。
槍術は槍類の武具を扱う上手さ。
騎術は馬等の乗れる生き物を操る上手さ。
弓術は弓類を扱う上手さ。
盾術は盾類を扱う上手さ。
体術は己の肉体の扱いの上手さ。
隠術は気配を消すことや情報収集の上手さ。
政治は内政事の上手さ。
魅力は交渉やリーダーシップ性等を指す。
忠誠は鑑定を使用した者にどれだけいちずか、また服従しているかを指す。
野望は裏切りやすいか、謀反を考える可能性の高さを指す。
またその他にも隠れステータスと呼ばれる項目も多々あるが、今回はそこに触れないでおこうと思う(またの機会に)
そして、三つ目の特徴がグレシアスというゲームで結構重要になってくる要素だ。
その要素とは、その者の潜在能力値の上限が上がる回数を示す、『突破』という項目と、突破時にどれ程潜在能力値の上限が上昇するか、又は上達スピードの速さを表す『成長』という項目である。
何故この二つが重要かというと、突破できる回数が多いほど、最終的に到達できる潜在能力値の上限が高いし、成長値のランクが高いと、その人物が突破した時に上昇する潜在能力値の上り幅が増えるからだ。
それが顕著に表れている例が、グレシアスに出てくる人権キャラやネームドキャラといった、ゲームではお馴染みの強キャラ達の存在だ。
そいつらは何故、強キャラと言う風に呼ばれているか。
それは……突破と成長の能力値が高いからだ(このゲームに限っての話だけどな)
まぁ、元々の能力値が高い奴も一定数いるにはいるが、そいつらは少数派だ。
そりゃ、突破と成長のレアリティのグレードが一つ高いだけで、想像も絶する程のステータスの開きが出る。なんてこともあるぐらいだからな仕方ないよな。
また、成長のランクが高い者等は人並みの訓練などをしていても、他の者よりもステータスが上昇しやすい事から、組織で優遇されるのも必然だろう。
俺はグレシアスというゲームに青春いや、人生を捧げてきたレベルにはプレーしてきたが、その中で一番大変だった事は、突破上限回数が多い、尚且つ成長ランクが高いキャラを見つけることだった。
キャラの大半は突破の上限が1回限り。
2回あるなんてキャラは滅多に見つからないし、3回なんてキャラに至っては一つの都市をくまなく探してもいない。なんて時がザラにあるレベルだ。何だったら、序盤で理想のキャラに出会えず、プレイを断念した事も多いぐらいだ。
そんな極悪鬼畜設定の強いキャラ探しを上手く乗り越え、突破回数が多いキャラに出会えたとしよう。
画面の前で何十時間、何百時間も張り込んで、極めて低い確率を乗り越えていったとしても、このゲームには第二の関門、『成長』って項目もあるんだ……
まったく……、やってられないよな。
しかも、成長値はD~SSまで存在するし……
大半はD~Cが占め、Aで希少。Sなんていたら速攻でスカウトするレベルだ。
……うん。言いたいことは分かる。
限界突破回数が3回以上、尚且つ成長値がA以上なんてキャラ何処にいるんだ? だろ?
皆も分かってきた所だろう。グレシアスが鬼畜ゲーと言われてきた所以をさ……
まぁまぁ、そんな湿っぽい話は置いといて、俺の今後の方針を発表しよう。
ズバリ! 限界突破上限が2回以上かつ、成長ランクがB以上の奴を見つけていく。だ!
何々? 目標が低いんじゃないかって? そこは勘弁してくれ。今回はやり直しが効かない、一回限りの鬼畜設定なんだ。ここで多くの時間を取られる訳にはいかないし、ここら辺が妥協ラインだと思う。
でも、この前段階でどれだけ優れている仲間を集められるかによって、この先の攻略難易度が変わるから、気合を入れていきたいとは思っている。
補足として鑑定眼鏡の上級と普通の効果を説明しよう。
まずは普通鑑定眼鏡。こいつは通称ごみくずアイテム。
ホントに使えなくて、出来る事と言ったら相手の名前が分かるだけ。エルドのステータス欄を利用すると…
名前 :エルド
こう見えるだけだ。
こんなアイテムを買うんだったら、もう少し金を出して上級鑑定眼鏡を買ったほうが良い。
次に上級鑑定眼鏡。
こいつは相手の名前が分かる事と、突破回数と成長、潜在能力値以外の項目が見られる。つまり…
名前 :エルド
武力 :48
統率 :32
剣術 :32
槍術 :48
騎術 :17
弓術 :06
盾術 :12
体術 :11
隠術 :06
智力 :26
政治 :22
魅力 :34
忠誠 :82
野望 :36
こう見えるってことだ。
まぁ、ステータスが見れるって言っても現在のステータスしか見られないから、序盤の金が無い時や、最上級が見つからないって時だけにしか使わない。
これも前半でしか使われないアイテムだった。
以上が、鑑定眼鏡の上級と普通の効果だ。
基本的にプレイヤーは最上級の鑑定眼鏡しか使わないから、皆も初めてグレシアスをプレイするときは最上級を買うようにするんだぞ!
そんなこんなで、アルスはエルドのステータスをメモすると、次はモーリーの方へと振り向き、同じように鑑定を始めた。
しかし、モーリーもエルドと大差ないステータスであり、アルスは見るからに気落ちした様子で。
「うん、そうだよな。そんな都合よくいい人材がいるわけないよな」
と呟きながら、一応モーリーのステータスも記録した。
やっぱり駄目だったか……
まぁいい……今日のメインはこれからだからな!
「それじゃあ二人とも、町へ行こうか」
俺の今日の予定は、町へと出かけること!
俺は気を取り直して、二人に声をかける。
そして、二人を引き連れ、町へと向かって歩き出した。
お読みいただきありがとうございました。
この話が面白いと思ったら、高評価等をしてもらえると作者が喜びます。
また次回もよろしくお願いします。