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念願のパーティ、そして初クエスト

「冗談はさておき」と、受付嬢。

「あんたここまで終始冗談しか言ってないからな!? 酔っぱらってるのか!?」

 すっかり板についたスルースキルを発揮し、受付嬢が本題に入る。

「パーティを組み立てホヤホヤの新人さん方に、うってつけのクエストがあるんです。まだそちらの掲示板にも貼り出す前のものですけど」

「おお! やっと仕事しましたね受付嬢のお姉さん! 見た目がいいだけで仕事ができないダメなタイプの大人かと思いましたよ!」

 さすがに受付嬢も、この発言には眉をピクリと動かして反応した。

「ここぞとばかりに言い返して来ましたね……。まあ構いませんが」

「それで、どんなクエストなんですか!? 薬草採取みたいなちまちましたのは嫌ですよ!」

「そこはご安心下さい、これは討伐依頼ですよ」

「来たっ! どんな相手ですか!?」

「相手はモンスター」

「モンスター来たっ!」

「この地方ならではの」

「王都土着の厄介者か!」

「ちょっと強めの」

「おおっ!」

「ゲル状の」

「ゲル状のっ!?……ゲル状の?」

 俺は嫌な予感を覚える。

 そしてそれはすぐに当たった。

「スライムです」

「スライムかぁ……」

 思いきり肩透かしを食らってしまう。

「スライムかぁ……」

「なぜ二回繰り返したのかはわかりませんが、どうですか? こちらのクエスト、受けますか?」

「パーティの雰囲気を味わうには、確かにいいのかもしれないですね」と、少女の方は一応やる気だ。

 ならばもう、俺の答えも決まっている。

「この地方ならではのちょい強めのスライムの討伐、俺達に任せて下さい!」

 それから少女の方を向き直って言った。

「よろしくな! ええっと……名前なんだっけ?」

「ラァム・エル・ストラーフ」

「ミドルネーム!?」

 ほんとにミドルネームがあるような立場の人も冒険者登録に来るのか……。

 ラァムが表情を強張らせ、怪訝な態度を取りながら聞き返す。

「……私のミドルネームがどうかしましたか?」

「あ、ああいや、これからよろしくな! ラァム!」

「今回限りとは思いますが、よろしくお願いします。ザッコさん」

「レットだっ!?」

 ここで、受付嬢が会話に割って入った。

「あのー、お取り組み中のところ申し訳ありませんが、パーティ名はどうなさいますか?」

 俺とラァムは同時に返事をする。

「そんなの適当でいいですよ! もうお姉さんが決めて下さい!」

「適当で構いません」

 受付嬢がニタリと暗黒微笑を浮かべた。

――うっ!?

 嫌な予感がしたが、口から出した言葉はもう引っ込められない。

「……かしこまりました」

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