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王都一のGOD芸人へ……

「どうでしょう」と、受付嬢が話し出す。

「ラァムさん、もしよろしければそちらの方と一時的にパーティを組み、パーティクエストがどんなものか雰囲気だけでも味わってみてはいかがですか? 彼もあなたと同じく、今日冒険者になったばかりなんですよ」

 俺はその受付嬢による想定外の提案にドキリとした。

 こ、この可愛い子くてステータスも凄いっぽい子とパーティが!? 

 しかしそんな希望はすぐに打ち砕かれる。

 少女がなんの配慮もなくズバリと言った。

「……彼の御守りですか?」

「御守りってなんだよ!? 新人冒険者同士だろ!? 上から目線の保護者面やめろ!?」

 そんな俺の突っ込みなど意に介さず、不満をありありと覗かせたままで少女が渋々頷く。

「……わかりました。ここで断れば見殺しにしたのも同然ですもんね……」

「死なねぇよザコ認定もやめろ!? 失礼だな君!?」

 俺に意見を聞くことすらなく、お構いなしに受付嬢が話を進めた。

「では二人をパーティとして登録しておきますね。彼はGランク冒険者のザッコ・ヤローです」

「レット・ハンドーだ!? ザコに引っ張られて原形ほぼ無いじゃないか!?」

 俺を無視したまま、なおも二人の間で会話は進んでいく。

「Gランク冒険者……ですか?」

 唖然とする少女に俺は説明した。

「いや、それはその人が勝手に言ってるだけで……」

 だが少女は、何か勘違いしていたようで――。

「Gなんて聞いたこともありません……。まさか――GODのG?」

「F以下という意味です」

「ですよね」

 ケラケラと笑い合う二人に俺の怒りが有頂天……じゃなくて沸々と沸き上がる。

「お前ら……バカにしやがって!? 俺はドラゴンも一発で倒せるくらいに強いんだぞ!?」

 ドラゴンという部分に少女が食い付いた。

「ドラゴンを一発でですか? なるほど、完全にヤバイ人ですね」

「まあな! ヤバイだろ?」

 強過ぎて! 

 と、俺は鼻高々になるも少女の反応がどこかおかしい。

「引きますね……」

「そ、そこまで?」

「はい。だって自信満々のガチトーンでそんな虚言を堂々と吐けるなんてドン引きに決まってるじゃないですか」

「あそっちのヤバイヤツ認定!?」

「当然です、ザコ」

「実力も確かめる前からザコ!?」

「こういう場合、吐いた嘘に反比例して弱いという方程式が成り立ちます」

「ま、まあそれはなんとなくわかるけど、俺の場合は本当なんだって!?」

「……そうですね、本物ですね。ヤバイです」

「それほどでも……」

「本物のヤバイ人ですね」

「さては褒めてないな!?」

「そこに気付く知能があったとは」

「二度目だからな!? バカにするなよ!?」

「ふふふ」と、このやり取りを眺めていた受付嬢が失笑する。

「随分と気が合うようですね。お二人ならばこの王都でも人気の芸人としてやっていけますよ。いつかエナスカに劇場を開くというお二人の夢も、叶うといいですね」

「誰が!?」と俺と少女の反論の声と言葉が揃ってしまい、お互いに驚いて顔を見合わせたのち、気まずくなって反対方向へ背けた。

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