頑固な孤児
まだ雪も降るこの街に7歳児を放置する事もできない。
昼間は温かな陽射しがさすものの、夜は冷え込みとても野宿生活は出来ないだろう。
教会の孤児院には、貴族院からの寄付もあり、衛生管理もしっかりされ、食事や清潔な寝床が保持されている。
そして意欲のある子供には学ぶ機会や職も与えられる。
しかし、ジョシュアと名乗る少年曰く……
神を崇める教会で暮らしたくない。
俺は神なんて大嫌いで、考えただけでムシズが走ると。
……いや、あなたまだ7歳ですよ?
この寒空では翌朝には凍死しちゃうのよ?
ジョシュア少年は王都で生活していたが、母親が流行り病に罹り亡くなり、家を追い出されたらしい。
髪も伸び放題のボサボサで顔も服も全身砂まみれで汚れており、身体は痩せ細っていた。
お父様は少し考え込む様子で少年を観察する。
「では、ついて来なさい」
詳しい話は屋敷で執事のオズワルト達と聞くので、馬車に乗るよう促す。
行くあてもない少年は、今度は渋々馬車に乗り込んだ。
************************
屋敷に着くと執事のオズワルドさんとメイドのマリさんが出迎える。
お父様は、まずジョシュアに食事をさせてから湯浴みさせるようにオズワルドさんへ伝える。
マリさんは私の着替えのため、一緒に部屋へ戻る。
「お疲れ様でした。お祭りは楽しめましたか?」
温かいハーブティーを入れてもらいほっとする。
「ええ、とても!」
あの少年と会うまでは!!
…あの少年、少し変わっていたけど、大丈夫かしら?
私は少し早目の夕食をお父様と取り、自室に戻る。
ジョシュアの事が気になり、夕食の際に尋ねると……ジョシュアは食事と湯浴みの後、そのまま気を失うように寝てしまったらしい。
「まだ7歳の少年だからね。明日、目が覚めたら話しをしよう。ロゼも今夜は早く寝なさい。亅
う〜ん…濃い〜1日でしたわ。
色々あったけど……
あ、マリさんには王太子殿下に会った話しだけでもしようかしら。
マリさんは、王太子殿下の話しが一番聞きたいだろうし……驚くかな?。
しばらくするとマリさんがホットミルクを運んで来てくれた。ミルクをチビチビ飲みながら、
「街では偶然、王太子殿下にお会いしたわ」
「!!」
「え……その顔……」
「……く……く……くわっ……」
「クワッ??」
どうしちゃったの?マリさん?
「お願いします!」
なに??なにか??私はナニをお願いされてるの?
「詳しく王太子殿下のお話しをして下さいませ♡」
想像以上の食いつきですわッ!!
お読み頂きましてありがとうございます!