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「妻の変化が起きて1ヶ月後に…僕はその…今までの2人なら考えられないが…妻と夜を共に過ごした。そう、寝室で…そういうことだ」
再び、中島の顔が赤くなってきた。
もちろん、数分前の怒りとは違う理由でだ。
「すると、どうだい! こんなのは一体全体どうにも信じられないが、妻は、あの1度きりの無惨で不様だった『夜の営み』のときとは、まるで別人のように優しく、ときには激しく、もちろんお嬢様育ちではあるから、あまり技術が無い部分などは、それはそれで必死に僕の要求に応えようとしている様子がまた、かわいらしくて、いじらしくてだね…」
私は大きく、ため息をついた。
どうやら中島が、私にあそこまで食い下がり呼び出したのは、このいわゆる「のろけ」というやつを聞かせるためだったようだ。
ずっと仲の悪かった妻が心を入れかえ魅力的になり、2人がとうとう本当の愛を知る。
なんと良い話だろうか。
「お前の話はまるで」
私が、その先の「のろけ」という言葉を口に出そうとしたところで、中島が右手を前に出し、手のひらで制した。
「これは『のろけ』ではない。この先の異常な事態を君に納得してもらうために、順番を変えず、ありのままの話をしているのだよ」
中島の顔は真剣だった。
私は言いかけた言葉を飲み込んだ。




