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中島が、前のめりになって言った。
そりゃあ、誰だって相性が悪い、同じ空気を吸いたくない相手が1人や2人は居るだろう。
私の場合は、それについては、これから改善されていくのだが。
「ああ、居るには居る。現段階だが」
私の答えに中島は笑顔になった。
「そうだろう、そうだろう。僕にとっては、それがまさに、あの女なのだよ。片時だって、いっしょに居たくないのだ。顔をつき合わせたくないのだ。そして、これもまた、よく出来たもので、僕が思っていることを相手側も思っているのだよ。君もそういう覚えがあるだろう?」
確かにこちらが相手を嫌っている場合、相手もこちらを嫌っているといのはよくある話だ。
私は頷いた。
「私とあの女は、そういう関係だった。かと言って、結婚している手前、それらしくは振る舞っていた。だが、2人きりになるとダメだ。これでも最初の頃は…その…何だ…祖父にもきつく言われていた…子供を…授かるために…」
「ああ、分かるよ」
中島が、しどろもどろで苦しそうにし始めたので、私は助け船を出した。
「そういうことだろ」
「そう、そういうこと…何だ…『夜の』…そう、『夜の営み』ってやつを、僕も何とか頑張ってみた」
中島は『夜の営み』という言葉を発するとき、ひどく嫌悪感をあらわにした。
「そしたらどうだ、あの女!! 全く動かない、声も出さない、さっきも言ったが、それこそ本物のマネキンみたいなんだよ!」
中島は羞恥とは違う怒りによって、顔を赤らめた。
「そして、あの人形じみた顔で『あらあなた、そんなものなの』って表情をするのさ。僕はとても我慢できなくなって、寝室から飛び出したよ!」
私は中島が落ち着くのを待った。




