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「お前は奥さんを心底、愛しているのか?」
私の問いを全く予想していなかったのか、中島は、やや狼狽した。
が、すぐに私をにらみ、強い口調で答えた。
「それは間違いない。出会った頃の彼女ではなく、今の妻のためなら何だって出来る。こうして君と話をしている間も、僕は妻の顔を見たい。抱きしめたくて、たまらない」
「誓えるか?」
「ああ、命を賭けたっていい。僕は妻を愛している」
「だが、奥さんの正体は知りたいのだろう?」
「ああ…」
中島の顔が歪んだ。
「彼女の全てを知って、受け入れたい。僕は妻の下僕…そう『愛の下僕』なのだ。もう逃げられない」
「分かった」
私は頷いた。
中島の決意は本物のようだ。
「直接、訊いてみるのが良いだろう」
「ええ!?」
中島は大きな声を出した。
「私は、お前の奥さんとは話したことはない。だが、捜せばすぐに見つかる」
「捜す?」
中島が、私の言葉を繰り返した。
私は眼を閉じた。
中島の奥さんを捜す。
見つかった。
繋がる。
「私は、中島の友人の坂本と申します。初めまして」
私は挨拶した。
「どうやら、中島が奥さんのことで、ひどく悩んでいるようでして。直接、話をしてやって欲しいのですが」
中島が怪訝な顔で私を見ている。
私は口を開いた。
「あなた、ごめんなさい。隠しごとなんて、したくなかったの…でも…本当のことを知ったら、あなたに嫌われてしまうかもって思うと…どうしても言い出せなくて…勇気を出して、お話するわね」
私の口を通じて、中島の奥さんの声が言った。
おわり
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
ホントに大感謝です。
面白く仕上がったと思います。←手前味噌(笑)




