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私は切り出した。
「別の銀河系からやって来た生命体…簡単に言うと宇宙人ということになるかな。彼らは人類からすると身体を持たない魂のような存在で、初めて地球に来て地球人を知り、ひどく驚いた」
中島の表情に戸惑いが広がった。
私はそれを無視して話を続けた。
「彼らは精神的に、とても成熟していて、とっくの昔に個人的な争いや戦争は卒業していたんだ。共生と尊重の理念だね。誰もが優しさを尊ぶ。ところが地球人はどうだ。明けても暮れても揉めごと、争いごとばかり。彼らは大いに地球人をあわれんだ。そして、地球人を助けると決めた」
中島は両眼を見開いて、私を見つめている。
「彼らは実体は持たないので、地球人の身体に入り込める。憑依と言うのが近いかな。元々の地球人の人格と共生するような形だ。そうやって、いっしょに生活を続けると、彼らの影響が地球人に現れだすのだ。争いを好まず、他者と仲良くし、いたわれる人間には、さしたる変化は起こらない。そのままで彼らの理念と近いからだ。すんなりと共生は続く。問題は思いやりがなく、他者を傷つけ、これは肉体的だけではなく、精神的なものも、もちろん含まれるが、そういう『悪』と呼ばれる心を持つ人々だが…その人間たちは宇宙生命体の優しく清らかな精神の影響を受け、『悪』の部分が和らぎ、消えていく。そして、誰からも愛される、素晴らしく、優しく、魅力のある人間に生まれ変わる。彼らは自分たちの母星から随時、地球にやって来て、地球人にランダムに憑依している。彼らの星は地球から、とんでもなく離れているが、彼らにはどんな距離も関係なく一瞬で行き来する力があるので、問題はない。こちらに来た彼らは、ほとんどは宿主の影に隠れて姿を現さないが、たまに母星に居る仲間や、すでに地球に住んでいる仲間と連絡を取り合っているのだ」
「………」
「最終的に全ての地球人に彼らの憑依が完了すれば、戦争や差別、揉めごとが完全に無くなった、素晴らしい世界が誕生するということになる。彼らの星と同じ、慈愛にあふれた世界だ」
私の話は終わった。
今度は私が、中島の反応を待つ番だった。
「それは…」
しばしの沈黙の後、中島が口を開いた。
「君の担当するSF雑誌の作品の、お話か何かなのかい?」
なるほど。
まあ、そんなものだろう。
私は彼の質問には答えず、こちらから質問した。




