7話
小倉さんは考える。
救助隊を呼ぶべきだろうか。
だが6万6千円は高すぎる。
女性のハンターを待つべきだろうか。けれど待っていれば現れるのだろうか。自分がこの森ノ宮ダンジョンに入ってから2時間弱が経つが、その間、他のハンターの姿は一度も見ていない。
そしてすぐに女性ハンターがあらわれたとして、彼女は救助に応じてくれるだろうか。もしかしたら自分と同じようにライセンスを取りたてのハンターかもしれない。
待っている間にモンスターに襲われはしないだろうか。他のハンターが来るという保証はどこにもない。それで重傷を負ったり、死んでしまったりしては何の意味もない。
決めなくてはいけない。
考えろ。
本当に命がかかっているんだ。
こんな所で死ぬわけにはいかない。
考えろ、自分。
命か、お金か、どっちなんだ。
「あ、あの!すいません!!」
小倉さんは決めた。
あのスケベ男に交渉する。
他のハンターがいつ来るかなんか、わからない。日本は安全な国だ。いくらスケベ全開のあの男であっても法律という鎖に縛られているはずなのだから。きっと大丈夫なはずだ。人を見た目で判断してはいけない。
小倉さんは美しい。
美しすぎる。
歩いているだけで男たちの視線を集めるため、小倉さんの通ったあとには口論になっているカップルも少なくない。それほど容姿は整っていながらスタイルもグラビアアイドルと遜色ないほどで、魅力がありすぎるといって過言ではない。
小倉さんという存在は法律によって縛られている男の理性を崩壊させるなどあまりにも容易いほど魅力的なのだ。
そのことに小倉さんは気付いていなかった。
このダンジョンの階層には男と小倉さんのたった二人しか存在しない。
そのことに気付いていなかった。
Gカップがどれほどに男を狂わせるのか。
気付いていない。




