表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/7

告白

 入学してから早1ヶ月。

僕はまだこの学校に慣れずにいた。


 授業内容はほぼ前の高校と同じ。

何せ高校をもう一回やり直しているのだから当たり前。

だから授業でつまずくことはない。

同じ授業の繰り返しだからつまらないぐらいだ。

と言っても授業内容に新しい発見もあるが。


 うちの学校はかなりの進学校でもあるらしい。

当然、僕らは成績の上位を狙うようにプレッシャーがかかる。

といっても僕は前の学校では成績が下位の方。

今回の中間テストでは中位がやっとだった。

担任からはこっぴどく怒られたりした。


 僕の成績が伸びなかったのには訳が有る。

それは僕が女子に免疫がないことだ。

そんな僕がある日突然性転換した。

しかもお嬢様学校と知られるこの学校への入学。

緊張しない日々はなかった。

とにかく僕はヘタレだ。

(クラスメートの)女の子に声をかけられてもよう喋れない。

そうこうしているうちに僕に声をかけてくれる女の子は2人ぐらいになっていた。


 しかし、両親はたくましい。

見た目女子高生なんだけど中身は大分年がいっている。

それでいて僕のクラスメート。

それなのに普通にクラスに溶け込んでいる。

そういえば父親(女)が

「いい、私たちは普通の人たちとは違う。

防御力は最高だしね。

でもその分攻撃力は最低。

そこら辺の女の子よりも弱いと思うわ。

そして知っての通り私たちは地球人じゃない。

と言っても何百年も前に居着いているけどね。

そして私たちにはポリシーがある。

地球人の道理を決して越えない。

私たちは地球人と同じように過ごさなければならない。

生き方が特殊なだけ。

だから性別が変われども普通に生活をしなければならない。

いいじゃない、普通の人間は性別を変えることが出来ないから。

だから、異性の世界を知ることは普通出来ない経験。

しばらく性別が固定されるんだから充分女の世界を楽しみなさい。

私たちも久しぶりの女子高生生活を楽しむから」

ちなみに僕の両親は2人とも女性です。


 ところで今日、とんでもないことが起きました。

僕の下駄箱に手紙が入っていたのです。

それも文面からして明らかにラブレター。

僕が男時代、一度も貰ったことのないラブレター。

めちゃくちゃドキドキする。

もちろん誰にも言ってません。

(両親にも)


 ていうか話は変わりますが女子寮が実家になっているのが玉にきず

女子寮内での僕の生活は前と全然変わってません。

その分、学校内がとても刺激的です。

あ、言い忘れていたけど制服にも全然慣れてないから。

それどころか変えると両親の着せかえ人形みたいになっていて落ち着かないぐらいですから。


 今日は両親には帰りが遅くなることを伝えた。

なぜか両親は何かを察したようでニヤニヤしながら「遅くならないように」と2人仲良く声を合わせた。


 僕はラブレターに書いてあった校舎裏へと向かった。

校舎裏には伝説のカップルの木があるのだそう。

クラスメートの女子たちがそう言っているのを聞いた。

ここは女子校だと言うことは深く考えないようにした。

何せ僕は今女子なんだから。

校舎裏に向かってみると伝説の木とおぼしき場所に女の子が立っていた。

よく見ると後ろの席の女の子だ。


 僕がその女の子に駆け寄るとその女の子はいきなり

「私、渡船わたふね 可澄かすみと申します。

女の子同士で変かも知れませんけど付き合ってください」

と顔を赤らめながら僕に告白してきた。

僕も照れながら二つ返事で受け入れた。


 人生初の彼女get。

めちゃくちゃ内心では喜んだけどそれを彼女に悟られないように僕はクールに振る舞った。

彼女は

「名字だとよそよそしいから名前で呼ぶね。

ところでしおんは部活をやっているみたいですけどどんな部活をやっているの?

私は帰宅部だから部活が終わるまで待っていたいんだけど」


 僕はこれが彼女なのかと噛みしめていた。

そんな僕の答えを顔を覗き込みながら聞いてくる彼女がまたカワイイ。

僕は

「一応「女性文化研究会」って所に入っているよ。

と言ってもたまにしか顔を出さないけど」

彼女は

「すご〜い。

女の子の憧れの部活じゃないですか。

そこに入れるなんてめちゃくちゃ凄い」

と言ってくれた。


 しかし、なぜか彼女の顔がこわばっているように見えた。

そして彼女が

「あ〜、なんだ、同類か。

告白して損した」

僕は一瞬耳を疑った。

そしてみるみるうちに女の子らしい仕草がなくなってきた。

彼女は

「あ〜、ブリッ娘ぶってたってしゃぁないから言うけど」

と切り出した。

「俺は君と同じ仲間。

つまり元男」

僕が愕然としていると

「君がそうだと言うことはなんとなく疑っていたんだけどね。

女の子に慣れていない雰囲気とか。

でもそれはただの人見知りだと思っていた。

この学校はそういう娘が多いって言ってもたかが知れてる。

まさか君も同類だとは夢にも思っていなかったんだけどね」

彼女は続けて

「なぜ俺がクラスで無口キャラを演じているか分かる?

ボロが出ないか心配だからさ。

「女性文化研究会」にも顔を出すように言われているけどなんとなく行く気も無かった。

別に同類と会うより普通の女の子と仲良くなりたかったからね。

でも無口キャラって現実ではぼっちの代表みたいなもの。

俺に声をかけてくる人は誰もいなかった。

でも君の表情からなんとなく俺に惚れていると分かった。

俺も君の顔が好みだったし。

この際、付き合えばぼっちじゃなくなると思ったんだ。

でもまさか同類だったとは」

彼女は嘆息していた。


 今日の出来事はまるでジェットコースターのような感情の1日だった。

彼女は別れ際に

「あ、言っておくけど正体が分かったからって告白はなくならないから。

君の表情を見て分かったよ。

俺の正体が分かってからも俺に惚れていると言うことを。

明日から俺たちは恋人同士。

仲良く付き合おう。

但し、俺はクラスメートの前ではブリッ娘ぶるから。

君の前だけ男ぶる。

だって俺は女の子が好きな男だから。

心の中ではいつも男。

だから絶対に男に戻るなよ」

と一方的に言ってきた。


 確かに僕は彼女に惚れている。

正体が分かったからと言って冷めてはいない。

それを彼女が見透かしているようだった。

でもこのままでは男に戻れない。

ていうか将来的には男と付き合わなければならない。

そう思うとゾッとしてきた。


 とりあえず将来のことは後回しにして今を楽しもうと思う。

何せ彼女が出来たのは生まれて初めてなのだから。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=148259626&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ