プロローグ〜卒業式(後編)〜
僕は思わず
「男子の部屋になんで女子が2人もいるんだ!!」
と叫んだ。
なぜなら朝起きたら僕の部屋に女子2人が談笑していたから。
それでも2人はキョトンとしていた。
1人の女子(委員長)が
「何寝ぼけているの?
あなた女の子でしょ」
と答えてきた。
僕の部屋にいるのはよく見るとクラスの委員長とクラスのアイドルの女の子たちだ。
なぜ彼女たち2人が僕の部屋にいるのか理解できなかった。
そういえば「あなた女の子でしょ」って言っていたっけ。
どういう意味だ。
そう思い僕は自分の体を見た。
ん!?
胸に膨らみがある?
股間には大事なものが無い。
「え!?
僕、女の子になってる」
思わず叫んだ。
委員長は
「あなた、本当にどうしたの?
女の子になっているも何もあなた始めから女の子でしょ。
昨日は卒業祝いのパジャマパーティ。
女子3人で楽しく祝いましょうって言っていたじゃ無い。
昨日の記憶も無いの?
しおん、本当にどうかしちゃったの?」
僕は
「え!?
しおんって誰?」
と聞いた。
委員長は
「あなた、本当に大丈夫?
しおんはあなたの名前でしょう。
全くクラスメートの仲良し3人で卒業を祝っていたのに。
何かの冗談?」
しおんって誰だ?
僕は思った。
まず、考えを整理しよう。
ここにいるのはクラスのアイドルだった奥地 美令。
ファンクラブも存在する学校一の美人さんだ。
そして、委員長こと尾花 玖雲。
いつもクールな雰囲気で女子にモテる眼鏡女子と言ったところだ。
意外にも男子にも人気があったりする。
この2人はいつも一緒だ。
そしてその様子が女子にとっては憧れの存在なのだそう。
何か近寄りがたい雰囲気を持っている。
僕はどこかの女のことからだが入れ替わってしまったのか。
でも、僕のクラスメートにしおんって呼ばれていた生徒はいない。
それどころかこの2人、他の女子と連んでいるところを見たことが無い。
一体どういった状況なのか考えあぐねていると誰かの笑い声が聞こえてきた。
尾花さんだ。
彼女は委員長を肘で小突きながら
「悪ふざけは止めなさいよ。
彼女困っているじゃない。
いい加減本当のことを話なさいよ」
と言った。
委員長は
「ごめんね。
こんなに驚くとは思わなくてね。
これドッキリなんだ」
何だ、ドッキリなんだ。
って納得できるか。
僕の体は確かに変わっているのだ。
性転換ってドッキリの範疇じゃ無いだろう。
委員長は真面目な顔で話し始めた。
「え〜と、どこから話し始めようかしら。
まず話しておかなければならないのは私たちはあなたの両親なの」
「!?」
何を言っているんだ、彼女は。
そういえば父さんや母さんは一体何処に。
そう思っていると委員長は
「私が父親で隣の彼女が母親ね。
冗談だと思っているでしょう」
と言って彼女たちは体を変化させた。
確かにその姿は父親と母親だ。
しばらくして元の姿に戻った委員長は話を続けた。
「今までだましててごめんね。
これが本当の姿なの」
と話した。
僕は
「これが本当の姿って。
女同士じゃ子供は出来ないでしょ。
一体僕は誰の子なの」
と聞いた。
委員長は
「正真正銘私たちの子供。
これにはいろいろと説明しなくちゃいけないんだけど」
と彼女は答えた。
もう1人の女の子が続けて
「私たちは人間じゃ無いの。
わかりやすく言えば宇宙人。
って言っても今から300〜400年ぐらい前に地球に来て居着いた種族だけどね。
私たちは人間とは違った性質を持つの。
それはいろいろとあるのだけどここでは置いといて一番大きいのが性別を変えられること。
だから女同士でも子供を産むことは可能。
私たちの場合は彼女(委員長)が性転換して子作りをしたのだけどね」
僕はあまりの告白にビックリしていた。
驚愕と言うべきか。
委員長は続けて
「私たち種族は生まれてから18年間性別が固定されるの。
そして18年が過ぎた後また18年間別の性別に固定される。
あなたが男の子として生まれてきて今女の子に性転換しているように。
その後は自由に性別を変えられるのだけどね。
ちなみに私たちは元の性に戻っているのだけど。
それであなたは今度は女の子として18年間過ごさなければならない。
また小学生からは酷だからこの4月から女子高生になってもらう。
もちろん私たちもあなたのそばにいて今まで通りフォローするから安心してね」
僕はあまりの出来事に整理が付かなかった。
この4月から女子高生?
何を言っているんだ。
高校を卒業したばっかなのに。
委員長は
「突然事で整理が付かないと思うけど頑張ってね。
それにしてもあなたの男子高校生時代苦労したんだから。
親子だってバレないようにわざと突き放した態度を取って。
それでもあなたは母さんに愛の告白、本当にビックリしたわ」
実の息子に愛の告白されちゃ、確かに泣きたくなるわな。
その時のことを思って少し恥ずかしくなった。
この後、両親の証拠として僕が生まれてから今日までの出来事を一杯語ってくれた。
本当に全く気づかなかった。
もちろん、気づかないようにしていたのだろうけど見た目女子高生の両親ってどうなの。
しかも父親が実は女だったなんて。
それからしばらく僕は女子として生活するための訓練に入った。
まだ頭の中が成立か無いけど。
僕が入学することになったのはお嬢様学校として有名な女子校。
今年の4月、僕はそこへと入学する。
なぜか両親も一緒に入学。
同級生として僕をフォローするらしい。
ちなみに僕の新しい名前は折井 詩温。
両親それぞれと僕の名字が違うのは家族だとバレないため。
これから僕は女子として生活しなければならない。
そう思うとこの先どうなるのかかなり不安だ
とにかく今は目の前の課題を一生懸命クリアしようと思う。