プロローグ〜卒業式(前編)〜
今日は卒業式。
僕は3年間の高校生活を回想していた。
そういえばいろいろなことがあったっけ。
高校での初めての入学式。
僕が通っていた高校は共学でその日、初めてクラスが決まった。
(当たり前だが)
そのクラスはクラス替えをすることも無く3年間同じクラスということになった。
うちのクラスは他のクラスと違って団結力があった
委員長が凄かったのだ。
委員長はいわゆる体育会系の女の子でクラスを取り仕切るのが上手かった。
僕も何度かお世話になったことがあります。
それでいて成績が学年1位。
勉強もかなりのもの。
見た目はガリ勉女子みたいに眼鏡をかけています。
でもよく見ると美人だったり。
意外とモテたりしています。(同性に)
男子にも人気がありましたがどちらかというと恋愛対象外と言ったところか。
結構ズケズケ言うのが玉に瑕。
そのせいで男子からは疎まれているような。
でも嫌われている訳では無くクラスの中心にいる人です。
彼女は男子、女子分け隔て無く接することが出来る人だと思います。
あまりに分け隔て無く接するので男子からすると付き合いたいと言うより友達になりたいタイプの女子だと思います。
ただ、彼女は僕に対してだけ当たりがきつかった。
男友達から
「委員長に対して何かやったのか?」
と聞かれるほど。
僕は心当たりは全くない。
なぜか僕は男子の中で唯一嫌われていたよう。
今でも理由を聞きたいが卒業してしまうから関係ないか。
それともう1人、僕のクラスでは目立つ存在があった。
クラスでアイドル的存在だった女の子だ。
この女の子は間違いなく学校で一番の美人だった。
何せファンクラブや親衛隊がいたほど。
僕はこの学校に入って初めてそう言う存在に出会った。
しかも僕と同じクラスだ。
かなりドキドキする。
クラスの男子はほぼ全員、彼女に恋していると言っても過言では無かった。
もちろん、僕も含めて。
そういえば3年の3学期、つまり卒業間近の頃僕はある決断をした。
それは彼女に告白することだ。
僕はテンプレながら放課後、校舎裏に彼女を呼び出した。
我ながらテンプレ過ぎると思ったのだが。
そうしたら彼女が何かを察したのか放課(休み時間)ごとに校舎裏では嫌だからと場所を変えてくる。
最初は屋上だったか。
彼女の提案は放課(休み時間)ごとに変わってくる。
結局、最上階の使われていない教室で告白することになった。
会ってくれる訳だから僕と一緒にいることは苦痛では無いらしい。
そして、放課後僕は一世一代の告白をした。
いや、告白をするつもりだった。
僕が空き教室に入ると彼女は先に着いていた。
でもその時点でおかしいのだ。
僕は授業が終わると誰よりも早く教室を出た。
そして最上階の空き教室に全速力で向かった。
その時、彼女は間違いなくまだ自分の教室にいたはずだ。
それは自分が確認しているのだから間違いない。
それなのに僕よりも早くその場所に彼女は着いていたのだ。
そして僕が空き教室に入ると自動的にドアが閉まった。
しかもご丁寧に鍵まで自動的に閉まったのだ。
僕が戸惑っていると彼女は
「ごめんなさいね。
あなたがやろうとしていることは受け入れられないの。
恐らく愛の告白だろうけど。
あなたからの愛の告白は訳あって受け入れられないの。
別にあなたのことが嫌いな訳じゃ無いの。
本当にごめんなさいね」
と泣きながら謝ってきた。
するとどこからともなく委員長が現れた。
あれ、教室には鍵が閉まっていたはず。
隠れていた様子も無いし一体どこからと僕が思っていると委員長は
「あぁ、やっぱりこういうことだったのね。
人払いの呪文を最上階全体に敷いておいて良かったわ」
何か訳の分からないことを言っている。
委員長は実は厨二?と僕は疑問に思っていた。
委員長は
「いい、これからこの娘には一切近づかないこと。
近づいたら私が許さないから。
絶対に近づかないで!!
それと今回の話は誰にも口外しないこと!!
もちろん私たちも話さないから
絶対ね!!」
とかなりの表情で睨んで言ってきた。
僕はこのときの委員長の表情を一生忘れないだろう。
かなり怖かったから。
でも、不思議なことがある。
彼女たちは別に僕を嫌っていなかったこと。
それどころか僕のフォローをかなりしていたとクラスメイトは言っていた。
それも男子、女子問わずだ。
彼女たちはクラスのみんなに優しかったのだが聞くところによると僕を一番気にかけていたようだ。
僕にはそんな素振りを見せなかったどころかかなり当たりがきつかったが。
とにかく高校3年間、いろいろなことがあった。
もう彼女たちと会うこともないだろう。
しかし、彼女たちの矛盾した僕との関係は何だったのか、今となっては謎である。
僕は家路に着いた。
そういえばこの後の進路はどうなるのだろう。
両親は家業を継げば良いと言っていたが僕は家業の実態を知らない。
ていうか両親が働いているところを見たことが無い。
でも収入はあるようだ。
家業の内容は明日教えてくれるらしい。
どんな内容なのかは明日の楽しみ、そう思い僕は床に就いた。
次の日の朝、異変が起きた。
朝、ベッドの中で女の子の声が聞こえてきた。
僕は最初夢の中の話だと思っていた。
でも違った。
目が覚めると僕の部屋に委員長とクラスのアイドルが談笑していたのだ。
何で僕の部屋に女の子が2人もいるんだと思い思わず
「男子の部屋になんで女子が2人もいるんだ!!」
と叫んだ。
その時、2人はキョトンとした顔をしていた。