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第八十七話 そこで見たもの・・

濃い魔力の流れに惹きつけられる様に扉を開く。

なんて事はない普通の部屋、誰か居る気配も無い、しかし俺が感じた異変の原因は確かに存在した。

机の引き出しの奥に隠す様に置かれていた一冊の本、手にとってみると驚愕させられた。

そこから溢れ出る魔力の異常さが今の俺には良く分かる。それは肌をすり抜け身体の内側まで到達し俺の中の魔力と共鳴し合う。悪い気分はしない、寧ろ心地良さまで感じる。

この魔導書を読めばそれは大層な魔法が覚えられそうだが今はそんな事どうでも良い、肝心なのは今これが誰の所有物かと言う事。


「おや、ここで何を?」


「すいませんちょっと迷ってしまいまして、ひょっとしてここは・・・」


「ええ、私の部屋です。こんな老人の部屋、特に面白い物などありますまい、もう直ぐ食事も出来上がりますしまいりましょう」


「分かりました、でもその前に一つだけ良いですか?」


「はい何でしょう?」


「これは何処で見つけられたんです?」


手にした魔導書を見せると町長は表情を一変させる。


「何故それを?」


「ちょっと通りかかったら得体の知れない空気を感じまして、もしや魔族が潜んでいるのかと思って失礼とは分かりつつも一応確認の為入らせて貰ったら見つけてしまって・・」


それっぽい嘘で誤魔化すと町長も「そうですか」と納得してそれ以上は追求してこない。


「それが何なのか知っておられるのですか?」


「詳しくは知りませんがかなり希少な魔導書ということくらいは」


「ほほう、成る程」


初めて聞く様な反応を見せる。


「いやお恥ずかしい話ですがそれが何なのか私も知らずに所有しておりまして、まさかそんな価値のある物だとは!」


「とても珍しいですよ! だから知りたいんです、これをどうやって手に入れられたのか。取り扱っている店があるなら是非とも伺いたいと思って」


「それは」と少し答えに詰まりながらも教えてくれた。


「これは昔、私が若い頃に旅の途中で見つけた物でどの店でも取り扱っておりません」


「そうなんですね、すいません勝手に入って図々しい事を聞いてしまって」


「いえいえ、警戒して下さっての事、どうか気になさらず」


町長の心の広さに触れ俺も考えを改めた。こそこそ調べ回るのはもうやめだ。

美味しそうな料理の香りが漂っているしまずは御馳走になって、後はどうなるかは出たとこ勝負といったところだろう。


食事の前、俺と同じく不信感を残していたアレウスと二人で話す時間を作り先程のあっさり見つかった雑な調査の結果を話しておいた。




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