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第八十話 未体験の領域へ

ただひたすら西へと歩く。

ぶっ通しで歩き続け朝日が登り始めた頃に目的の町バラックへと辿り着く。

早朝だからか他の町々如く弾圧されているからなのか人は少ない。


「すいませんちょっといいですか?」


とてもフレンドリーに近くのおばさんに話しかけたのだが何故だかキッと睨みつけられ「なんだい?」ととても機嫌悪そうにされてしまう。

全く身に覚えのない俺としてはなんだこの人は!と若干憤るも話しかけたのはこっちなので無理矢理笑顔を作って質問。


「この町に魔法道具が作れる人がいると聞いたのですけど知ってますか?」


おばさんの目はさらにキツくなる。

もう何が何だか分かりゃしない、そんなふざけた質問してます俺?


「居ないよそんな子、無駄足だったね」


嫌みたらしく教えてくれたのだがさすがにあんな態度の人の話は信用出来ず他をあたる事にした。

だがしかし、誰も彼も素っ気ない態度で居ないとのこと。

ここまでくれば本当なのかも知れない、何処か別の場所に移動してしまったのだろう。

もう一つの目的のオヤジの娘探しも難航、それなりに苦労してここまで来ただけあって落胆も大きい。

一人広場の隅で腰を落としこれからのことを考え肩をがっくりと落としていると「あら、あなた一人?」と問いかけてくる声が背中越しに聞こえて振り返ろうか知らんぷりを決め込もうかと悩んで後者を選んだ結果その人物は「もう、無視しないでよ。あなたに話しかけてるんだけど」と肩に手を掛けられもはや逃走は不可避。


「・・えっ!? 僕ですか?」


「そう、あなた」


「何か御用でしょうか?」


「あなた色々と話を聞き回ってるみたいじゃない、でも誰にも相手にしてもらえない」


「ええ、初対面のはずなのに何故か嫌われてるみたいで・・・」


「それでも健気に頑張るところに私心打たれちゃったの」


これはもしや何か情報を持ってるもしくは手伝ってくれるとかだろうか?

ならば助かると言えば助かるのだが・・・。


「だからあなた私のお店に来なさい、初回はサービスしてあげる」


「あ〜でも僕やる事があるんで遠慮しときます」


嘘は言っていない、変なお店で遊んでいる時間はないのだ。

まあ時間があってもなんかいかがわしそうなお店だし行くつもりは全くないのだがね。

そそくさと立ち去ろうとしたのだがその人が言う。


「人を探してるんでしょ? 私知ってるのよ」


・・・ああ神よ、俺は一体どうすれば?

情報を得る絶好の機会、しかし良いのか?

何か大事なものを失うような気がする。


「この町の人余所者には今すごく敏感になってるからどこへ行っても誰も何も話してなんてくれないかもね」


畜生めっ! 選択肢なんて無いじゃないか。

とても不本意だがこの甘い誘惑に乗るしかないじゃないか!


「分かりましたお邪魔させて戴きますがその前に参考までに聞かせていただきたいのですが一体どういったお店をやられているんでしょう?」


「お酒を提供するお店だけど」


「自分お酒はちょっと・・・」


世界が違うとは言え未成年だしそういうのはやっぱりいけないと思うんだよね。


「ああ別に構わないわよ」


あっさりと言うがそれなら客としては不向きなのでは?


「私が目を付けたのはあなたの身体だもの」


足先から頭まで舐め回すかのような視線が過ぎる。


「じゃあ行きましょうか」


腕をがっちり掴まれて何処かへと連れていかれようとしていた。

逃げないと、頭が警鐘を鳴らす。しかし情報は欲しい。

結局俺はそのまま連れていかれる方を選んだ。

取り敢えず情報だけ聞き出して逃亡を図れば良いか、少々乱暴でも別に構わないだろう。

この人どう見たって男だし。



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