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第三十九話 選択肢など存在しない

「良いだろう、クラリスの旅を認めよう。いずれは必要な事、いつまでも危ないからと閉じ込めておくわけにもいかんからな。貴様が選ばれしものならばもう何も言うまい好きにせよ」


まさかの親公認!

これはもう据え膳食わねばなんとやら、このまま流れに身を任せてみようかな・・・・・なんてやっぱり無理!

少し前まで普通の学生だったと言うのにいきなり大事な娘さんを任せられても安定した職についてるわけでもないし『この甲斐性なし!』と出て行かれる未来が見える。


「あの〜何だか知らぬ間に話が進んでいるようですけどこちらの意見も聞いて━━━━━━」


「━━━━何か異論があるとでも?」


「いえありません! 喜んでお受けします!」


だからその掌の上に浮かぶ黒く禍々しい命を刈り取りそうな何かをお納め下さい! という願いから出した答えに納得したオヤジはボシュっとそのよく分からない何かを握り潰す。


「そうか良かった! 不満でも垂れようものならうっかりやってしまいそうだったわ!」


このオヤジ関連のイベントにはそこらかしこに死亡フラグが用意されている。

如何にかして一刻も早くここを抜け出さねばいつかうっかりバットエンドに直行してしまう。

もうどうでもいい、とにかく話を合わせていよう。


「まさか不満なんてあるはずありませんよ、光栄すぎて涙が出て来ます」


もちろん嘘。

だが違う理由での涙は出そうになったがね。


「そうだろう、そうだろう! 人のような見た目ながら話が分かる奴で助かった」


こうして俺は半ば強制される形で姫様との旅に出ることになった。









「さあ出発です!」


唐突ですが早くも旅の始まりです。

姫様も俺もどちらもとにかく早く出て行きたいと意気投合した結果。

長旅に際して用意された物は思いの外少なく指摘してみると道中で調達するとの事、おかげでギリギリ俺が全部持ち運べる程度に収まった、全部俺が一人で。

姫様の荷物持ちに不満があるわけじゃない、ただ納得いかないのは女騎士の荷物まで持たされていることだ。

しれっと俺に預けやがる。

女騎士曰く有事の際いち早く姫を守る為に身軽にしておく必要があるとのこと。

当然疑問が浮かぶ、そこらの野盗なんぞに遅れをとるくせにどの口が言うか? 俺含めあっさり捕まったくせに何が守るだと容赦無く言ってやると女騎士は涼しい顔して言う。


「あれはわざと捕まったのだ。姫様が絶対的窮地に陥った時華麗に救い出す、そして危機的状況を乗り越えた二人は結ばれる・・・・その筈だったのに貴様という異物が混入して全て台無しにした。あんな奴ら殺そうと思えば一瞬だ」


・・・・・悪だ。こいつ騎士の風上にも置けない悪だ!

己が欲望のために主人を危険に晒すとはなんて奴だ。


「因みに貴様も一瞬で殺せるぞ。我が魔法で脳天を貫いて後は何処かからの襲撃として仕舞えば私に疑いは掛からない。姫様を言いくるめる事など造作も無い、あの方は純粋だからな。そこが数ある魅力の一つでもあるのだが、とにかく貴様は死にたくなければ荷物を運ぶ事だ、役に立つうちは生かしておいてやるが姫様に余計な手を出そうものなら分かるな?」


こいつとんだクソ野郎じゃねえか!

色々と危ない奴しか周りにいない、こんな中で姫様だけは立派に育ったようで良かった良かった。






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