第三十二話 テンプレは突然に!
一度仕切り直しという事で酒場を出る。
若干一名話どころじゃない奴がいるからな。
取り敢えず一度解散して夕方また集まるという事で各々おもいおもいの場所に行く。
フレイヤは一人ふらりと何処かに消えて、ティオにはリアのお守りという事で行動を共にしてもらう。
そして余った俺はルナと宿屋までの道を一緒に歩く。
「なんでついて来るの?」
ストーカーでも見るような目でそんな事を聞いてくる。
「まあ、ほら、俺にも少しは非があるかもだし・・」
「そう思うんだったら寧ろ離れてくれる方が助かるんだけど、あんたの呪・・・じゃなくて加護は神聖過ぎて強力だから私のような人間には畏れ多いから・・・」
呪いと言いかけてすぐさま言い換える。
さすがに学習したようだ。
でもこれじゃあまるでお金持ちのお坊ちゃんみたいじゃないか? 酷いことする奴には俺のバックにいる存在が黙っちゃいないぜみたいな感じになって気を遣われてるみたいじゃん。
俺は仲間とは気兼ねなく接したいんだ! こんなの望んじゃいない!
「やめてくれ! 俺は俺だ! 加護とか呪いだとかでそんな風に態度変えられたら傷付くぜ。俺たち仲間だろ、その間に必要なのは言いたいことも言えない気遣いじゃなくてなんでも話し合える信頼だろ、違うか!」
らしくないな。
熱くなっちまった。
仲間なんて言葉俺が口にする日がくるとはな、なんだか気恥ずかしい。
だってさ友達もいなかった奴にいきなり仲間だぞ。
でもさ、だからこそ真剣になれるんだと思う、こういう関係の大切さを初めて知ったからさ。
「はいはいじゃあ言わせてもらうわね」
「おう!」
「迷惑だからついて来んな」
「・・・」
あれ〜想像してたのと違う。
固まる俺をよそにルナはずんずん先に行ってしまう。
一人取り残された俺に待っていたのは悲しげな背中を押すように吹いた冷たい風だけだった・・・。
♢
ところ転じて街の外。
雄大な景色を眺めて傷心を癒す俺の視界になんとも豪華な馬車が目に入る。
それはこれまで見てきたような一般Peopleが使うようなものじゃなくとんでもなく豪華だった。
白馬二頭が引いて人が乗り込む部分もとにかく凄い。
「もしかしてお姫様が乗ってたりして、そんでもってこの後野盗に襲われるんですね」
なーんて事を冗談混じりで言ってみると本当にそうなったので驚きだ。
如何にもな奴数人が取り囲んで中から引きずり出されるようにそれはそれは綺麗な女性が姿を現した。
端正な顔に豪華な御召し物、只者じゃない。
一瞬目を奪われてすぐに決意した、助けようと!
別に綺麗だからそう思ったわけじゃ無いんだからね! 勘違いしないでよ!
疾走する俺はまるで風のよう。
すぐさま辿り着き言ってやる。
「お前ら何してる!」
すると不細工な悪人ヅラをのぞかせて、
「なんだお前は?」
なんて聞いてくるもんだから言ってやったさ。
「お前ら如きに名乗る名はねぇよ」
一度は言ってみたい台詞をここぞとばかりに言ってやりましたとも。
「ほう、良い度胸じゃねぇか小僧。勇者気取りで調子こいてると痛い目見るぞ?」
どすの利いた声で脅してくる。
相手は四人、対する俺は一人。
圧倒的不利な状況だ。
でもどうにかなる、なぜだか俺にはそんな自信があった。
主人公補正、そんな言葉を聞いたことはないだろうか?
それはまさに俺のようなやつに働く力なのだ。
「良いぜ来いよ! 集団でなら勝てると思ってるその幻想、俺がぶち壊してやるよ!」
戦いの幕が上がる。




