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第三十一話 神の怒りがもたらす災厄

「それで、あんたのはどんなの?」


ついにというかとうとう俺の番が回って来る。

恥ずかしげもなくテーブルの上に置いてやったさ手に入れたぴかぴかの泥団子を。


「ちょっ汚いでしょ! そんなのテーブルに置かないで」


ルナに手で払われて転がっていく。

無駄な強度のおかげでテーブルから落ちても割れないそれがお宝だと知っている俺とティオは転がり続ける泥団子を虚しさだけを込めた瞳で見守り続けた。


「で、早く出しなさいよ」


たった今自分が汚いと行って乱暴に払ったものがそうだとは夢にも思わない様子。

まあ当然だよね、前の二つに比べると明らかに見劣りする。

ダイヤモンドの後にゴキブリを出すようなものだ。


「あれなんだけど」


一応指差して見るけどルナは「ふざけないで」と言って信じようとしない。


「事実じゃよ! こやつのは外れじゃ(笑笑)」


腹を抱えてゲラゲラと笑うリアに今一度天罰が下れと念じながらもリアの言うことは間違っていない。

これはまさに大外れなのだ。


「嘘・・・」


途端にルナも俺から顔を背けた。

小刻みに揺れる肩が今どういう状況か表している。

そんなルナに言うことがあるとすればこれだ『申し訳ないと思って笑っているのを隠すならちゃんと隠しなさい』それならまだテーブルをバンバン叩いて笑ってるリアの方が清々しいわ!


床に転がったゴミを回収して不貞腐れたようにただ水を飲み干した。


「日頃の行いが出たわね」


「何を言う、俺は日頃コツコツと積んだ徳によって神に目をつけられた男だぞ」


嘘は言ってない嘘は。

ここにいるのがまさに証拠、たとえいきなり死にそうな場所に放り出されたとしても。


「目をつけられてそれならきっとあんたのは神じゃなくて邪神なんじゃない?」


そう言って高らかに笑うルナに神の奇跡が舞い降りた。

今まさにまな板の上で捌かれようとしている一匹の魚が突然息を吹き返し命の煌めきを見せる、それに驚いた料理人が手放した包丁が宙を舞い厳ついおっさんの近くに落ちると響くおっさんの女性のような悲鳴に誰もが目を奪われた事によって前をしっかり確認せずに歩く男がウエイトレスと衝突、そのウエイトレスが運んでいたのは誰が食べるんだと言うような悪臭を放つもの、それがルナの頭から降り注いだ。

雨にでも打たれているかのようにルナは心を無にしていた。


震えたよ俺は。

これが神罰じゃなきゃなんだって言うんだ!

こんなタイミングよく起きるなんてそれは神がなんらかの事象に干渉してるに決まってる。

っていうか臭っ何コレ!?


「やっぱりあんた取り憑かれてるわよ・・・」


力なくそう呟いたルナの頭上からは何故だか入り込んだ鳥の姿が。

まさかと思ったさ、酒場に偶然入り込んだ鳥がルナの真上にいてそこから雫みたいのが落ちていくんだぜ。

俺が何か言う暇もなく落下してビチャっとね頭に直撃。


さすがに哀れだったよ。





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