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第一話 異世界の現実

飛びかかってきた猛獣、体躯こそ大きめな犬くらいだが鋭利な爪と大きく広げられた口はまるでライオンの如し。

夜の闇の中でも鋭く光る二つの真っ赤な眼が赤き閃光となって俺に迫って来る。

もう駄目だ。

転移してまだ数時間、早くも旅の終わりが訪れようとしている。


いやいや、死ねるかよ。


たかが犬っころ一匹、人間様がどうにか出来ないわけがない!


「うおおぉぉー!!」


右手で拳を作り飛んできた犬の顔面に全力の一撃を放つ意気込みで腕を前に突き出したのだが動物って素早い、もう目の前あたりに迫っていて結局その手は守りに使う事となる。

ガジガジと右手の齧り付く、幸い高校指定の制服を着込んでいたおかげで牙はまだ肌まで到達していないがそれも時間の問題だろう。

振り払おうとしても食い付く力が強くて全然離れない、残った左手でポコスカ殴ってみるが動じない。

このままでは右手が持っていかれる、そんな恐怖から俺は叫ぶ。


「誰か助けてっ!!」


こんな時間こんな場所に人がいるはずないのに叫ばずにはいられない、誰かによる救い、それだけが今の俺の生きる希望。


その願いは届いた。


ビュンと風を切る音、直後俺の手に齧り付いた犬みたいなのはそこに頭だけ残して弾けた、恐ろしい力を胴体に受け木っ端微塵にされたのだ。

びちゃりと血と臓物が舞い散って木やら地面やら俺やらにへばり付く。齧り付いていた犬の頭部がポロっと落ちてコロコロと転がって行った先にいたのは助け、ではなく抵抗する意思すら奪う更なる絶望。

体長三メートルほどはあろうかという熊の様な何か。逃げるのは不可能と諦めその場で倒れ込み死んだふり、もうこれ以外希望は無い。

しかし震えが止まらない、ぶるぶる震える新鮮な獲物、見逃すはずなかった。

熊の息遣いを顔に感じる、口を広げて食べようとしている。

誰か助けて、今度は心の中で叫んだ。


すると祈りは通じた。



突如、木々の隙間から影が現れ、今にも俺を美味しく頂こうとしていた熊の頭を一瞬で斬り落とした。

大量に血が溢れる、グロ耐性はありますけど実際見ると・・・・・かなり気持ち悪い。

吐き気を催し口を抑え必死に堪える。

そんな俺とは対照的にそれをやった人は何事もなかったかのように剣の血を払い、こちらを振り返ると「そこのあんた、大丈夫?」と一言、登ってくる胃の内容物をどうにか押し留め声を絞り出す。


「あ・・・・・はい・・・・ありがとうございます・・・」


俺の危機を救ってくれたその人は女の子、それも俺と同じくらいの年齢だ。

いかにも異世界な銀色の髪を肩あたりまで伸ばしたきれいで凛々しい子。


「怪我は?」


「・・・大丈夫です」


そう返事を返した直後、吐いた。

原因は多くの血を見た所為でもあるがそれ以上に死にかけたと言う現実が今になって急激に恐怖を運んできたのだ。

彼女がいなければ喰われて死んでいた、死が背中まで迫っていた。

震えを止められずにいると「はい」と彼女が何かを手渡してきた。


「水、飲んだら少しは楽になる」


「・・・あ、ありがとうございます」


「どういたしまして」とその子はこちらに背を向け先ほど倒した魔物に近づいていき、ナイフを取り出しなにやら必死に手を動かしていた。


何をしているのか気になった俺はそんな彼女に近づいて、また吐き気に襲われる。


「馬鹿っ! じっとしてなさい」


彼女はたった今倒した獣を解体していたのだ。

皮を剥ぎ取り肉を削ぐ、さらに牙や爪まで丁寧に。


「せっかく倒したんだから取れるものは取っておかないと」


手を真っ赤に染め上げ熱心に作業する様子をさすがに見ていられず背中を向ける。

それからしばらくして、俺の吐き気も完全に治ったくらいに作業を終えた彼女は物騒なナイフを納めこちらに振り返る。


「あんた、こんな時間にこんなところで何してたの?」


冷たい表情をこちらに向けて聞いてきた。

「俺はこことは違う世界で死んで今さっきこの世界に神様の力によって転生させてもらってやって来たんだ!」と答えたら間違いなくおかしな奴扱いされるだろうから。


「えーと・・・・ちょっと道に迷いまして・・・・・よければ近くの町か村まで案内してもらえると助かるんだけど?」


そう答える俺を怪しむように少しの間ジロッと見つめて。


「ふ~ん、そうなんだ・・・まぁいいわよ、近くに『エレボス』っていう町があるからそこまででいいなら案内してあげる」


「助かったよ、え~と・・・・」


「私の名前はルナよ」


「俺はユウタ、よろしく」


「そう、それであなたは何をしてる人なの? こんなとこまで来るなんてどんな仕事よ?」


その質問に俺はすぐには答えられなかった。

なぜなら、今の俺はこちらの世界に来たばかりで何をしているわけでもない、年齢的には学生なのだがこちらの世界に学校というものがあるのかも分からない。


いや、しかし、ここで「特に何もしていません」などと答えようものならば・・・・・・・そう、その先は想像できる。仕事もせず森に入って迷子になり挙句の果てに泣きながら助けを求めていたダメな奴として冷ややかな視線を向けられるに違いない。


そんなのは俺のプライドが許さない。


しかたない、こうなったら。


「えーと、俺は・・・・・勇者・・・・かな」


そして、ルナの反応は、


「勇者・・・・・・プッ・・・・」


ルナは一瞬笑いそうになったがすぐにそれを誤魔化すように。


「コホン・・・・そう・・・勇者さん・・・・で、勇者さんは森に入って道に迷い、魔物に襲われて泣いて助けを求めていたという訳ね。勇者ってどういう意味か知ってる? 勇気を持って危険な事に立ち向かう人のことをそう言うのよ」


・・・・・・・ムッ。


こいつ、笑いやがった、それに今の言い方は誰がどう聞いてもバカにしているのが明らかな言い方だ。なんて失礼な奴だ。


だがしかし、彼女は命の恩人だ、ここは我慢しようと決意した俺にさらに追い打ちをかけてきた。


「ずいぶんと頼りない勇者さんね、なんか服装もパッとしないし、それ以前になんで何も持ってないのよ、勇者なら武器の一つでも持ってなさいよ。勇者を語って遊ぶのは勝手だけどもっと安全な所で遊んでなさい」


などと、その後もトゲのある言葉を俺の心に突き刺してくる。


おいおいおい、さすがに我慢強さには定評のある俺も我慢の限界だ。


「そこまで言う事は無いだろう!! 俺はまだまだ駆け出しなんだよ! これから経験値を積んで最終的には魔王を倒す未来の勇者なんだよ!!」


と言い返して何を言ってるんだと恥ずかしくなる。

元の世界でこんな事言ってる奴は総じて痛い奴に分類される。


「あの程度の魔物に対して泣きながら逃げ回ってる人が魔王なんか倒せるわけがないでしょ、バカじゃないの、もっと命を大切にしなさい! どうせレンフィーリス様に憧れて勇者なんて目指したんでしょうけど憧れでなれるほど簡単なものじゃないの! 身の丈に合った事をして平穏に暮らす方があなたの為、死ぬのは嫌でしょ?」


「誰だよレンフィーリスって、俺が知ってるのはロ◯の勇者くらいだ!」


「そっちこそ誰よ! って言うか本当に知らないの? レンフィーリス様はもうずっと昔に魔族の侵攻から人間を救ってくれた英雄、多くの書物にその功績が記されてるのに、本くらい読みなさいよ馬鹿」


たった今この世界で産声を上げた男に無理を言う、歴史なんて知るわけないだろ。

知らない奴の事なんて言い合っても仕方ないので俺はこの女に勇者とはなんたるかを教えてやるとする。

まず初めに村を出たての勇者とは弱いものだ。

スライムに負けることだってある、取り分け今は夜、この時間は多少強い敵とエンカウントすると相場が決まっている。

つまり当然の帰結だと言い合いをした後に彼女は呆れたように。


「分かった、このまま言い合っててもしょうがないし、とにかく、町に案内するから行くわよ」


それもそうだ、今はとにかく安全な所に行くのが先決だ、どんなヤバイ魔物がいるのか分かったもんじゃない、俺も同意してルナの後をついて行くことにした。


そうして、俺達は暗い森を進んでいき夜明けとともに町にたどり着いた。

道中多少の魔物の襲撃と度重なる言い争いはあったが無事生還。


「ようやく着いた~~~~!」


すでに体力の限界を迎えていた俺は、ようやくたどり着いた町に対して感動の涙が流れそうになった。そんな俺に対してルナは平然とした様子で。


「情けないわね、だいたいあんた歩いてただけで魔物と遭遇したときは全部私にまかせっきりだったじゃない、それなのに、なんでそんなに疲れてるのよ。そんなので夜喰いの森を夜に彷徨くなんて無謀とすら言えないただの自殺行為、今後もあんな馬鹿をするつもりならもっと力を蓄えることね」


「うっ・・・・・・」


そう言われると何も言い返せない。

ここで世界の話を持ち出しても理解できるわけないし・・・。

俺のいた世界では頭が重要視される世知辛い世の中だなんて言ってもね・・。


「ま・・・・まぁとにかく、色々あったけどここまで案内してくれてありがとうな」


と感謝を告げ歩き出そうとした時。


「あんたこの町に来るのは初めてなんでしょう?」


「え、そうだけど」


「だったら、ついでだから案内してあげるわよ」


「え! マジで、それはありがたいけど・・・・・・何で?」


「ついでよ、つ・い・で。あんたみたいな世間知らず放って置いたら周りにどんな迷惑を及ぼすか分からないし」


世間知らずではあるけどちゃんと最低限の常識はあるよ。

店で売ってる物を勝手に手にとって食べたり壊したりなんてしないよ。

凄いダメ人間扱いされている気がするが助かると言えば助かる。何処に何があるか教えて貰えたら無駄に歩き回らなくていいし。

というわけでよろしくお願いしようとした刹那、頭の中によからぬ予感がわいてきた。

まさか、こいつは道案内のふりして俺を人通りのない場所に連れて行ってそこで金になりそうな物(神様から頂いたありがたいプレゼント)を奪い取ろうとしているのではないか?


・・・・・・いや、たぶん違うだろう。

何かを奪うつもりなら出会った時にすでに狩られていただろう、こいつは案外面倒見が良いやつなのかもしれない。

口から出る言葉は切れ味抜群だけど・・・。


「それじゃあ、まずは宿屋から案内するからついて来て」と歩き始める。この町は最後の幻想(F◯)にありがちな建築様式をした建物が数多く並んでいて町の規模としては小さめ。

俺のいた世界と大きく異なる点といえば、さっきから一度も車やバイクなどの姿を見ていない、代わりに馬車はたくさん見かけたが。この世界の主要な移動手段は馬車なのだろうか?

それと鎧を着込んだ人とか剣やら槍やらの刃物を持った人が平然と街の中を歩いていてなんか落ち着かない。


そうこう考えてるうちにまずは宿屋に到着し、続いて武器屋に連れて行ってもらった。


そこで衝撃的な事実を知ってしまう事になる。


武器屋の扉を開けると。


「いらっしゃい」


と野太く大きな声が聞こえた、その音の発生源を見てみるとそこにはいかにも武器屋の店主らしいマジぱない筋肉をしたおじさんがいた。


俺はそのおじさんの方に向かってズンズンと歩いて行きテーブルに神様から頂いた金貨5枚を置きこう言い放った。


「このお金で買えるこの店で一番良い武器を下さい!」


おじさんはテーブルの金貨を確認すると。


「分かった、ちょっと待ってな」


とおもむろに席を立った、そして、彼が持ってきた武器はなんと・・・・・・・・・・・・・・・こんぼうだった。

ワケガワカラナカッタ。これは神様がくれた硬貨なのだ、それがこんぼうの価値しかないなんてにわかには信じられなかった俺は食い下がった。


「ちょっと待って下さい、金貨ですよ!! 銅貨でも銀貨でもなく金の硬貨ですよ、何かの間違いじゃありませんか?」


武器屋店主はそんな俺を不思議そうに見つめて。


「銅貨とか銀貨とか何言ってんだ兄ちゃん、そんなもんねぇだろうが、お前さん大丈夫か?」


・・・・ばかな。


俺はルナの方に近づいて「本当に・・・・」と小さな声で確認、すると呆れ顔で額に手をやり「本当に」と答えた。


何てことだ、俺はてっきりこの世界には銅貨も銀貨もあって神様は一番価値のあるお金、俺の世界でいう諭吉を持たせてくれたんだと思っていたのに。


神様・・・・あんまりだ。


体の力が抜け、地面に膝をつきうなだれている俺に対して武器屋店主は、


「どうすんだい? その5ゴールドで買えるのはこの5ゴールドのこんぼうだけだぜ。買うかい?」


どうしよう・・・・こんぼうって・・・・でも素手のままじゃさすがにきついし・・・・。


「・・・・買います」


「毎度あり」


失意のまま俺は店を出た。


「なぁ、どうやったら金稼げるんだ?」


「そんなの真面目に働くしかないじゃない。でも、あなたは勇者を目指してるのよね? だったら私みたいに酒場で依頼を受けてこなすか、魔物を倒して素材を売る方がいいんじゃない、鍛練にもなるし・・まあ、あなたに出来ればだけど」


「はぁ・・・失意のどん底の男に対してもう少し優しく出来ないのか? そんな性格じゃあ友達いないだろう?」


その言葉のせいか、彼女は顔を少し赤らめ動揺したような様子でムキになって言い返してきた。


「と・・と・・友達くらいいるに決まってるじゃない!!」


これは図星だな、あまり触れないでおいてやろう。俺も友達いないし・・・・・。


そうして、ぼっちな俺達はその後雑貨屋に行き、それから酒場に向かった。


酒場には朝だからだろうかあまり人はいなかった。


ルナは掲示板の所に歩いて行きこちらに向かって手招きしたので俺も後に続いて掲示板を覘いてみるとそこには張り紙が何枚も貼ってありその内の一つを手に取って読んでみる。


「何々?」

-------------------------------------

依頼内容


この町付近に生息しているスライムの欠片を詰めた小瓶を5個集めて貰えないでしょうか?


報酬


50ゴールド

-------------------------------------


その他にもブラッドウルフの素材集めやら、グリフォンの討伐などという依頼もあれば、薬草集めや迷子の子猫探しなんていう依頼もあった。


スライムの欠片なんて何に使うんだよ、疑問に思ったが今はそんなことはどうでもいい。

ゲーマーの心躍らせる依頼の数々に興奮してきた。


「依頼を受けるにはどうしたらいいんだ?」


そう尋ねるとルナは女の人がいる方を指差して。


「あそこの受付にここの張り紙を持って行って依頼を引き受ければいいわ、いまのアンタだったら今手に持ってる依頼がちょうどいいんじゃない」


それじゃあ、まずはこのスライムの欠片集めでも受けてみるか。


俺は手にしていた張り紙を持って受付のお姉さんに差し出した。


「この依頼を受けたいんですけど」


「承りました、それでは位階証明書をお願いします」


「位階証明書って・・・何ですか?」


「ご自身の現在の位が記入された証明書ですけど、お持ちじゃないですか?」


「あ、はい」


「でしたら発行致しますのでこちらにご記入お願いします」


と差し出された紙には名前、年齢、性別の記入欄だけがある簡素なものだった。そのすべてに記入してお姉さんに渡した。


数分後・・・・


お姉さんがカードを持ってやって来てそれをテーブルに置いた。


「簡単に説明させていただきますね、この証明書はあなたの現在のランクを表すものです。ランクはEからAまでありあなたは現在Eとなります。依頼にはそれぞれ必要ランクが設定されております、あなたご自身のランクが求められるランクに達していなければ受けることが出来ない様になっておりますのでご注意下さい。これは新しく入られた方が自身の力量も考慮せず無茶な仕事を受けて死亡する、なんて事を防ぐ目的がありますのでどうかご了承下さい。最後にランクの上昇についてですがこれはこなしていただいた依頼の数と内容を加味しこちらの判断で更新となっておりますので何卒宜しくお願い申し上げます」


なるほど、自分の実力に見合った依頼しか受けられない様になっているのか。


「それでは証明書をお受け取りください、それと、こちらもどうぞ」


そう言われ渡されたのは5個の小瓶だ。


「そちらに、先ほどの依頼の品を入れてこちらまで持ってきてください、頑張ってくださいね」


ついに俺の異世界での初の依頼が始まった。これから俺はこの世界で勇者になるべく経験値を積んでいくのだ。


「いや~何から何まで本当に助かったよ」


所々イラッとさせられる発言はあったけど助かったのは事実だ、ここは素直にルナに感謝を言っておこう。


「そう、それじゃあ頑張ってね・・・・・・・勇者さん」


最後に皮肉交じりの余計な言葉を言い残し店を出て行った。


あいつ、今に見返してやるからな覚えてやがれ。

闘志を漲らせ俺も店を出て向かうは町の外。

なけなしのお金で買ったこんぼうを装備し準備完了。

こんぼうだとやっぱり心許無いが、スライムだしなんとかなるだろう。

しばらく町の周辺を探していると、ターゲットであろうスライムを発見した。


見た目は某有名RPGゲームのスライムと違って可愛さのかけらもなく、特に目が怖かった。何アレ、つり上がってるよ。不良だ、不良。


しかし所詮はスライムだ、俺は意気揚々とこんぼうを振りかざして突進して・・・突進された。


「ぐはぁぁぁぁ・・・!」


お腹にスライムの強烈な体当たりをくらって吹き飛ばされたのだ。


「・・・・・・いったぁぁぁ」


痛恨の一撃かとも思える痛みに耐えて立ち上がりお返しとばかりにスライムに向かってこんぼうで強烈(?)な会心の一撃をおみまいしたが一撃では倒せない、そしてここから俺とスライムの壮絶な死闘が始まった。


俺がこんぼうでの攻撃を与えると、向こうも体当たりで応戦してきた。激しい身の削りあい。


その戦いは数分間続いた。


オカシイ、もう10発以上は攻撃を与えたはずなのになぜこのスライムは倒れない? スライムなんて2・3発で倒せるもんだろう、いい加減俺のHPも尽きそうだ・・・まあそんなの無いから体感だけども。


俺は最後の力を振り絞り再び会心の一撃を加えた。すると、スライムが弾け飛んだ。


そう、俺はこの死闘を制したのだ。


弾け飛んだスライムの体はほとんどが蒸発してしまっていたので瓶2つ分くらいしか集められなかった。


「あんな死闘を繰り広げて瓶2つ分だけとは・・・・・・・はぁぁぁ」


その場に倒れ込み空を見上げ。


「何でスライムがこんなに強いんだよ~~~~~~~ふざけんな~~~~~~~~」


俺は絶叫した。


その声に釣られてきたのかスライムが現れた・・・・・・・・・・3体も。


「さて・・・・・どうすっかな?」


と言うものの心はすでに決まっていた。ここは・・・・・・・“逃げる” 一択だ!!


走り続けようやく町に逃げ込み。


「は~死ぬかと思った~~」


と顔の汗を拭い、ヘトヘトだったので宿屋に直行した。


そして受付で


「すいません、部屋を取りたいんですけど」


と告げた。


「はい、それでは100ゴールドになります」


「ああ、はいお金ですね・・・・」


・・・・・・・・そこで思い出した。


今の俺の有り金は0だったという事を。


「・・・・すいません、やっぱキャンセルで・・・・」


それだけ言って宿屋を後にした。


そう、これがこの世界の現実なのだ。


実際の魔物はゲームのように簡単には倒せない、それにお金も落とさないから依頼をこなさないと収入もなく宿屋にも泊まれない。


空はもう日が落ちてきていた、そんな空を見上げため息をつきながら呟いた。


「異世界での生活はゲームのように甘くはないなぁ・・・・」




「これからどうしよう・・・・・・・・」


第一章 END



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