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第二十六話 お屋敷探索 Part5 生まれし絆 暴かれし秘密編

「そ、そんな! あれは!」


驚きの声を上げるティオの視線の先には腐れ野郎と同盟を組んだ俺。

ようやく気付いたか。

さすがに俺に向けて魔法を放つのはさすがにできないだろう。

今はこうして対立しているが結んだ絆が躊躇わせるはずだ!


「オルテガ、ここは俺が先行する、お前は俺の後ろに着くんだ!」


「でもそれじゃあマスターが・・・!」


「二人で生きて帰るって言ったろ! 俺はお前より体が頑丈に出来てる、だから心配すんな!」


「あんたって人はどこまで・・・分かりました! どこまでも付いていきます!」


完璧だ!

あいつ達は俺を攻撃出来ない。

つまり俺の後ろにぴったりくっついていれば確実にオルテガをあいつらの元に送り届けられる。

後は・・・じっくり楽しませてもらおう。


「あやつまさか奴らに取り込まれたか!?」


リアの怒涛の魔法ラッシュが止まった。

いける、いけるぞぉー!


「ど、どうしましょう!?」


ティオは困り果てた様子でリアに尋ねる。


「あやつは仲間じゃ・・・」


いい感じだ。

後もう少し!

期待に胸を膨らませるのも束の間、俺は耳に入ってきた言葉に戦慄する。


「だがこうなっては仕方ない。せめて魔物としてうろつかなくて済むように塵も残さず灰燼に帰してやるのが優しさじゃろう」


・・・・・へっ???


「そう・・・ですね」


・・・へっ?へぇっ!?


「さらばじゃ、短い間だったがそなたとの旅普通じゃったぞ」


・・・・・普通かい! ってそこじゃない!


「ちょっ待っ–––––––」


「無事天に召されてくれ」


リアの前方が眩しく光る。

掲げた手の先に轟々と燃え盛る灼熱の炎が球体を成していく。

これまでとは違う、一目でヤバいと分かる。

例えるならメ○からメ○ゾーマになったくらいヤバい。

というかあんなの飛ばされたらこの屋敷燃えるんじゃね? 馬鹿なのアイツ?


なんて考えてる場合じゃねぇ!

避けないと焼かれる。

だがもう間に合う気がしない、運動神経の悪さに定評のある俺の反射神経では絶対に無理!


つまり!


今この瞬間の俺、圧倒的ピンチ!

はぁ・・短くても輝いていた俺の異世界ライフも終わりか。

まるで何かの主人公になったみたいに可愛い女の子が集まって罵倒され、お金を巻き上げられ、そして今殺されようとしている。

でもそれでも構わない。女性とまともに関わったことのない俺がここまでやれたんだ、あのコミュ障の俺が異世界デビュー果たしたんだぜ、もう・・・・十分だよな。俺は頑張ったよな・・・父さん、母さん。

ありがとう異世界、俺に最後の幸福を味あわせてくれて・・・・・でも出来ることなら助けてくれてもいいんですよ? っていうかマジ助けて! やっぱりこんな幸福手放せるか! まだ俺は何も成していない! 女の子と手を繋ぐことも、綺麗な夜景をバックに告白することもそれに・・・ほら・・そういう事もね(言うの恥ずかしいんで察してください)。


「とにかく俺は死にたくないんだ〜〜!!」



「何一人でぶつぶつと言っておるんじゃ?」


リアが不思議そうにこっちを見ている。


「あれ? さっきのメ○ゾーマ・・いや、あの見るからにヤバそうな魔法は?」


そう尋ねるとリアは綺麗な八重歯を見せながら小悪魔的な笑みを浮かべる。


「びびったか? ちびったか? あれはただお主を怖がらせるためだけのものじゃ、当てるつもりなど端からなかったんじゃよ」


「・・・・ふぇ?」


とても情けない声がうっかり口から漏れた。

だがそんな事よりも気掛かりだったのは“何故そんな事をしたのか”だ。


「ちょっマジで怖かったんだから〜〜! なんでそんな事するの〜!」


「すまんすまん、じゃがこういう事をされる心当たりはあるじゃろ?」


はい、めちゃくちゃあります。

でも一体どの事を言っているんだ?

心当たりがありすぎて逆に分からない。

リアにいっぱい食べろと言いながら実は嫌いなものをあげてたことか? でも食材だって美味しく食べてくれる人に食べられたいと思ってるよ! 食べ物に敬意を払えってばあちゃんが言ってたからそれに従っただけなんだ!

それともティオと街を歩いている時ちょっと彼氏ヅラした事か? 具体的には馬車道側をさりげなく変わってあげた。だってそれが紳士のやることだと思ったから!

はたまた俺がルナのあられもない姿を見てしまった事を知ってしまったのか?

思いつく理由はそんなところだが疑問だ? なぜ今になって?

とにかく上から一つずつ正直に暴露し同時にきっちり補足事項(言い訳)も付け足して釈明した。


それを聞いた二人はなんとも言い難い表情を作っていた。


「おぬしがどれだけ小悪党かは分かった。じゃが今おぬしが言った中に正解は無かったぞ」


「えっ! じゃあ俺は闇に葬れた秘密を自分で馬鹿みたいにペラペラと話してしまったのか・・」


「まあそういう事じゃが、そこまで大層な秘密ではないと思うがの。ただ! 最後のだけは別じゃ、後で詳しく聞かせてもらおうかのう。おぬしとルナの関係性を根掘り葉掘り」


「わ、私も気になります! だ、だってあられもない姿ってことは・・・」


おっと、二人は変な所に食いついた。

といってもさっきの中にないとしたら俺はなして殺されかけた?

その疑問をリアにぶつけると


「ああ、おぬしの話し声が丸聞こえじゃったからじゃよ。良からぬ策を弄しているのが全部筒抜けじゃったぞ。だからティオに提案して怖がらせることにしたんじゃがまさか腐れ野郎を従えるとはな」




・・・・なるほど。つまり一番のバカは俺だったということか。



次回へ続く。


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