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第百四十八話 監獄にて ②


「それで、あなた達はどうします?」


俺とリアに目を向ける。


「俺は別にいい、寒さなんてほとんど感じないし。でもリアは助けてあげて欲しい」


「なっ! わしはこんな奴の施しなどいらんと言ったはずじゃ」


「ダメだ、もしものことがあったらどうする」


「問題無い。わしは気付いてしまったんじゃよ」


「気付いたって、何を?」


するとリアが背中に飛び乗ってきた。


「お主の周りだけ何故だか暖かいんじゃよ、だからこうしてくっついておけば問題解決」


人の背中の上で得意げにVサインを作る。

え、俺ホッカイロ代わり? さすがにそれは無理があると思うんだけど。

おしくらまんじゅう方式で身を寄せ合ってどうにかなる寒さじゃないよこれは。


「背中で凍死されるとか精神的にくるんですけど・・」


「だから寒く無いって言っておるじゃろ!」


俺が暖気フィールドを展開しているとか言う馬鹿みたいな話、もしそれほどの熱量を発しているなら足元の雪が溶けても不思議では無いのにそうなっていない。つまりこれはどうしても助けを受けたくないリアの嘘なのだろう。


「ちょっと失礼」


正面からフレイヤが身を寄せてきた。

女性二人に挟まれる奇跡の様な展開、普通の状況なら顔を真っ赤にして硬直していただろうが生憎今は違う。後方では自分の玩具を取られまいとする子供の様にリアが騒ぎ立て前方ではすっかり複雑な関係になってしまったフレイヤが挑発する様に薄らと微笑む、さらに姫様と女騎士からの冷たい視線、そして周りは極寒。

こんな事をしている場合じゃねぇ。

「悪ふざけはよして下さい」とフレイヤを引き離す。


「どうやら事実の様ですね。確かに暖かいです、あなた」


「暖かい? 俺が? どうして?」


一体いつの間の俺は常時発熱なんていう謎スキルを所得していたのだ?


「おそらくあなたが先程ルナさんの前に戦った子、彼女の加護を身体に取り込んだ事が原因でしょう」


「あの炎の子ですか?」


「ええ、彼女から魔力を吸う要領で加護を身体に取り込んだ、とはいえ少量だった為に彼女の様に燃え上がらせる程の効力は無くあったかい程度に止まってしまったのでしょう」


呪われた魔力だったか、あの時あれを全部吸って無力化することが最善だと思っていたがもしそうしていたら俺もあいつみたいに近づいただけで誰かを燃やす身体になっていたらしい。


「呪いを取り込んでしまってたのか・・・」


「呪いではなく加護です」


まあとにかく、今度あいつと会った時は気を付けないといけない。

でないと誰にも近付けない孤独を味わうことになる。




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