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陛下と英雄 ①

陛下、その名はエルフェリシア。

彼女は英雄レンフィーリスと唯一無二の親友であり好敵手。




人と魔が明確に分かたれしのぎを削る戦いが各地で繰り広げられる時代、彼女は魔族側の陣営でその人物の話を聞く。


「魔族が束になっても全く敵わない手練れ、ですか?」


部下からの報告に眉を潜める。

普通は逆、束にならなければ何も出来ないのは人間の方。しかし人間にも稀に実力者が存在する、存在するが魔族が束になっても()()敵わないというのは信じ難い。

だが部下がわざわざそんな嘘を吐くとも思わないエルフェリシアは装備を整え自身の目で確かめることに決め一人向かう。




赴いた場所で目にしたのは重なり合う死体の山。人間のものもあるが多くは魔族の死体、魔族軍が身に付ける黒銀の鎧による黒色が人間側の白銀の鎧による白色よりも多く割合を占めている。

その中にはまだ子供としか思えない容姿をした死体がどちらの側にも存在している。

何度も目撃して来た悲惨な惨状、しかし慣れることはなく毎回心を締め付けられ早期にこの戦いを終わらせる為の力へと置き換え待っている相手の元へ向かう。



「本当に来た!?」


何故だか呼び出した本人が驚く。


「あなたが呼んだんでしょう」


「それはそうだけどあなた一人?」


「ええ、一人で来いという話だったはず」


エルフェリシアが部下から聞いた話は今宵この場所に一人で来いとのこと、彼女は言われたことに従ったのに何故か相手はがっくりと肩を落とす。


「はぁー私は大将か一番強い奴に伝えろって言ったんだけどな」


「私では不満ですか?」


「ええ不満、あなたどう見たってどちらでもなさそう。綺麗な格好から察するに無駄に位だけは高い貴族様って感じ、中途半端に偉い奴はお呼びじゃ無い」


不満を露わにする人物は好きかって言ってからさらにエルフェリシアの足元を指差す。


「この辺り死体ばかりだったのに足に血もついてなくて綺麗なまま、死体を踏み越えずに器用に避けて来たみたい」


「それが何か?」


「自分の身も心も汚す覚悟の無いお嬢様みたい」


どこぞの貴族の出の権力だけで成り上がった何も出来ない娘だと決めつけ侮られているのはエルフェリシアにもよく分かった。

確かに死体を踏むことはしていない、だがそれは嫌悪でも畏れでもなく死者を敬ったが故。

敵だろうと味方だろうと死者をぞんざいに扱うのをよしとしない性格からの行動。

ただそれは今現在この場所が戦場では無いから、戦場でのエルフェリシアはどれだけ血に塗れようとも気にせず敵を殺す魔族一の実力者、その相手の要望通りの存在。


「あなたの目は節穴ですね」


敵を前にしこの場は戦場へと変わった。




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