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第百十二話 陛下①

「そうか」


「それだけ、か?」


責められる覚悟もしていた分拍子抜けだ。


「まあ何となく無関係ではなさそうな気はしておったからな。あの姫様に親しげに話しかけられ死なずの身体、おまけにお主の魔力は出会った時から普通の人とは違っていた、わしが惹かれたきっかけもそこにある」


リアとの出会いはこっちが勝手に乗り込んで色々やらかしてと全てにおいてこちらに非がある良い印象を与えるはずない出会い、それなのに突然仲間になりたそうにするので疑問にも思ったが魔王城と言う事で敬遠され誰も近づかず俺たちみたいな人間の一団が楽しそうに見えるほど退屈だからだと判断したが違ったのか?


「何故だかお主のそばに居るだけでわしは力を得れた、付いていった理由もそれじゃ。お主を利用し力を得ていつか魔王の威厳を取り戻す、それが目的」


どうやらリアにもまんまと騙されていた様だ。


「シスターは警戒しておったようだがわしはあいつの甘さを知っておる、力はあるが殺しは出来んのがあの女、一緒にいようと大人しくして居れば何も問題無いとな。じゃが結局目的を果たす前に姫が出て来てお主は死んだと聞かされ何も為せぬまま家に戻った、そこで父と母から聞いたんじゃ、わしらと姫様らの事実を」


自分達は表の魔族、人に力を貸すという裏切りによって平穏を得た存在。

力を縛られ弱体化する事になったがそのおかげで人に紛れても目立たない、うまく共存できるようにと為された術の元生きる事を選んだ存在。


「長い時間の中で忘れられただ恐怖の対象とする人間も出て来たが人の王とのつながりはずっと存在していた。わしのやろうとした事はそんな関係を壊そうとする裏切り、そんな奴がお主に文句など言えるわけなかろう」


「気にするな」と明るく笑うその姿に少し救われていると部屋の扉を叩く音が、そこから姿を現したのは兵士。


「陛下がお呼びです」


「了解じゃ」


それだけ伝え去っていく。


「陛下のお呼びじゃ、向かうとするかのう」


陛下との謁見、さすがに身が縮む。

目上の人間に対する礼儀など一般的なものしかない、陛下なんて呼ばれる相手との接し方はさすがに習ってないのだが・・・。

うっかり粗相でいきなり牢屋に打ち込まれたりしないか不安に思っている間に到着、あれよあれよと陛下の前。


「目覚めたばかりでお呼びして申し訳ございません」


想像と違う。

厳つい顔つきのおじさんを想像していたので驚いて固まった。


「如何しましたか?」


神聖さを感じる金色の髪をさらりと揺らし碧い瞳をこちらに向ける。外見通りの清らかな声、陛下と呼ばれるには随分若いがそれを些細なことと感じさせるだけの迫力を感じる。


「怯えておるんじゃないか? いくら丁寧な物言いをしても分かる者には分かる、その者の持つ恐ろしさが」


リアが誰の事を言っているのか容易に想像が付く、が、俺は別に恐ろしさで固まったわけじゃない。


「違う、ただちょっと意外だなと思っただけで怖いだなんて」


「意外、ですか?」


「あ、いえ、随分とお若かったので・・・」


「ああ成る程、確かに私はまだ未熟な身、このような者がこの場にいる事をおかしく感じるのも仕方ないでしょう」


「未熟とは随分と謙遜をする、おそらく表で一番の強者だと言うのに」


「一番の、強者? それってどういう・・・」


「言葉通り戦いで敵うものがいないという意味じゃ」


またしても驚かされ固まった。




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