第百十一話 邂逅、再び②
目覚めた部屋に戻って状況の整理をする。
まずここは何処かという話なのだがリア曰く知人の家との事だ。
どう考えても家というより城と言った方がしっくりくるが思えばリアの住んでいる場所も大きな城だ、同じく城持ちの知人がいてもおかしくないか。
次に何故ここにいるのか?だがリア曰く女騎士に吹き飛ばされた瞬間一緒に巻き上げられた物に紛れて近づき口に含んで安全な場所まで離れた後に転移の魔法でこの城にやって来た様だ・・・・?
一部「そうか」で流せないところがあった気がする。
「口に含んだ?」
「うむ、こんな風に━━━」とリアはこの大きな部屋の大部分を占める大きさの生物に姿を変える。それはあの時街の周囲を飛び回っていた生き物だ。そして大きく開いた口を指差し「ここにお主を入れて運んだのじゃ」と笑う。
それから姿を戻したリアに何故あんな場所にいたのかを聞く。
「偵察じゃな、どこかに攻め入る隙が無いか探っておったのじゃがあれはダメじゃ」
「ダメ、とは?」
「今でさえ付け入る隙が見つからないくせして今尚強化中、とんでもなく用心深い姫様じゃ」
「リアは知ってるのか、姫様の事?」
「知っておるよ、と言っても実際会って話したことはないがの。一応は同じ魔族、表にいようと裏の話も多少は回って来る。聞く話によるとあの娘は規格外、とてつもない魔力をその身に有しているという話じゃ」
「あの姫様がそこまでの力を・・」
「とんでもない娘である事は間違い無いのじゃがな・・」
そこまで言って「分からんのじゃ」と首を傾げる。
「何がだ?」
「あやつがどうやってあの街を落としたのか?」
「圧倒的な魔法と女騎士の力、その前に人間は手も足も出なかった」
「それがおかしいんじゃ、本来絶対そうはならない。表には裏の魔族からの侵攻を防ぐため大陸全土に術が施されておる。それは魔族の力を縛る物、幾ら力があろうが圧倒するまでの力を出せるはずない、ましてや術の中心となる最も守りの固い場所を落とす力などあり得ん」
皆目見当もつかないとでも言うように首を振る。
「人から力を得たんだ」
姫様は俺から力を得てそれを可能にした。
しかしリアは「ないない」と俺の話を信じない。
「人の魔力は魔族より遥かに劣る、幾ら集まろうが不可能。魔族から力を得るにしてもさっき言った様に表では縛りによって魔力は人より少し高い程度まで落ちる、どちらも無理じゃよ」
「俺だ、俺から力を得た」
真実を伝える、リアは否定も肯定もしなかった