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第百十話 邂逅、再び①

ゴミが灰となるまで見届ける。

初めこそ痛めつけ放題と歓喜したがろくに痛がりもしない、助けを求め泣き叫ぶ声がないならそこら辺の石ころと変わらない、今となってはただ面倒なだけでげんなりしていた。


「姫様・・」


女騎士は求める様に虚空を眺め呼ぶ。

今すぐにでも会いに行きたい、数十分離れただけでもうこれほどまでに恋しくなる。しかし、任務を全うするまでは我慢。

中途半端なことして嫌われる様なことあってはならない、頼まれた事は完璧にこなす・・・そんな心持ちでいるのだが不死の始末の方法が定かではない。

このまま灰となって終わればいいがこれでも蘇ってきたら考え直し、姫様に会いに行けない。

どうか終われと願いながらその時を待つ。






「クソがぁーーー!!!」


女騎士はブチ切れ状態で剣を振るう。

願いが叶わなかったせいだ。

灰となってその灰が光の粒子へ変わり集まりゴミ野郎復活からの怒号と共に剣を振り下ろすという順序を辿った。

全力の斬撃は進行の過程にあるあらゆるものを宙へと巻き上げながら大地を抉りまっすぐと突き進む、復活したゴミもちゃんとその中に含まれている。

ただ怒りに任せて雑にやったせいで余計な物を多く巻き込みゴミカスの姿を見失ってしまった。


「ああ・・やってしまった」


怒りを吐き出し冷静さを取り戻した女騎士はその場にうなだれる。


「ここから探せというのか・・・」


岩や土砂が散乱する大地を眺める女騎士、その上空からは防衛装置として取り巻く異形の生物の一匹が任を放棄し飛び去って行くも女騎士は気にも留めず絶望していた。








━━━ひーおっかないおっかない。


魔窟と化した街から遠ざかる翼の生えた異形は何事もなく無事離脱できた事を安堵する。

そして思わぬ収穫を口に目的地に向かってさらに速度を上げ飛んで行く。







「・・・・」


柔らかなベット、真っ白な天井。

記憶にある最後とは何もかもが違っていた。

天国か?とも思えるがそれは死者が行く場所で不死の自分とは無縁のはず、捕らえられたにしては快適過ぎる、拘束具すらないし綺麗な衣服まで着せてもらって近くに監視の目もない。

起き上がり窓から外を眺めると緑豊かな庭園、部屋の扉を開ければそこにも誰も居ない。逃げられるなら逃げてみろという余裕からなのかただ単純に善人なのかとにかく分からないことが多すぎる状態、用心に越したことはない、魔剣を手に呼び警戒しながら長い廊下を進んで行く。

綺麗な花が飾られ豪華な装飾、余程の金持ちの家というよりは西洋の城と言った方が正しいかもしれない。

廊下にはずらりと部屋が並び足元には赤いカーペット、その先の開けた場所には大きな階段と門の様な扉、RPGで出てくる城だ。

階段よりもおそらく外につながっているであろう扉に手をかけた時足音が近づいてくるのが聞こえる。

階段の方、上から駆け下りてくる。

咄嗟に隠れる場所もないのでさっさと扉から外へ、そこで運悪く鎧を着た兵士とかち合う。敵か味方かも不明なので一応武器は構えるがそれが敵対行為とみなされた。

「貴様何者?」と向こうも剣を抜き臨戦態勢。

勝手に連れてきておいて何者とは一体?


「ここは何処だ?」


質問に質問で返すとそいつは答えず「敵襲!」と大声を上げた。

近くを警備していたであろう兵士が現れ早速窮地、兵士達は「武器を捨てろ」と迫ってくる。

素直に言う事を聞くべきか判断に困っているとさっき俺が出てきた扉からも増援で完全に取り囲まれる形になるかと思いきや。


「やめいやめい。其奴はわしの友人じゃ、問題は無い。今朝方着いたばかりで周知しきれておらんかった、すまんのう」


すると兵士達は警戒を解いていく。


「なんだ、遂に魔族の刺客がやって来たのかと焦ったじゃないか」


その少女は「すまんすまん」と頭を下げて謝り終えるとこっちに向かってくる。


「久しいな」


「・・・・」


「なんだ? まさかわしを忘れたわけじゃあるまいな?」


「覚えてる、仲間を忘れるわけない」


「仲間と言うには短い期間だったがの」


「会えて嬉しい、無事で良かった。リア」


「こちらもじゃ」





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