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第百話 救出⑧

もう一つの魔法、おそらく永遠に使う機会は訪れないと頭の片隅に追いやっていた魔法が俺にはある。

当時は使い物にならないと憤慨したものだが今のこの状況でこれほど有用な魔法は他にない。

使った経験がない為ちゃんと効力が出るか不安だが最後の希望であるその魔法名を叫ぶ。


「俺を見ろっ!!」


あらゆる魔物の注意を俺一人に集める自己犠牲精神溢れる魔法。

弱っちくて死ぬのが怖かったあの頃は決して使うはずないとゴミ魔法認定していたがよくよく考えればこの手の魔法は意外と使えるものだ。

不死の俺がヘイトを取り続ければ他の二人は反撃を恐れる事なく攻められるじゃないか!


「いきなり何を叫んで━━━━っ!」


変異した魔族は気にせずティオとアレウスを狙おうとして異変に気付く。


「なんだ、これは!?」


頭を押さえとても気分が悪そうに呟く。


「何をした、貴様?」


「魔法さ」


紛れもない事実を伝え「ただ」と少し付け足す。


「俺のはちょっと特殊でね、一般的な魔法と違うから馴染みがないかもな」


師匠が言うには魔力を魔法へと置き換える過程で異常が起きた結果出来上がった出来損ないらしいがそういう突然変異的な産物が思わぬ力を秘めているなんてのはよくある事。


「まさかこれは無属性魔法っ!?」


名前こそ知られているがそれ以外は不明瞭な魔法、それが、無属性魔法。

なるほどなと思った。

これは師匠や俺のような特殊な魔力を持った者だけが使える魔法で一般的じゃなく広く知れ渡る事はない。これが全て謎に包まれた無属性魔法と言われてもおかしくはない。


まあそもそも使える魔法がアレなだけにあまり周囲に言いふらしたりもしようとしないからというのも謎に包まれた一つの理由でありそうではあるが・・。


だが、変で格好は良くないがそれがなんだ!重要なのは実用性。


「ティオ、アレウス! あいつは今俺しか狙えない今のうちだ!」


絶好の機会だと二人に知らせる。


「分かりました、私の全力をぶつけます」


馴染みがないのはティオも同じなのに驚くほどすんなり信じ自身の使える魔法を次々と打ち込む。

やられ放題の魔族は怒り狂った雄叫びを上げティオの方を睨みつける。


「怯えるだけだった小娘が調子に乗るなっ」


湧き上がる殺意全てをティオに向けるもその目が捉えるのは別の人間。

まるで操られているかのように視線を曲げられ殺しに向かえないせいで怒りは頂点に達する。


「そうかそうか、なら貴様からだ! ふざけた魔法の効力がなくなるまで細切れにしてくれる」


まあそうなるだろう、だが防御に徹すればそう簡単にはやられはしない・・・と思ったのだが俺は怒りというものを少し甘くみていたようだ。

怒りは弱体化させるわけではなくただ単純に能力値を攻撃方面に尖らせるということ。

敵によっては全く手がつけられなくなる可能性だってありこいつはまさにその類の相手だったようだ。

さっきと同じように剣で受けたのだが今回は身体全身で受ける羽目になる。力が格段に増していた。


「死ね死ね死ね死ね死ね!!」


徐々に強まっていく語気に比例して強まっていく力、ティオの魔法を今も受けてはいるのだが強靭な肉体の前に効果は薄くその威力は全く落ちない。


「私の力じゃ・・」


「いや、嬢ちゃんは十分やってくれた。とどめは俺に任せな」


すっかり気配を消していたアレウスが自身ありげに言って愛用の大剣を頭上に構える、だがそれはいつもと違い眩い光を放っている。

尋常ではない一撃の予感、それは唐突に解き放たれ死をもたらす。


「加減が出来ん、巻き込むかも知れんが許せ」


振り下ろされた大剣から放たれた閃光が包み込む。


俺と魔族の両方を・・・。





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