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この作品には 〔残酷描写〕 が含まれています。

企画提出物

光に包まれた城

作者:佐野すみれ
葵枝燕さまが企画なさった“テーマ小説の会”という第一回目の企画に参加させて頂きました。

読み手の方のお暇潰しのお供になれましたら、幸いです。
私は一番うつくしい。

他の誰よりうつくしい。

どんなに髪が()()りに傷んでいても、
(はだ)が赤黒く(ただ)れていても、
声が老人のように(しゃが)れていも、
ドレスがボロボロに焼け焦げていても、
私が、誰より、一番うつくしい。


─この城は、毎日沢山の(きら)びやかな来客達が賑わう明るく楽しい社交場だった。
私は、そんな輝かしい社交場で、いつも“壁際の花”としてぽつんと立ち尽くすだけだった。

光り輝く社交場の(まばゆ)い光を受けられるのは、いつだって、蜜蜂(ドローン)に選ばれた優雅で可憐な花達だけだったから。

そんな、華々しい花達とはかけ離れた相貌だった私は、いつも誰からも選ばれない壁際の花として、この場所(しろ)で一番醜い女というレッテルを貼られた。

私は、いつも、蜜蜂達と楽しく談笑や舞踏(ダンス)をすることのできる花達が、あの光りの中を戯れることのできる(おんな)達が、とても羨ましく、そして、ひどく妬ましかった。

だから、私は、ある日こう思った。

(そうだわ。私も光の中に入れるように…もっと、強い光りを城に放てばいいのだわ)

やっと辿り着くことのできた救いの道は、とても簡単なことだった。

そう。何もかも、全て光に包まれてしまえばいい。
ただ、それだけのことだった。

私は、そのことに気がつくと、ありったけの火種を城に放ち、そして、城を嘗てないほどの光と熱で包み込んであげた。

火種は(たちま)ち城の至るところに引火し、そして、ものの数秒でこの美しく荘厳な城を大火の炎で焼き尽くし始めた。

私がいつも焦がれていた社交場では、沢山の輝かしい(おんな)達と精悍な蜜蜂(おとこ)達が、あの煌びやかな優雅さも美しさも見る影を失ったようにさせながら、醜い阿鼻叫喚の嵐を巻き起こし、炎渦巻く火の海で無様な舞踏を繰り広げていた。

私は、その地獄のような絵画(けしき)を、炎が()ぜる音色で奏でられる鎮魂歌(レクイエム)に耳を酔いしれさせながら、初めてこの城の中で笑顔を浮かべることが出来た。

(皆、なんて恥ずかしい醜態と耳障りな音色(こえ)を晒しているのかしら…いつもあんなに誇らしく咲き乱れていたあの(おんな)達も、私を嘲笑う冷酷な眼を向けるだけだった蜜蜂(おとこ)達も、みんな、みんな、本当はあんなに醜く汚れていたのね)

虚構の美しさに飾られていた社交場(おとことおんな)の、本当の姿を目にしながら、私は、溢れでる笑いを抑えるのがとても大変だった。

けれど、私は、あんな上部だけ取り繕って偽りの美しさに浸っていただけの輩達とは違い、静かに微笑みながら、この炎の海に包まれた城の中、唯一咲き誇る(たお)やかな花として、存在し続けた。

そして、私は、初めて自分をこう思えた。

(私は、この城で一番うつくしい)

初めて、自分のうつくしさに気がついた私は、そのまま、燃え盛る炎の舞踏会の中、うつくしい微笑みを称えながら、一番うつくしい(おんな)として、その後も、大きな火傷(きずあと)を残した古城に居続けることが出来た。




















どんな花も、いつかは枯れ果て朽ちるというけれど、私は、どんなに朽ちた姿と成り果てても、永遠にうつくしい姿のままで、この廃墟(しろ)に咲き続けるに違いない。
テーマ×テーマという様式のお題企画の形式をなさっているようで、企画立案者の葵枝燕さまがこの度テーマになさったものが“主人公がナルシスト(ブス)”“城”という二つのテーマだったのですが…きちんとこの二つをテーマに出来ているか、正直不安が強いです。(特に主人公をナルシストにすることが出来ているかなどが)

けれど、テーマやモチーフをお題にした企画というものは、毎回想像と書くのがとても楽しいので、本当に、素敵な企画を立ち上げてくださる方々にはいつも感謝しております。

企画主催者の葵枝燕さま、それから、毎度素敵な企画の情報をくださる檸檬 絵郎さま、本当にありがとうございました。

そして、いつも最後に決まってこの言葉しか綴ることが出来ませんが、ここまで作品にお付き合いくださった方がおりましたら、ありがとうございました。

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