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002.10回は観返せ! (2016.06.11他)

 今回は、作劇法を磨く心得と申しますか、私が日頃痛感しております教訓についてのお話などを。


 映画解説者の淀川長治氏が遺された至言から、私は常々こう考えております。

「10回は観返せ!」

 いや1回目でネタバレしてるんだし、とお思いの向きには。

 では2回目以降に得るものがないかと言えば――というお話です。


 それではよろしくお付き合いのほどを。


 ◇(2016.06.11)


 私、基本的に映画は好きです。気に入ったら何度でも観返します。

 「よく飽きないね」とは家族に言われた科白ではありますが、かの名映画解説者・淀川長治氏の至言にいわく、「映画監督になりたければ1本の映画を10回観ること」。

 別に駄作を10回観たって足しにはならないのですが、名作・傑作、ましてやお気に入りとなれば話は全く違います。


 小説家なんて脳内映像(というより“擬似体験”という方が相応しいですね)を文章にコンバートするわけですから、実のところ映画監督とその辺の鍛え方にあまり違いはありません。

 この辺で想像できる映像のセンスや、登場人物の仕草・科白回しといった脳内クオリティに差が出てくるわけですので、案外おろそかにできるものでもないというわけで。

 そういや富野由悠季監督も「名作落語(の仕草や科白回し)を観ろ!」とおっしゃっていましたっけ。


 小説でもそれは言えるわけで、傑作・名作、というよりお気に入りはやっぱり何度も読み返します。

 こちらは文章の妙、文章にエンコードされた脳内映像のデコードに対するセンスを磨くことになるというわけですね。


 とは言え名作・傑作を引き当てるには数を観なければ(読まなければ)チャンスそのものがないわけで(汗)。

 というわけで(観に行く映画の一本一本が)そのお試しチャンスの一助ということになります次第。



 【コメント】アクションに限らず、映画館の雰囲気って好きです。確かに、モノ作りとして勉強になる部分は多々ありますね。


 映画館の雰囲気、いいですよね!

 特に個人では揃えられない機材を投入しての迫力であるとか、邪魔の入らない没入感(これ大事)であるとか、映画館ならではの利点がある(というよりシネコンの普及以来追求されるようになった)ので、レイト・ショーのような割安料金(これもシネコンで普及しましたね)で観られるとなると足を運ぶ機会も増えるというものです。


 で、モノ作りとしての参考度。

 映画って実はそれなりに予算をかけているだけあって中身の充実度と言いますか参考物件としてのクオリティと言いますか、この辺は実に馬鹿にならないものがあります。いや、スタッフの腕や運による部分が相当に大きいんですけどね。

 出来の落差は本当にものすごいものがあります。予算だけ垂れ流して愚策を作るスタッフもいれば、低予算でも工夫を凝らして傑作をものにするスタッフもいます。

 この辺、数を観なければ当たりが引けないところはありますが。ただ名作・傑作に出会えたなら、何度でも観返す価値ありですね。1回めは単純に観客として、2回め以降は観客としての自分の反応を反芻しつつ“心理の誘導”を分析してみたりとか、観返すなりの楽しみ方というものがあるもので。


 というわけで、観返し、読み返しの意義についてのご提案みたいになりました。


 ◇


 この考え方、今の私の礎になった感は強くあります。名作を研究するに、やはり“観返し”は重要だなと。

 まさに淀川長治氏は至言をおっしゃっていたものと理解できます。


 実際、とある作者様へもこんなコメントを寄せさせていただいたこともあります。


 ◇(2016.08.30)


 市場は素晴らしい才能に溢れておりますが、だからと言ってその中に入っていけないわけでもありません。

 まずは良作を貪り読みましょう。映画評論家の故・淀川長治氏の至言に曰く、「映画監督になりたかったら、1本の映画を10回観返しなさい」というものがあります。

 映画監督を作家に、映画を小説にと置き換えて考えるに、これほど当を得た言もないと私は思っております。

 名作を10回とは行かずとも、観返す・読み返すことには意義があると私は考えています。

 まず最初は普通の観客・読者として単に楽しみ、次は“あの時の自分はこう感じていたな”と観客心理を分析しつつも作者の心理誘導に思いを馳せ……といった具合に、観返す・読み返すほどに収穫は必ずあるはずです。


 才能そのものは盗めないかもしれません。しかし、心理誘導や描写の手法などなど、良作には学ぶべき点が山を成して転がっています。

 その手法、その思考法、読者心理の誘導方法、演出、盗めるものを盗むつもりで臨めば、得られるものは意外に多くあります。その思想、その手練手管、その魅せ方……etc.etc.


 作者様が“これぞ”と思った作品から、盗めるものは大いに盗んで下さい。きっとご自身の手腕に活かせるものが見付かるはずです。


 ◇


 というわけで、「10回は観返せ!」は作劇法を磨くにはお勧めの方法――と心得る私なのでした。

 こんな私の考えが果たして当を得ているか否かについては――拙作をご高覧いただいて、その上でご判断をいただければ幸いです。


 それでは引き続き、よろしくお願いいたします。





著者:中村尚裕

掲載サイト『小説家になろう』:http://ncode.syosetu.com/n0971dm/

無断転載は固く禁じます。

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