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195.【期待】と【カタルシス】、その【貸借関係】(第6回)(2025.02.15)

 いつもご覧いただきまして、誠にありがとうございます。中村尚裕です。


 さて私、このところ【期待】について【考察】を巡らせております。


 【観客】が【作品】に抱く【期待】を考えるには、そも【観客】が【作品】に求めるものを観る【必要】があります。


 これを【我流】なりに考えてみますと。


 【観客】が求めるものは“【利益】と感じること”、特に【創作物】に対しては“【利益】としての【快楽】”、と捉えることができそうです。

 であれば【作者】の【立場】としては、『“【観客】が抱く【期待】”が向く先は、“【利益】としての【快楽】”を(【作品】の中で)“【継続的】に得られる”【可能性】』と捉えておくのが良さそうです。


 では、この【快楽】はと申せば。


 【観客】の“【利益】としての【快楽】”という【観点】で見てみると、まず“【欲求】を満たされること”が浮かび上がってきます。


 ただ同時に、『単に【欲求】を満たされるだけでは得られない【快楽】』もまた浮かびます。

 ここでいう“広義の【カタルシス】”がそれに当たりますが、これは『(【欲求】が満たされていない)【ストレス状態】から【解放】された【瞬間】に得られる』ことが解っているのです。


 この“広義の【カタルシス】”を“【動】の【快楽】”と捉えてみれば、“【欲求】に基づく【快楽】”つまり“【静】の【快楽】”と【共存】できそうですし、上手くすれば【相乗効果】も【期待】できそう――という【見通し】も得られてきます。

 “【動】の【快楽】”は『【欠乏】から【充足】に至るまでの【時間的変化】』、“【静】の【快楽】”は『(【観客】が)求めるものの【種類】』と、別々の【位置付け】を持っているわけですから。


 この“【動】の【快楽】”、その【存在意義】を考えてみますと。


 “【動】の【快楽】”の【存在意義】というものは、例えば【ラヴコメ】で考えてみると見えてきます。


 この場合、まず“【静】の【快楽】”を満たすには『【関係性】を【成就】する』という“【欲求】を【満たす状態】”が【必要】です。が、実際には【良作】ほど“【欲求】が【満たされない状態】”で【観客】の【興味】を【強烈】に【牽引】しています。

 つまり『そこには“【動】の【快楽】”、少なくともそれに関わるものが【存在】していて、それが【観客】の【興味】を【牽引】している』ということになりますね。


 前回はここから、さらに“【動】の【快楽】”を掘り下げてみました。


 “【動】の【快楽】”つまり“広義の【カタルシス】”は、まず【ストレス状態】である【満たされていない状態】があって、そこから【時間経過】を経ての【解放】で得られるものです。

 であれば【時間経過】を【表現】する上で“【ストレス状態】との【葛藤】”を描くことになります。

 ですが【牽引力】の面で、“【満たされていない状態】でありながら【快楽】を【提供】し続ける【必要】”はあるわけです。


 そこで【我流】としては、【条件付け】というものに【着眼】します。


 今回はこの【条件付け】を【足がかり】に、『“【ストレス状態】との【葛藤】”の【段階】で【観客】に【快楽】が【提供】される』という【現象】の【可能性】を掘り下げてみましょう。


 ◇


○【考察】:“【動】の【快楽】”、【ストレス】と“広義の【カタルシス】”(その2)


 さて【条件付け】を『【快楽】と“【特定】の【刺激】”を結び付けるもの』と【認識】した上で、です。

 これを踏まえた上で、“【動】の【快楽】”が生じる【プロセス】を思い返してみて下さい。


 ◇


・“【動】の【快楽】”が生じる【プロセス】(再掲)


1.(【観客】や【登場人物】が)【ストレス状態】に置かれる


2.(【時間経過】の【表現】を含め)【ストレス状態】と【葛藤】する


3.【ストレス状態】から【解放】される


4.“広義の【カタルシス】”(【快楽】)が生じる


 ◇


 まず『4.“広義の【カタルシス】”(【快楽】)が生じる』ためには、『3.【ストレス状態】から【解放】される』という【前段階】の【流れ】があります。これ自体は【当然】のこととして、その前には『2.【ストレス状態】と【葛藤】する(【時間経過】の【表現】として)』というものが何らかの形で【提示】されることになります。


 これは『「“広義の【カタルシス】”という【快楽】に先立って、“【ストレス状態】との【葛藤】”が【提示】される」、という【条件付け】の【プロセス】が【発生】する』ことにならないでしょうか。


 つまりこの【プロセス】を繰り返すことによって、以下のような“【後天的】な【快楽】”が【条件付け】されることになります。


 ◇


・“【ストレス状態】との【葛藤】”が後の“広義の【カタルシス】”に【条件付け】されて、【観客】には“【後天的】な【快楽】”として【認識】される


・さらには【作品中】の【ストレス状態】そのものが、後の“【ストレス状態】との【葛藤】”という“【後天的】な【快楽】”に【条件付け】されて、これもまた【観客】には“【後天的】な【快楽】”として【認識】される


 ◇


 もちろん“【ストレス状態】との【葛藤】”は、何でもいいわけではありません。

 ただ言えるのは、『【条件付け】によって“広義の【カタルシス】”(=【快楽】)が“【ストレス状態】との【葛藤】”に結び付き、さらには【作品中】の【ストレス状態】そのものにも結び付き、これらを“【後天的】な【快楽】”として(【観客】に)【認識】させていく、という【現象】が起こり得る』ということです。

 ただしもちろん『【上手く】やれば』という【但し書き】が付きますが。


 そして、ここで起こっている【条件付け】の数々は“【後天的】な【快楽】”でもありますが、同時に『【快楽】の【到来】を【予想】させる【鍵】』でもあるわけです。


 こうなると、『【観客】は何らかの【鍵】をきっかけに“【後天的】な【快楽】”を【予想】して、そこに(【条件付け】された)【快楽】を見出す』ことになります。それは例えばある種の【展開】であったり、さらにはその【前段階】となる【状況】(【シチュエーション】)であったりします。


 この【鍵】が、少なくとも【期待】の【一部】です。


 お気付きの方もおいででしょう。

 この【時点】で、後に【到来】する【快楽】に、【期待】が【条件付け】されている場合も少なくありません。

 つまり多くの場合、【期待】そのものがすでに“【後天的】な【快楽】”なのです。


 ◇


 さて、今回は一旦ここまで。


 【条件付け】という【現象】を踏まえてみれば、【説明】がつくことがあります。

 何かと申せば、『この後に“広義の【カタルシス】”が得られる』という【経験】を繰り返すことで、その【前段階】の“【ストレス状態】との【葛藤】”が【条件付け】されて、“【後天的】な【快楽】”と【観客】に【認識】される――ということです。

 しかも【同様】に、さらに【前段階】へ、さらにまた【前段階】へと、【条件付け】が起こり得ることになりますね。

 これらは『【快楽】の【到来】を【予想】させる【鍵】』であるがゆえに“【後天的】な【快楽】”にもなるわけです。


 そしてこの【鍵】が、少なくとも【期待】の一部ということになります。しかも【同時】に“【後天的】な【快楽】”でもあるわけです。


 ただしこれは、あくまで【条件付け】があるからこそ【成立】する【関係】です。


 次回はこの【条件付け】を壊す、つまり【期待】を【裏切る】とはどういうことか、掘り下げてみましょう。


 よろしければまたお付き合い下さいませ。


 それでは引き続き、よろしくお願いいたします。

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