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192.【期待】と【カタルシス】、その【貸借関係】(第3回)(2025.01.25)

 いつもご覧いただきまして、誠にありがとうございます。中村尚裕です。


 さて私、このところ【期待】について【考察】を巡らせております。


 【観客】が【作品】に抱く【期待】を考えるには、そも【観客】が【作品】に求めるものを観る【必要】があります。


 まずこれを【我流】なりに考えてみますと。


 【観客】が求めるものは“【利益】と感じること”、特に【創作物】に対しては“【利益】としての【快楽】”、と捉えることができそうです。

 であれば【作者】の【立場】としては、『“【観客】が抱く【期待】”が向く先は、“【利益】としての【快楽】”を(【作品】の中で)“【継続的】に得られる”【可能性】』と捉えておくのが良さそうです。


 そこで前回は、この【快楽】を見てみました。


 【観客】の“【利益】としての【快楽】”という【観点】で見てみると、まず“【欲求】を満たされること”が浮かび上がってきます。


 ただ同時に、『単に【欲求】を満たされるだけでは得られない【快楽】』もまた浮かびます。

 ここでいう“広義の【カタルシス】”がそれに当たりますが、これは『(【欲求】が満たされていない)【ストレス状態】から【解放】された【瞬間】に得られる』ことが解っているのです。


 今回はこの“広義の【カタルシス】”、その【位置付け】を掘り下げてみましょう。


 ◇


○“【静】の【快楽】”、“【動】の【快楽】”


 さてこの“広義の【カタルシス】”、先に挙げたような“【欲求】に基づく【快楽】”と比べると、【根本的】なところで【性質】を異にしています。


 何かと申せば、『“【欲求】に基づく【快楽】”というのは“【欲求】が満たされた【状態】”で生じる』のです。

 こちらは私なりに【言い換え】を試みると“【静】の【快楽】”というところですが。


 これに対し、“広義の【カタルシス】”は『まず【ストレス状態】、つまり【満たされない状態】があり、そこから【解放】された、という“【時間経過】に伴う【変化】”で生じる』ことになります。

 こちらの【言い換え】を試みるなら“【動】の【快楽】”という【表現】になるでしょうね。【時間】や【状態】が動いて初めて生じる【快楽】ですから。


 ここで【静】と【動】、【性質】を異にする二種類の【快楽】が【共存】できるのか――という【疑問】も浮かぶところですが。


 【我流】で捉える限り、【静】と【動】の【快楽】については、【共存】の上で【相性】は【良好】です。


 その【理由】を【我流】なりに【整理】してみましょう。


 まずはその【第一段階】として、それぞれの【快楽】が【内包】するものを【イメージ】で捉える、という【試み】を。


 まず、“【静】の【快楽】”について。

 “【静】の【快楽】”は、“【快楽】の【種類】”と“【快楽】の【強度】”で表すことができます。【言い換え】を試みるなら【快楽】の【ジャンル】と【強度】、という【表現】が近そうです。

 例えとしては【レーダ・チャート】の【イメージ】が近いでしょう。


 次に、“【動】の【快楽】”について。

 “【動】の【快楽】”は“【快楽】の【強度】”と“【快楽】の【時間経過】”で表すことができます。これは“【動】の【快楽】”が、『【時間経過】に伴う、【快楽】の【状態変化】”を【実現】するものだから』です。

 例えるなら【折れ線グラフ】、【縦軸】に“【快楽】の【強度】”、【横軸】に【時間】を取った【時間イメージ】が近いでしょうね。


 この【状態変化】は、『求めるものの【欠乏】(【快楽】の【強度】が【マイナス】)から【充足】(【快楽】の【強度】が高い【プラス】)に至るまでの【過程】』と言い換えられます。


 つまり“【静】の【快楽】”と“【動】の【快楽】”の【両者】は、【共通】する【項目】も持っていれば、互いに【独立】した【項目】も持っている――ということが言えますね。


 ここで【第二段階】、“【静】の【快楽】”と“【動】の【快楽】”、【両者】が【共有】するものを【確認】します。

 ここでは“【快楽】の【強度】”が【該当】しますね。つまり『“【静】の【快楽】”と“【動】の【快楽】”は、【結び付き】となる【共通項目】を持っている』ことになります。


 さらに【第三段階】。その一方で、【両者】が【共有】しないものはどうでしょうか。

 この場合は“【快楽】の【種類】”と“【時間経過】に伴う【状態変化】”が【該当】します。ただし【重要】なのは、『これらの【項目】が【単体】で【結び付き】を持たない』ということです。これは『これらの【項目】が【干渉】し合うことはない』ということを意味します。


 以上の【整理】で明らかになるのは、『“【静】の【快楽】”と“【動】の【快楽】”は、“【快楽】の【強度】”という【一項目】のみで【結び付き】を持っている』ということです。

 これの【言語化】を試みると、【作品】(特に【物語】)に関わる【快楽】を巡っては以下のような【事実関係】が【存在】することになります。


 ◇


1.【作品】(特に【物語】)で得られる【快楽】の【イメージ】は、『【種類】(または【ジャンル】)ごとの“【快楽】の【強度】”が、【時間経過】に伴って【変動】(【時間的変化】)していく』


2.1.の【時間的変化】の中で、【特定】の【一瞬】における“【快楽】の【強度】”が、その【種類】の“【静】の【快楽】”を表す


3.1.の【時間的変化】の中で、【特定】の【範囲】を切り取って【観測】される“【快楽】の【強度】の【変化】”が、その【種類】の“【動】の【快楽】”を表す


 ◇


 こうしてみると、『求めるものの【種類】(【ジャンル】)』で得られる“【静】の【快楽】”、『【欠乏】から【充足】に至るまでの【時間的変化】』で得られる“【動】の【快楽】”は、“【相乗効果】を生み出す【両輪】”と捉えてもよさそうですね。


 ◇


 さて、今回は一旦ここまで。


 “広義の【カタルシス】”を“【動】の【快楽】”と捉えてみれば、“【欲求】に基づく【快楽】”つまり“【静】の【快楽】”と【共存】できそうですし、上手くすれば【相乗効果】も【期待】できそう――という【見通し】も得られてきます。

 “【動】の【快楽】”は『【欠乏】から【充足】に至るまでの【時間的変化】』、“【静】の【快楽】”は『(【観客】が)求めるものの【種類】』と、別々の【位置付け】を持っているわけですから。


 次回はこの“【動】の【快楽】”、その【存在意義】を考えてみましょう。


 よろしければまたお付き合い下さいませ。


 それでは引き続き、よろしくお願いいたします。

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