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134.【芝居】の【描写】、その【効能】(第1回)(2023.11.11)

 いつもご覧いただきまして、誠にありがとうございます。中村尚裕です。


 私、小説の【描写】に当たってはよく“広義の【芝居】”を好んで用います。

 また【描写】(特に文字数などの【情報量】)でお悩みの【作者】さんへ、やり方の一つとして【ご提案】することもあります。


 ただし【ハードル】が低いわけでは決してなく、また【芝居】をどう捉えるかで【納得】が得られたり得られなかったりも。


 という【背景】もあり、“広義の【芝居】”を【我流】なりに【考察】して参ります。


 よろしくお付き合いのほどを。


 ◇


○「全部【理解】して欲しい!」という【心の声】


 実のところ、ひとくちに【描写】と言っても、そのやり方は【多種多様】に渡るもので。


 例えばその場の情景を事細かに【列挙】していくやり方もありますし、かと思えば【カメラ・ワーク】を【意識】して【順序】や【流れ】を組み込むやり方もあります。

 また【被写体】に相当する【登場人物】や【現象】についても、【捉え方】は様々です。その【動き】や【状態】の移り変わりに【着眼】するか、一瞬一瞬のあり方を一枚絵のように写し取るのか、などなど。


 こうして【多種多様】な【描写】(あるいは【説明】も含めての【表現】)の違いを見渡すに、そこにはある【作者】の【心理】(の違い)が反映されている――と、私には映るのですね。

 即ち――「全部【理解】して欲しい!」という【心の声】が。より正確には、“【心の声】の強さ”が、です。


 この【心の声】は私にも【存在】しますし、その【心理】の【背景】もある程度までは【理解】できます。


 ただ私が重んじる“広義の【芝居】”は、「全部【理解】して欲しい!」という【心理】、言い換えれば“【言いたいこと】一つ一つに【理解】を求める【姿勢】”からは、ある程度【距離】を隔てた【考え方】に基づくものです。


 なぜかと申せば、『“【言いたいこと】一つ一つに【理解】を求める【姿勢】”というものが、“心に響かない【説教】”と同じ根を持つから』と私が考えているためです。裏を返せば、『“心に響く【良質な物語】”が、その【姿勢】に根差していないから』という考えでもあります。


 この【考え方】は『【言葉】の【意味】、【体験】の【重み】』(2023.07.01.~2023.09.30.の活動報告)でも触れましたが、その【背景】には『【伝え方】を【観客】に受け入れられやすいよう【工夫】することによる【効能】』の【認識】があります。

 詳細はここでは割愛しますが、『【説得力】は、つまり(【相手】が【自分】の【言いたいこと】を)“【事実】と【認識】する【根拠】”は、【言葉】単体には宿っていない』ということです。『どうせ口(【言葉】)だけだろ』と【相手】に【認識】されればそれまで――ということでもあります。


 要は【作者】が“【言いたいこと】一つ一つに【理解】を求める【姿勢】”を強めれば強めるほど、逆に【観客】にとっては“心に響かない【説教】”と映る【傾向】がかえって強まる――という、これは私の【認識】というわけです。


 この辺り、“心に響かない【説教】”との関連をもう少し掘り下げてみましょう。


 【作者】が“【言いたいこと】一つ一つに【理解】を求める【姿勢】”を取る場合、用いる【表現】は“【言いたいこと】の【直接表現】”という形を取らざるを得ません。なぜなら『【言いたいこと】一つ一つを【明確】に【直接表現】で【言語化】しなければ、【観客】の【理解】に【洩れ】や【差異】を許してしまうから』です。加えて『【言いたいこと】を洩らさず吐き出したいからには、一つ残らず【直接表現】で【言語化】せねば吐き出しようがない』という【事実】もあります。


 ですがこの場合、同時に生じる【問題点】については見落とされがち――と私の眼には映ります。


 一つ、【作者】が【言いたいこと】を一つも洩らさず【言語化】して吐き出したなら、その【情報量】は【膨大】になること。

 一つ、【観客】を含む人間は、一度に大量の【情報】を浴びせられても【理解】し切れないこと。

 一つ、【作者】が【理解】のために【情報】を【整理】したとしても、今度は【作品】が“【情報】を【観客】に仕込むための【講義】”になってしまうこと。

 一つ、【観客】は“【物語】としての【作品】”を楽しむために来ているのであって、“【作者】の【講義】”を【期待】しているわけ“ではない”こと。

 一つ、【期待】に沿わない【作品】に対しては、往々にして【観客】は離れていく【傾向】が強いこと。


 ここに追加して、私は以下の【問題点】を挙げます。


 一つ、【直接表現】で固めた【表現】は、往々にして【観客】に『それ以上の【意味付け】は込められていない』、言い換えれば『そこには額面以上の【奥深さ】は【存在】しない』、と【認識】されやすいこと。その【背景】の一つとして、“浅はかな【小悪党】”が【他者】を【罠】に嵌めようとする際、同様の【表現】で【手っ取り早く】“偽りの【信用】”を勝ち取ろうとしがちであること。


 つまるところ、“【言いたいこと】一つ一つに【理解】を求める【姿勢】”というものは、『【作者自身】が【作品】を“心に響かない【説教】”に仕立て、さらには【作者】の【姿勢】についても「口(【言葉】)だけ【達者】で、【奥深さ】を持たない」と見せてしまいかねない、危うい【姿勢】』でもある――というのが、私の【認識】するところです。


 ◇


 さて、今回は一旦ここまで。


 私の【認識】するところ、“広義の【芝居】”の【役割】は、「全部【理解】して欲しい!」という【心理】から生じる【問題点】、この数々から【作品】を守る――というものです。


 では、なぜそれが“広義の【芝居】”で【可能】になるのか。

 次回はその点についてお話しすることにしましょう。


 よろしければまたお付き合い下さいませ。


 それでは引き続き、よろしくお願いいたします。

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